J P さん
男性
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141件中1-10件
2016年3月27日 to ザ・クリミナル 合衆国の陰謀
版権の問題で劇場公開がお蔵入りとなった作品だが、内容は素晴らしい。
ストーリーは政府の隠蔽した戦争犯罪を暴いた女性新聞記者が、自分に情報をリークした人物を守る為に投獄されてしまうというもの。
サスペンスの目的がリークした人物を暴くことと明確化されており、分かりやすい。
検察側もあくまで目的はリークした人物を追い詰めたいだけで、主人公はその取っ掛かりにすぎず雑魚である。並の映画なら主人公に重大な秘密を握らせて大物扱いするだろうが、そうしないところが好感が持てる。
好きなシーンはマットディロンとケイトベッキンセイルのファーストコンタクトのシーン。この映画はこの2人の対決の映画なのだ、と明確にしているところが良い。
アランアルダ扮する弁護士が大物感を醸し出しながら、いきなり裁判でしてやられるシーンも良い。
この時点で主人公の立場を良くすることは容易ではないことが伝わってくる。
とにかく監督の演出と役者陣の抑えた演技が良い。
刑務所シーンではもっと主人公を追い込んでほしかったが、あの程度がリアルなのかもしれない。
ラストでリークした人物が明らかになるが、さほど驚くこともない。しかしこの映画のサスペンスはそこにはないので、これは問題ではない。
あくまで一人の女性記者が過酷な状況下において自らの信念を貫けるか否かのサスペンスだ。
サスペンス映画というよりもハードボイルド映画である。
この作品から感じられるものは強い孤独だ。
主人公の周りには良い人間が多いが、彼らは心配するだけで無力だ。しかし主人公も逆の立場になれば、大したことはできないだろう。
自らの意思で闘いに身を投じるならば、周囲を責めず頼らず、自らの責任で孤独に戦わなければならないのだということをこの作品は教えてくれる。
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2016年4月3日 to レギオン
人類対天使と壮大なスケールを謳い文句にしているので世界規模の物語が見れるのかと思いきや、舞台は砂漠のちっぽけなダイナー。
この映画設定は「ミスト」や「フロムダスクティルドーン」、「ザ・フィースト」と同じだ。しかしながら「フロムダスク〜」のようなB級に徹することができずに「ミスト」のようにしようとした結果、C級になってしまったタイプの作品だ。
主に脚本・演出の雑さがその要因となっている。
神に歯向かい人類を守ろうとする主人公の天使・ミカエルはある種ターミネーター2のシュワ的なポジションだが、ターミネーターと異なる点は彼が人類そのものに希望を持っている点だ。しかし(強靭な戦闘力を有しているにもかかわらず)、彼の好きな自己犠牲の精神を持つ善良な人々がバタバタと倒れていっても積極的に彼らを助けようとはしない。
ミカエルには一つの重要な使命があるのだが、それを差し引いても善良な一般人を助けようとしない姿勢は天使という設定上、減点だ。
又、天使の肉体的強さの演出がイマイチである。
人智を超越した存在として重火器にも耐えたと思いきや、肉弾戦は人間並み。ここはワンカットでも良いから「マン・オブ・スティール」のような闘いの演出をすべきであった。
そして、このタイプの映画には必須の「限られた弾薬で戦う」という演出もできていない。
台詞では「弾薬を節約しろ」とは言うのだが、主人公のミカエルからして2丁ライフルをぶっぱなしまくるという馬鹿なことをしでかしている。しかも、それにもかかわらず弾薬が尽きることはない。
又、この修羅場においてヒロインの出産シーンがあるのだが、普通の監督ならばこの状況を引っ張ってサスペンスを高めようとするだろうが、この映画は違う。陣痛が始まってものの数分で赤ん坊が出て来る。いくらファストフード店が舞台だからといって赤ん坊までハンバーガーのように出てくるのはいかがなものか。
そしてその後も赤ん坊はどう考えても死ぬだろう状況下に置かれてもタオルに包まれてピンピンしている始末・・・
このように例を挙げればキリがないですが、とにかく終始ご都合主義が目立つ。
又、このタイプの映画にありがちの「過去のトラウマに非日常の状況下で勇気を持って打ち勝つ」という演出も世界観があまりに薄っぺらな為、カタルシスは皆無。
そのくせ説教くさいまとめ方をするので始末が悪い。
以上、この映画は序盤は良いが謎が解明してくるにつれ質が低下する映画の典型である。
よって一番の見所は最初の戦闘となる歩行器付きの老婆戦のみ。
乱暴な言い方だが、ここだけ見れば後は見なくても良いと思う。
しかし、役者陣は良かった。
ポール・ベタニーはやはりカッコいい。
2016年4月9日 to ロックアウト
突っ込みどころ満載の映画だが、一番驚いたのは冒頭のチェイスシーンのCG。手抜きにも程がある。
「メガシャーク」と同レベル程度。
宇宙服で宇宙空間に脱出して救助を待つという無謀な作戦に対して、宇宙服で大気圏を突破して地球に帰還しようとする更に無謀な主人公のクソ度胸に乾杯。
2016年4月9日 to ブレイド3
ブレイド達の武器にかすっただけでも灰燼に帰すというのに、律儀に肉弾戦につきあってくれる優しいヴァンパイア達。
設定がくだらないし、予算の問題かスケールもこじんまりとしているし、肝心のアクションも特筆すべきところが見当たらないという何とも困った映画。
最早ライアン・レイノルズやジェシカ・ビールの肉体美くらいしか褒めるところがないのだが、それだけだとやはり寝てしまう。
2016年4月17日 to ローグ アサシン
冒頭のクレジットで英語表記の前に一瞬だけ日本語表記になるのだが、ジェイソン・ステイサムが片仮名でジェーソン・スタサムパート・・・
仮にも制作費2500万ドルのハリウッド映画で何故このようなことが起こるのか理解に苦しむ。
その後の日本描写も推して知るべし。
しかしラストのどんでん返しには素直に驚かされた。この為、この映画を2回観るはめになった。
ジェット・リーの虚無的な演技も良かったし、ジェイソン・ステイサムもこんな最低な役柄を引き受ける器量には個人的には好感が持てる。
2016年4月29日 to ネイビーシールズ
戦闘シーンは特に普通の最近の戦争アクションと大差ないように思えた。予告編にもある、音を出さないように水辺で死体を支えるところくらいしか見所がない。本物の俳優ではないから面子が地味だし、そういう点でも必ずしもリアルが映画としての面白さに直結しないことが分かった。POVショットもドキュメンタリーでもないのに乱発されると違和感がある。
しかし、必要最低限の言葉と行動のみで任務を遂行する姿勢は見ていて格好いいものだ。
無駄な感情を持たずに目の前のことに全力投球することは一流の仕事の条件の一つだとこの映画を観て改めて感じた。
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2016年4月29日 to 沈黙の処刑軍団
マフィアの抗争もの。
悪人だらけでアウトレイジのような構成だが脚本が酷すぎて何の盛り上がりもなくグダグダで終わる。
セガールアクションは観るべきところがない。
いつもの手抜きだし、そもそもアクション自体が少なすぎる。
唯一の救いはブレン・フォスターの憂いの表情を浮かべたキャラクターとテコンドーのアクションか。
それだけでこの映画を人に推すつもりには到底なれないが。
この監督はセガール映画の常連で「沈黙の監獄」は割と良かったが、こうなってくると「〜監獄」は奇跡の一作ということなのだろうな、残念ながら・・・
2016年4月30日 to ナイトクローラー
結果主義の世界において倫理や道徳などは建前であり求められる本質ではない。そのことに気づいたルイスは素直にそれを行動に移した優等生だ。この世界においては彼は狂人ではないのだ。だから罰せられることもない。
ジェームズニュートンハワードの音楽が清々しく流れる時、主人公はゲスいことをしている。クズな主人公を感動的な音楽で彩っている。実直な問題提起をせずにこの狂った世界に観客を誘う作りとなっている。
同業者であり先輩でもあるジョーの勧誘をルイスはあっさり断る。本来であれば安定した道を選ぶ方が賢いはずだがルイスは知っていたのだ。「この世界においてはどんな優良企業に入るよりも自分が人を雇う側に回らなければ勝利はない」ということを。使われる側から使う側にならなければならないということを。
ジェイク・ギレンホールの入魂の演技の素晴らしさは言わずもがなだが、異常なまでの行動力の高さと一切悩まず囚われずのルイスというキャラクター造形には悪魔的な魅力がある。盗んだ腕時計を誇示するようにいつまでも身に付けている彼は結局のところ何も人間的な成長は遂げていないのだ。にもかかわらず社会的・経済的な成功を収めることができてしまうこの社会にこそ問題の本質がある。
そのことを教えてくれるルイスはある意味でダークヒーローだ。
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2016年5月2日 to グランド・ジョー
登場人物は全員負け犬ばかり。
ストーリーは「グラントリノ」や「ファーナス」を彷彿とさせる。
ニコラスケイジは大仰な演技が好きになれず避けていたが、本作は控えめな演技ですんなり馴染むことができた。入れ墨を入れた逞しい上半身は荒々しい土地で生きる人間をあらわすのに十分な説得力があった。
とにかくこの映画は説明をしない。
ジョーとチンピラのいざこざのきっかけのシーンもない。ただ「前に殴ったやつだ」の台詞があるだけ。
クライマックスの対決シーンも暗すぎて何をやっているのか分からない。それが失敗なのかというと決してそうではないと言えるところにこの監督の力量を感じ取れる。
北野武が普通ではやらないおかしな画を意図的に撮ろうとした時、撮影監督が「自分の名前がクレジットに入る以上、変な構図では撮りたくない」と申し立てたとのこと。もしもこのようなスタッフが撮った映画ならば煌々とした照明の下でのクライマックスとなるのだろう。どちらが良いのかと言えばケースバイケースだろう。しかし本作に限れば「これでいくんだ」という作り手の強い心意気が感じ取れるわけで、このような作品はそれだけで評価せざるを得ない。
暴力的な父親の下で息子がその妹を「あいつはある日突然喋らなくなった」の一言で主人公に紹介するシーンがあるが、その原因を想像するとおぞましい。しかしそれに言及するシーンはその後一切ない。
つまりそういう映画なのだ。
ストーリーも暴力的で救いのない話だが、映画の作りからして無骨で暴力的な空気をまとっている。
こういう空気感こそ「まさに映画だ」と言えるのだろう。
「恐怖を感じるのは生きている証」はエンディングの曲の一節だが、この曲もこの映画の空気感にぴったりの曲である。
2016年5月21日 to ジョン・ウィック
キアヌ復活と銘打たれた本作だが、傑作アクションかと言われると全然そんなことはない。
アホくさい呼び名が微笑ましいガンフーも似たような作品である「リベリオン」のガンカタに比較すると洗練さははるかに劣る。キアヌが細かく動いたりしてリロードしたりするところはまだカッコいいのだが、全体的に見るとなんだかあたふたしているように見えてしまう。
キアヌのルックス自体も中途半端な長髪に髭面があまり似合っていないように思う。
個人的に好きなシーンはKaleidaの「Think」をBGMに敵を殺戮していくシーン。スローテンポな曲とのミスマッチが最高に印象的だ。
ストーリーは笑ってしまうほどにB級。
謎の金貨で交渉が成り立つ黒社会はゲーム的だし暗殺者協会のようなものの存在はギャグとしか思えない。労働組合もあるのだろうかと思ってしまう。
現在「チャプター2」が製作中とのことで、なんだかんだ言ってまた観てしまうんだろうなぁとは思う。