白波さん さん
男性
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2016年8月26日 to 君の名は。
ショートながら「クロスロード」を見てから、ずっと待ちわびていたタッグでの作品です。
新海作品ですから、まずその圧倒的な映像美に驚かされます。
毎回その背景にも少しずつ変化があるので、そこに触れるだけでも楽しいんですね。
最初キービジュや予告で見たキャラ絵は少し違和感あったけど、実際に始まると全く気にならなくとても瑞々しかったです。(それでもやはり、作監田中将賀で観てみたかった気持ちはあります。)
役者主体のキャストも神木君はもちろん他の方も想像以上に良く、RADによる音楽・特に歌は実に効果的で作品にとてもフィットしていました。
また今作はよりエンターテイメント性が増しており、特に後半の展開には驚かされます。
「身体入れ替わり物」というキャッチーな入り口だったため、余計にそれが効いてくるのでしょう。
脚本も良くできており、ページをめくるように次々と新しい動きを見せるのも素晴らしかった。
前作「言の葉」で「監督の踏み込みが深くなった」と感じましたが、今作ではさらにまた一歩踏み込みんでおり、また少し膨らみを持った作品になっていました。
いよいよ公開となった本作、その美しさを是非劇場で触れてみてください。
淡く心を突き動かすような物語、きっと心に響いてくると思いますよ。
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2016年10月12日 to SCOOP!
主役の福山雅治の汚れ役や「バクマン」監督との初タッグなど、多くの話題性を持った本作。
しかし何と言っても豪華なキャスト陣ではないでしょうか。
「父になる」でも一緒だったリリーフランキー、塚本晋也や滝藤賢一などクセの強い顔ぶればかりです。
特にリリーフランキーの演技は素晴らしかったですね。役作りが見事にハマったような怪演を観せてくれます。
福山雅治は汚れ役ではあるものの、ちゃんと芯のある格好良い福山雅治でした。
中年パパラッチのお話なのですが、とにかくテンポが良く進むので中だるみせず見れます。
予告では全く触れなかった後半の展開や、エンドロールの入れ方も良くとても晴れやかな気分で物語を終えることができます。
ただそのテンポを大事にしているせいなのか回収していないエピソードがいくつかあり、見終わってから少し気になってしまったのも確かです。
きっと監督は細かい部分より全体の勢いを大事にしたかったのでしょう、実際最後まで滞る事なく一気に観せてくれました。
個性的なキャストの芝居にちょっと下品な福山雅治、色々見所があって面白かったですよ。
2016年10月19日 to 映画「聲の形」
最初に読み切りがマガジンに掲載され、反響が大きくその後連載漫画になったこの作品。
原作を好きだった事もあり、ちゃんと物語がおさまるのか少し不安な心持ちで劇場に向かいました。
始まってすぐOPがあるのですが、何と歌に「My Generation」を持ってきたのには面食らいました。
しかしこの歌、無自覚で無軌道な子供達と実にマッチするんですね。ちょっと驚きました。
また、よく考えたら監督は「けいおん」内でもフーを出していたのを思い出し、なんだか妙に納得してしまいました。
この作品は障がいといじめという少しデリケートなものをベースに、人と人との繋がりを描いた物語。
映画でもその描写は良く表現されていて、京アニならではのやわらかな作画や背景も心地よかったです。
そして音楽が実に良かった。
全般的にとても穏やかできれいな音なのですが、彼らがそれぞれ抱えている心の奥にある鉛のような部分も表現されていて、とても素晴らしかったです。
作中のいじめに対し各キャラクターそれぞれの関わり方をしているので、見ていてどこか物語とは思えないチクリとした気持ちになる方もいるのではないでしょうか。
二時間ちょっとの尺ですがきちんと原作をなぞっており、無くすところはスパッと切るのですがその切り方がうまいのでしょう、観ていてストレスを感じませんでした。
それでいてペドロやマリアは出るけど、姉が顔を出さなかったりする設定はそのままだったり、随所にこだわりが見えます。
そしてラストなどのオリジナル部分への繋がりも良かったです。
淡い気持ちと尖った空気、少年達が抱えるものが丁寧に描かれており、原作好きでもとても良い作品に仕上がっています。
そして、帰ってからふと目にした入場特典の書き下ろし漫画。
ストンと落ちたようで、読んでいて涙が出てきました。
短いながらもとても素晴らしい内容なので、映画と合わせて読む事を是非お勧めします。
だんだん上映回数が減ってくる頃ではありますが、できればスクリーンで観て欲しい素敵な作品でした。す。
2016年12月5日 to この世界の片隅に
クラウドファンディングでの融資が話題になっていた本作、原作の空気感をどう表現できるかが気になってたのです。
これが見事に再現されていました。
端から端まで細かく描かれていて、何よりカットがとても美しい。
コトリンゴの音楽もとても合っており、作品に広がりを持たせていました。
キャラデ・作監の松原秀典さんも、原作の雰囲気を生かした見事なキャラクターを描き出しています。
戦争がテーマの作品ですが、重く苦しい内容も主人公すずの視点なので、どこかコミカルでふわふわした雰囲気に描かれています。
のんさんの演技もそうさせるのでしょう。
また随所に食べ物をうまく差し込んでいて、当時の食事事情や主人公の心持ちが伝わりやすいのも良かったと思います。
その食べ物というキーに合わせてなのでしょうか、玉音放送を聞いたすずが慟哭するシーンのセリフが変わっていました。
ある意味とても重要なところなので、とても思い切ったシフトだと思います。
そして何と言っても絶対作品を作ると決意した監督の気概でしょう。
静かな作風なのに力強さを感じるのは、そんなところもあるのかもしれませんね。
今回クラウドを使って素晴らしい作品が作れるという、一つの指針になったのではないでしょうか?
同じ戦争の映画で真逆のような作品ですが、塚本監督の「野火」と同様に一人でも多くの人に観てもらいたいと思いました。できるだけ長く上映してほしいものです。
私は今回この映画と出会えた事が嬉しくてなりません。
儚くも強くて温かい、とても喜びに満ちた作品です。
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2017年3月24日 to マグニフィセント・セブン
とにかく爽快で面白い映画です。
ベーシックな勧善懲悪の西部劇、しかしその作りはクドさが無く観ていて心地良いのです。
また主人公の7人のキャラも立っていて飽きがこない。
人はバンバン死にますがマカロニのようなテイストでないので、
そういった点でも幅広く楽しめるでしょう。
特にガンアクションが素晴らしくテンポ良くて、しかもハードボイルド。
男の子はみんな全編わくわくしっぱなしです。
楽曲もセンスが良く「朝日のあたる家」を入れてきたり、エンドロールではしびれる曲も流れます。
本作は「七人の侍」のリメイク「荒野の7人」のリメイクなのですが、そういった事は頭から抜いて、ただド派手な西部劇を楽しんだ方が良いと思います。
こういった作品は楽しんだ者勝ちでしょう。
あのガンアクションはおすすめです!
2017年3月24日 to 黒執事 Book of the Atlantic
今回はとにかくテンポが良い!アクションも素晴らしい!
全てにおいて前作をはるかに上回る出来となっていました。
作画も安定していて、オールスター感あふれるキャラクター達がこれでもかと登場します。
物語もシリアス一辺倒でなく、ホッとさせるようなギャグも織り交ぜておりメリハリが効いてます。
随所に見所があるのですが、特にシエルとセバスのエピソードはとても丁寧に描かれていたと思います。
それぞれのキャラクターにスポットも当たっており、観ていて本当にわくわくしました。
今回は原作ファンも納得の出来ではないでしょうか?
独自の耽美な世界観もたっぷりで本当に楽しめました、次作がとても楽しみです。
2017年3月24日 to LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門
前作「次元」と同じように前後での構成です。
相変わらずハードボイルド路線で、最初から最後まで全部が格好良いです。
原作よりの粗めのタッチが物語にとても良く効いていて、観ていて気持ちが盛り上がります。
絶妙なキャスティングの作品を観ている時のような感じなんですね。
そして前作もですが適役が魅力たっぷりなんですね、今回もすごいのが出てきました。
またタイトルにあるように血吹雪が多めです、不二子以外は皆血を流していたんじゃないでしょうか?さらに皆すごく痛そう。
尺は短いのですがその密度がすごく、とても楽しめた一時間でした。
そして今回、物語の背景となる「謎の組織」は全く見せてこなかったので、続編作る気満々なのでしょう。
次の主役は銭形なのか、ルパンなのか、次の発表が楽しみでなりません。
2017年3月27日 to 沈黙−サイレンス−
それは予想を超えたものすごい作品でした。
時代の逆を進むような堂々の160分、私が観に行けた頃は既に1日1回のみ上映になっていたので、時間を作るのがとても難しかったです。
でも監督は自分の撮りたいようにするのが一番だと思っているので、こういった尺の長い作品はこだわりを感じて好きです。
そしてタイトルにあるように音楽がありません。
虫の声、風の音、潮の音で構成されているのですが、退屈どころか「だからこそ」胸に迫るものがありました。
OPからそれらの演出が効いていて、スタッフロールまでそれで締める。実に素晴らしかったです。
スコセッシなので遠慮のない演出で、弾圧している様は観ていて苦しさを感じるほど。
また当時の考察をきちんとしているのでしょう、日本人が観ていても違和感を感じずにスッと入ってきました。
またキャストも気になる人が多く「スコセッシの作品に塚本晋也が出演している」ってだけで、観ないという選択はありませんでした。
その塚本晋也演ずるモキチが真っ直ぐで素晴らしい。特に聖歌を歌っているシーンはかなり胸にくるものがあり、作品の中で一番印象に残りました。
そしてイッセー尾形の怪演。この作品を支配するかのような、ものすごい芝居を観せてくれます。
物語は基本ひたすらに重いのですが、それでいてどんどん引き込まれていくんです。
そして話が進むにつれ深く深く潜って行き、宗教そのものを超え、命の根元に迫るような内容でした。
スコセッシはこういった「誰かの生涯」を描くのが本当上手いですね。
70を過ぎても未だ衰えぬ素晴らしい作品、まさに傑作です。
2017年3月27日 to シン・ゴジラ
始まってすぐのタイトルバックで、並々ならぬ気合を感じました。
これは思ったより凄そうだと。
今回内容に触れる部分は割愛しますが、とにかく特撮愛に溢れた作品でした。
緊張感のある会話劇もうまく作用していて、見ていて本当ゾクゾクします。
音楽の入れ方も秀逸です。
この作品で楽曲の良さを再認識し、サントラが欲しくなった方も多いのではないでしょうか?
ハリウッド的な「家族を守る愛情」的なものを入れていないのも好感が持てます。
もっと言うとゴジラそのものへの切り込みも浅くしています。だからか「怪獣映画」より「パニック映画」のようなんです。
「ゴジラ」という「災害」に立ち向かう群像劇で、膨大なキャストを実にうまく使っているんですね。
そのキャストもクセのある人ばかりなのがまた良い。
随所に古き良き特撮へのオマージュを感じさせる作りですが、ゴジラへの新しいアプローチもあったりと観ていて飽きさせません。
新幹線や在来線を使ったシーン等は、アイディアも含め実にアナクロでいて斬新でした。
また少し風刺的な要素もあり、政府や災害や自衛隊等、今の日本に直面した問題も描かれており色々考えさせられます。
そういった色々な要素がありながらも、先に挙げた膨大なキャストの会話劇もあり緊張感がずっと損なわず、最後まで実にテンポよく突っ走ります。
こんなゴジラが観たかった、そう思った人がほとんどではないでしょうか?
この作品はあまり前情報を入れず、少しでも気になるならすぐさま劇場に観に行きましょう。
進化した現在の特撮作品がそこにあります。
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2017年5月23日 to T2 トレインスポッティング
当時英国だけでなく日本でも一大ムーブメントを巻き起こした名作、「トレインスポッティング」の続編です。
ブリットポップ全盛期、その勢いがそのままフィルムなったような作品に皆夢中になっていたと思います。
ボイルはもちろん、ユアンマクレガーとアンダーワールドがこの作品で爆発しましたね。
それが20年の時を経て、しかもオリジナルキャストでの続編です。
「ビーチ」での確執も乗り越え、監督も脚本も同じままでですよ。
これは見逃すわけにはいきません、珍しく初日に行きました。
あのラストから20年後の時間をどう描いていくのか、気になって仕方ありませんでした。
始まりからして実に「トレスポ」で、今回もサウンドが秀逸です。
特に物語の随所随所に入れくる「ボーンスリッピー」のアレンジがものすごいです。
曲はそれを匂わせているものの、全く別物のような化け方をしているんですね。
他にも全体的に曲のチョイスが素晴らしく、「うん、トレスポだなぁ」って感じます。
そ気が経ってもその疾走感はそのまま、そして今回も良く走ります。
カメラワークも実にそれで、観ている自分も思わず懐かしい気持ちになってくるんです。
20年経つも彼らは基本変わらずカスのままなのですが、それがまた嬉しいのですね。
それに罵り合いながらも何だかんだ仲が良いのがわかります。
そやって前作の香りをたっぷり出しながらも、物語が進むにつれ彼らが抱える心のほつれのようなものが見えてきます。
今回の続編で四人の内面をより掘り下げており、ドラマとしてより深みが増していました。
皆時間が経ってあの頃のままで居られるわけもなく、色々な困難に進んで行く彼らの姿は、少し考えさせられる部分もありました。
そしてラスト。聞けなかったレコードに針を落としスィングするレントン。
ここのカタルシスはものすごかったです!声が出そうなほどにでした!
この続編も間違いなく「トレインスポッティング」でした、未見でしたら是非前作と合わせて観てください。最高な作品です。