J P さん
男性
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2016年3月27日 to ザ・クリミナル 合衆国の陰謀
版権の問題で劇場公開がお蔵入りとなった作品だが、内容は素晴らしい。
ストーリーは政府の隠蔽した戦争犯罪を暴いた女性新聞記者が、自分に情報をリークした人物を守る為に投獄されてしまうというもの。
サスペンスの目的がリークした人物を暴くことと明確化されており、分かりやすい。
検察側もあくまで目的はリークした人物を追い詰めたいだけで、主人公はその取っ掛かりにすぎず雑魚である。並の映画なら主人公に重大な秘密を握らせて大物扱いするだろうが、そうしないところが好感が持てる。
好きなシーンはマットディロンとケイトベッキンセイルのファーストコンタクトのシーン。この映画はこの2人の対決の映画なのだ、と明確にしているところが良い。
アランアルダ扮する弁護士が大物感を醸し出しながら、いきなり裁判でしてやられるシーンも良い。
この時点で主人公の立場を良くすることは容易ではないことが伝わってくる。
とにかく監督の演出と役者陣の抑えた演技が良い。
刑務所シーンではもっと主人公を追い込んでほしかったが、あの程度がリアルなのかもしれない。
ラストでリークした人物が明らかになるが、さほど驚くこともない。しかしこの映画のサスペンスはそこにはないので、これは問題ではない。
あくまで一人の女性記者が過酷な状況下において自らの信念を貫けるか否かのサスペンスだ。
サスペンス映画というよりもハードボイルド映画である。
この作品から感じられるものは強い孤独だ。
主人公の周りには良い人間が多いが、彼らは心配するだけで無力だ。しかし主人公も逆の立場になれば、大したことはできないだろう。
自らの意思で闘いに身を投じるならば、周囲を責めず頼らず、自らの責任で孤独に戦わなければならないのだということをこの作品は教えてくれる。
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