しーもあ さん
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2014年7月30日 to 思い出のマーニー
公開前に原作小説読んでます。けど、あまり面白くなかった感想でした。
映画では、原作のかなりの部分を忠実にそのままなぞっている印象です。舞台全然変わりましたけど、でも変わってない部分も多い。例えば杏奈の性格、近所の子との喧嘩のやりとり。原作で上手くいってないのを引きずっちゃったところもありますし、逆に、アレンジして失敗したところもまたあると思います。
上手くいっていると思える部分で一番印象に残るのは、マーニーと杏奈のやりとり。僕はそう思います。いえ原作通りでもあるし、説明するのが難しいな…。
二人が一緒にいる心の交流の場面が、そこだけ孤立して浮き上がっている感じがするんですよね。なんで仲良くなって行くかもよく判らないのに。そして、それまでつまらなそうで寂しそうだっただけの主人公杏奈が、急速に生き生きし始める。
二人が出会ったり過ごすのはほとんどが水辺なのですが、水の表現が美しいです。夕暮れの浅瀬に足首まで入って立ち竦む少女二人の絵とか、ちょっと絵画的な感じがします。非日常、ふわふわ感、これがそのまま物語の核、ストーリーに繋がります。
つまり、異化装置としてのファンタジーなんですよね。展開もあまり無く、二人は親密になっていく。ストーリー的には孤立している感じもしますが、マーニーと杏奈が一緒にいること、そこをこそ見せたいのであり、そこに何かの気持ちを傾けられるかどうかの作品だと思うのです。
上手くいってないところや、むしろ気に入らない箇所も多くあるとは思っていますけど。例えば日本舞台にした意味があったのか、とか。原作から受け継いでる部分で、説明過多で設定有り過ぎなとことか。歪なんですよね。凸凹で、悪い所と良い所が並立している感じ。
でも、ある一定の気分に共感出来る人ならば、面白く観れるんじゃないかなと思います。
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2012年3月25日 to 第九軍団のワシ
一応全国でやるようですが、館数少ないし上映時期もばらばらだし。映画生活にもレビュー一個も無いし(と思ってたらGarberaさんが書かれていました!が)。
ほとんど誰にも知られずに上映終わっちゃうんじゃないのかなあと思ったので、足跡的に書いとくことにします。でも僕はすげえおもしろかったんですよね。
原作はイギリスを代表する児童文学作家の一人、ローズマリー・サトクリフの古典的名作です。
本当に偶然、何気なくユーロスペースのサイト覗いてたら、「第九軍団のワシ」が映画化されてて、しかも今やってるって知って驚いたんです。噂も聞かなかったし予告編なんかも見かけなかったし。どうかなと疑いつつ見に行ったのですが…。
とても硬派な映画だと思います。逆に言えば華がないとも言える気がするけど。サトクリフのストーリーは、元々地味で地道、例えば”そこでその展開は起こりえない”というようなシナリオ・描写は一切入ってこない話を書く人だと思ってます。
そして、その物語を、この映画は、まんま映像化している。
リアリスティックと思える。しかし古代ローマ軍なんてどう描いたって作品の受け止め方として、結局ファンタジーにしかなり得ない訳で。そこら辺立ち位置が微妙だと思うんですよねえ。ならば誰がこれを必要とするのか。
というわけで、僕はすっげえ好みだし、僕にとってはおもしろかったです。めっちゃ格好良かった。硬派で地道なローマ・ケルティックファンタジーを好きな人にはお勧めって感じです。
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2009年7月7日 to ジェリー
ラスト近辺まではとにかく面白かったです。
序盤の入り込ませ方がとても自然、というか余計な説明を一切描いてないというか。ここだけで、これ肌に合いそうとまず思います。
次に、焚き火を囲んだギリシャの嘘話!個人的に凄い好き、雰囲気がいいです。
この作品通して全編そうなんだけど、登場する二人の会話がとぼけてて、優しくて。こっちも釣られて笑ってしまいますし、優しい気持ちになる。
でも何よりもいいのは、人間の誰もいない荒野を延々と歩き続けるという、風景そのものの姿。
子供の頃に憧れたんですよね。砂漠を旅するヘディン博士とか、桜蘭を目指すマルコポーロとか。
…そういう見方ってこの映画の製作意図とは合っているのでしょうかいないのでしょうか?微妙にそこはよく判らないけど。
とにかく僕にとってはそれ自体が素晴らしい、それだけで充分に満足なのです。なにげに背景も結構変化してて飽きないし。風に吹かれて砂漠を転がってく植物(あれ名前何てったっけかな)とか、塩湖(かな?)とか。
なので…、ラストあれいらないなと思ってしまいました。やっぱそういう話を付けちゃったのかと、がっかり。
最後まで”ただそれだけ”に徹したストーリーであって欲しかったです。
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2009年7月5日 to アヒルと鴨のコインロッカー
これまた原作小説の大ファンです!そして改めて断っておくと原作と映画は別物だと思ってます。当たり前ですけど。
伊坂幸太郎読むのはこれが二冊目でした。本読み終わって、それが物凄いおもしろかったので、その勢いで映画も見ようと思いました。こっちも評価高かったみたいだし。
しかし今思うと、少し間をあけた方が結果的には良かったんじゃないかという気もしてきます。
うーんどうだろと観賞後は正直、疑問符でしたね。
ただ、じわじわとああなるほどこれで当たりなのだと思えて来たんです。悪くはない、むしろいい映画だなって。もともと伊坂幸太郎初めて読んだ感想も”映画好きそうだな”って事だったし。
実際にこの小説家の作品は今何本も何本も映像化されていて、上出来のものが多いらしいですね。僕が見たのはこれだけですが。映像化との親和性が最初から強いという事だと、思ってました。
あと仙台に思い入れが強い人だとは聞いていたけど、作品中でマジに仙台を舞台にしていた事が驚きです。てっきり映画では置き換えるかと予想してた。そしてこれが実は、最大の当たりの要因だったように思うんです。言葉とか、独特ののんびりとした雰囲気があって。
ディランと共に、一定の雰囲気を作っている。
琴美がちょっと惜しいかなとか、他にも色々、やはり小説版には敵わないという箇所があったと感じます(それは僕があまりにも原作好きだからです)。
そして、映像にするとやはり陳腐に見える部分もあるけど、そこはうまく現実に起こりそうな事として処理していたかなと。
伊坂幸太郎のストーリーの素晴らしさを、最大限に良く映画作品としてまとめていたと思います。
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2009年7月4日 to ラストデイズ
前の方々のレビューを読んでうーんと考えて込んでいました。そっかなるほど、どうも僕の捉え方がずれてたのかなと。或いはこれを楽しめる形の捉え方は少なくともしていなかったらしい、のかなあ。
アーティストの死を描いているものとして、表現者の描き方がいかにもって感じで平凡と思っていたんですよね。それをリスペクトすべき対象として描いているつもりであれば、僕はニルヴァーナもカート・コバーンも全く知らないし、これだけ見せられても別に(熱狂的ファンのようには)感情移入して泣く事も出来ない。
…でも…なあ。
もう一度見直してみようかと今真剣に悩んでいますが、多分駄目ですね。思い返して考えてみても、所詮僕にはこれを楽しめそうに無い。
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2009年7月2日 to シュガー&スパイス〜風味絶佳〜
典型的だなと思います。…あ、僕にはそう思えるって事です。
恋愛らしい恋愛だと思う。女の子らしい女の子だと思う。どこにでも転がっている、ありふれた、オーソドックスな恋愛模様を描いているって感じます。典型的過ぎるのが玉に疵っても感じるけど。
原作の描いている事も、そこだったのではないでしょうか(違うかな?)。
山田詠美の原作小説読んで無いのですが、おそらく短編小説ではと思います。掌編をむりやり引き延ばしたような感じがつきまとう、これはこれで一気に言い切るからいいのだと思う。ちょっと途中から冗長かなと。
でも、こういう風景はやっぱいいですね。
グランマ最高です。夏木マリですか。
シナリオ的に魅力的に描かれなければいけない役を、まさに魅力的に描いてみせるって凄いと思います。
柳楽優弥も沢尻エリカも、うまく表現出来ないけど、素朴な魅力があったと思います。
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2009年7月1日 to キャッチ22
びっくりしました、こんなのがあったんですね。
一見のほほんとした反戦ものかなとも思ってたんだけど、実際軽い気分で見ていられる、だけど。見てるとじわじわ不安と不愉快さが増してくる感じです。
特に中盤辺りで、最近読んだ小説の「1984年」と同じ匂いがぷんぷんしている気がしたんですよね。でも今冷静に考えるとなんでそう思ったのかな?多分、
抗えない大きな力による不条理、それによって滑稽な程に歪んでくる現実、とかそんな風に感じていたように思います。
劇中セリフ喋りっぱなしだったけど、むしろ幕間とか行間に位置する映像に意味があったような。
印象深かったのがイタリアの夜の街を歩く主人公の、その背後で展開されていた狂ったような人々の風景のシーンかな。他にもどこがどうとはうまくは言えないけど、とにかく映像全編に見事だったなと思います。
時間軸を入り組ませた行ったり来たりの構成も、狂った世界から逃げられない感を増幅させて、怖いなと感じます。
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2009年6月30日 to クローズド・ノート
常識知らずな僕は、今まで沢尻エリカって女優さんの事を、名前しか知りませんでした。「オトシモノ」で初めて見たのですが、もうちょいちゃんとどういう演技をされる方かってのを知りたくなってきました。
…と言うか、今まで役者さんを気にした事ってのが僕ほとんど無いんですよね、自覚してる範囲内では。最低限気になるほど演技酷くなければ、後は別にどうでもいいんです。僕が求めているのは物語だけですから。
それを、今回下手に気にかけようと決意したのが、或いはそもそも失敗だったのかもしれません。
なんか妙にかっちりした演技をする人だなって思ったんですよね。お芝居をしているんだなって、意識させられると言うか。
そして考えてみるとそれはむしろ、個々の役者さんというよりもこの映画全体の印象に引っ張られている気が強くしてきます。
”話を作ってる”って見ていて何度も感じるんですよ。作為性・演技性があからさまなような。ストーリー展開は割とベタだと思いますけど、でも別にそこは構わない。
何だろ、一番の問題は、泣かせる・感動させると向こうが意識していて、それを鑑賞している僕がまた意識してしまうっていうダブルバインドって言うか。
初めから最期までそれでずーっと素直に楽しめなかったです。
沢尻エリカさんの女優としての最大値の輝き見たいなら、また別の探さなきゃいけないかなって思います。ひょっとしたらそれはまだ無くて、これから作られるものかもしれないけど。
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2009年6月28日 to オトシモノ
芸能人いっぱい出てくるチープ系映画というのは前の方々のレビューで判っていたので、そのつもりで。沢尻エリカって初めて見たけど(マジに写真すら見た事無かった)なるほど特徴のある綺麗さですね。
エンドロールによると原案三人で作って、脚本二人で書いたということらしいけど。出来とか、それが怖いかどうかは置いといて。
これ書いた人自身にとって、或いは客層として意識していたであろう人に向けては、これがリアルな恐怖になるのかなあと考えていました。
そこにあるものって結局、”身の回りに溢れている得体の知れない他者”だと思うんです、取りあえず取っ掛かりは。定期しかり、人影しかり、あまり人の乗っていない地下鉄、アパートの他の誰かの部屋。
これも見てないけど「着信アリ」って映画あったけど、多分同じ系統の感覚かなと。多くの人が属している特定の層にとっての切実なリアルさがそこにある気がするんです。なるほど、おそらく鈴木光司あたりから(なのかな?)、既に出来上がったメソッドなんですね。
それにしてもこんな脚本で飯食ってても楽しく無いだろうなあと。ここはマジにそう思います。
なんてことをつらつら考えて、たまにはこういう作品真面目に見るのもいいです。
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2009年6月20日 to 彗星に乗って
カレル・ゼマン監督作品見るのはこれが三作目です。
アニメだけじゃなく実写も交えているのですね。セピア色の画面とか細密画(って言うのかな?)を組み合わせた背景が、妙に非リアルなお伽話感を醸し出しています。
そして彗星!
うおっと、びっくりしました。なんなんだ、この話の展開はっって感じです。奇想天外って言葉がよく似合う。すごい壮大な物語だなあと思いながら観ていると…、何だろ、なんか全体に感じる感覚がユーモラスで優しいんですよね。
力の抜けたとぼけたユーモアが、ふっふっと入って来るのが肌に心地良いです。特に本作では、規模の大きなほとんど(正直言うと)ほら話的な物語に対して、この感覚が絶妙にマッチしていると感じます。
うんまあ地球離れてしまったのか、大変だなあ、で次どうなんの?って感じで。安心してストーリーに入り込んだままでいれる。
さらに恐竜まで出現!
楽しいです。まるでおもちゃみたいって言うか、子供の頃読み聞かせられたシンドバットの冒険みたい(翼竜が出て来たような記憶があるんです)って言うか。
この監督の感性はやっぱり優しいと思います。
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