あざらしmam* さん
あざらしmam*さんのレビュー一覧
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5件中1-5件
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感情も思考も遠心分離、このカオスの清澄!(0)
2018年12月18日 to こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話
「優れた映画ほど、既成ジャンルからは逸脱する」というのは今思いついた私見ですがw
幸運にも一般試写で一足早く鑑賞が叶い(ぴあ様ありがとう!) いの一番に熱弁したいのは
「どうかこの映画が凡百の《お涙頂戴》と誤解・忌避されませんように」 コレに尽きます。
《難病もの》《福祉啓発もの》《ゼッタイ泣ける映画》 ぜんぶ違〜〜う!
━━━それなら何だ?
◆
隠しようもなく自分は主演俳優の大ファンです。彼の至芸に惚れ抜いて新作を、新しい挑戦を常に待望しています。
ですが、この映画に彼の姿はなかった。鹿野さんが画面狭しとワガママを尽くし、全力で生きているだけだった。
冒頭から炸裂する自己中/早口/取っつき難いビジュアル。憎たらしいばっかりの上に設定が特殊過ぎて、過去彼が演じた殺人者やどんな異形の者よりも感情移入が難しい。
勢い、振り回される「善良な」周囲の群像に目が行く。
「どうしてそんな裸の王さまに尽くすの?」
当然な疑問から発した興味と気持ちとが寄り添って行く。
才も財も高身長も美貌も、何もかもに恵まれながら劣等感の塊(なんでよ!?) 繊細で潔癖な医学生は、ボラの中に身を置くことで自分の中の偽善と対峙する。
彼に付いてきてボラに巻き込まれる、若くて可愛くて素直、ごく普通で健全なその彼女は、期せずしてたびたび彼の合わせ鏡を任じているよう。
◆
同情か、マウント取りの消費財か。互いに利用し合っているだけなのか。無償の友愛だの奉仕精神だのは実在するのか。
‥‥‥人と人との関わり合いって、何なんだ。
私が日頃から気になっていること
ハンディキャップのある人への接し方、のみならず、民族宗教世代セクシュアリティ社会階層イデオロギー趣味専門分野なんでも
境界線を跨ぐ時のためらいや戸惑いは、乗り越えられるのか。
純粋感情だけで、真実フラットに他人と繋がり合うことは可能なのか。
観ればいい、医学生の田中君と一緒に気付くこと、目ウロコ引っ剥がされることだらけだから!
「生産性」なんて言葉が話題でしたね。
障害者の生産性は、人権は、人生や存在の意義は。
観ましょうよ、強く弱く切なく、息が詰まるほどに美しいそれらが、全編映ってるから!
◆
若さそのまま、真摯で純粋な医学生と彼女
主人公に最も身近く接するうち、べろべろ皮が剥けていく彼らから目が離せない。
困難に襲われるたび憎たらしく強くなる鹿野さんの不撓不屈。
ただ可愛いだけだった美咲ちゃんが、凄まじくイイ女になっていく。
振り回されるばかりの田中くんの何という愛おしさ。
ぶつかり合い響き合う彼らは、冒頭から奔放に鳴り響くさまざま個性的なパーカッションそのまんま
面白く楽しくひたすら可愛くて、揺さぶられるまま笑いも涙も止まらない。
今の世に、ただ人と人との友愛を、こんなに愚直に真っ直ぐに描いた話も珍しい。
強固に標準装備された掛けがねを外されて、心まるごと遠心分離機に掛けられたよう
軽々に割り切れもしない、答えなんか出ないけれども
エンドロールにまた揺さぶられながら、生き返ったような気持ちが清澄な、こんな後味は生まれて初めて
ひとつも悲しくない号泣が詰まった喉が、長くずっと痛い。思い出すたび痛い。大切に大切に痛い。
◆ ◆ ◆
それにしても、キャスティングと演出の、何たる正確と精妙。
少しでも加減を誤れば厭わしく耐え難くもなるシチュエーションが、全編一の甘美。
人間存在の可憐と尊厳を、かくまで崇高に歌い上げる「下ネタ」も、私は初めて観ました。脱帽。 -
いじらしいくらいサービス盛り沢山(0)
2018年11月27日 to グリンチ〈日本語吹替版〉
数知れず応募してようやくに JPプレミアをありがたく鑑賞(T^T)
折々に子どもと観に行くのはむしろディズニー&ピクサー派で、イルミネーションはノリがどうもズレてる感じで敬遠してました。同じ風な食わず嫌い派のお耳に届きますようにv
あまりにも有名な原作絵本はとうにお馴染みで、お人好し過ぎるヘラジカも象のホートンも不思議な500の帽子も大好き。
それらに共通する世界観が、目に綾な現代アメリカのド派手な色彩&めまぐるしい躍動とカメラワークで絢爛に描かれる。
当初慣れるまではちょっと目が回るかも(^_^;)
ファミリー映画の対象年齢ハズレかけの私は中高年、しかも偏屈なオタク(すみません主演目当ての観客ですごめんなさいごめんなさい)
そんな自分には、ノリノリで悩みなさげなフーの村人たちの、集団ポジティブ・ハラスメントか!?って圧すら感じるクリスマス風景は、序盤はツラさを感じかけました。
ところがその渦中に巻き込まれて、やたら高飛車にアタフタしてる真ミドリの異邦人が!どんぴしゃ私自身のアバターで、
ま〜〜ボヤくボヤく、時に「シバレるなぁ〜!」とか口走る(笑)軽妙なセリフ回しが遂に暗く重たくなり過ぎず、彼の惨状や苦境をケラケラ笑ってしまう罪悪感からいつも救ってくれる。
もう笑うしかないドタバタの連鎖、イルミネーションのお家芸のコレが正直苦手だったんですが、
ボヤきまくり悪態をつきながら雪まみれ、なんだか楽しそうに何もかもにドツキ回されてる当人知らず愛嬌たっぷりの彼が、中の人そのものに見えてくるし!
ご当人が頑なに気付かないだけで、小さな友達がいるじゃないか、子ども達は愛らしい、世界は美しいじゃないか。
すれ違いがじれったく思う私は、すでに画の中にドップリ呑み込まれてる。
もう一つの接続点。現代ならではの事情を背負ったヒロイン少女と母親が、おとぎ話をおとぎ話だけにしておかない。彼女らが私のような「ヒネクレた」観客にも手を差し伸べる。
悔しいんですが、こんなファミリー映画に、手もなく終盤ぐっすんぐっすんボロ泣きしてしまいました。ハンカチ間に合わなくて両袖で横殴り。あぁ悔しい。
一緒に観ていた娘が「ド直球のほうが響く年代になりましたな」と慰めてくれました。そうよそんな歳、ホントに私はグリンチと変わらない。
◆ ◆ ◆
恒例の同志への私信です。
演じるお顔が見えれば、どうしても鑑賞の主眼は視覚に行ってしまいますが、ボイスキャストだとソレがない。
なぁんだ声だけか‥‥と若干ガッカリする思いもありましたが、「声に集中できる機会」としてこんな贅沢なことはなかった!
有り得ないシチュエーションで叫びわめく声、イタズラっぽい囁き声、思いのほか艶っぽい悪だくみ声、皮肉で小粋なハミング、
主演出ずっぱりで思うさま百花繚乱シャワーで浴びられます。
大きな声では言えませんが、主演の声フェチは、ぜひとも劇場で観るべきですv -
在日の苦難を描きつつ人類普遍の域(0)
2018年6月14日 to 焼肉ドラゴン
扱っているのが在日の方々の家族史、ということで
小説やメディア作品やネットで触れる以外さほど歴史に詳しくはなく、原作となっている舞台作品も観る機会を得ていない者が、映画作品を初めての機会として観るには、正直言うと身が竦む思いがありました。
戦争、民族、偏見や差別。何一つ解決していないそれぞれが重過ぎ、大きすぎる。
エンターテインメントとして受け取って良いのだろうか。「楽しめる」のだろうか。楽しんで、良いのだろうか。
◆
結論。全っっ然!大丈夫でした。
手が冷たくなるほど緊張して、背中コチコチで見始めたんですが、
監督の大きな掌の上、広いあったかい懐の中で安心して振り回され、何のてらいもなくゲラッゲラ笑って、手放しで泣いて、最後は涙拭くのを諦めてエンドロールを茫然と見送りました。
◆
描かれているのは歴史の狭間に置き捨てられた在日の一家。
時代の波に翻弄されていく小さな集落の中の、さらにちっぽけな一軒なのに
理不尽の極みの苦難も差別も偏見も、すべての特殊事情が燃え盛るマグマとなって、とてつもなくパワフルな人類普遍の家族愛の物語になっている。
胸が潰れそうに痛い、可哀想だ、日本人の一人としてただただ申し訳ない。どうしてもそれは思うんですが、
それをも含め、つらい、悲しい、切ない、やるせない、ぜんっっぶブッ飛ばして
この家族が好きだ、この物語が大好きだ
一人一人抱きしめたい、抱きしめ返してもらいたい
見終えてただ「彼らに会えて良かった」という収支に圧倒的に落ち着く後味が、しみじみと最高です。
なんて熱いマグマに触れたのか、あたたかいエネルギーを頂いたのか。忘れていた沢山のものを思い出させて貰ったような。
◆
何たる贅沢、たった数十人占めで監督と舞台キャスト(次女役)の方のアフタートーク付きの試写会(2018/04/12)で拝見したのですが
なるほど、建込みセットの焼肉屋以外の外界はすべて「舞台では観られなかったシーン」になるんですね(o・д・)
映画ならではの演出もあり(舞台未見の私にも「これは映画オリジナル演出だろう」と分かりました。「舞台ではこうだったろう」って予想も当たりました。そのくらい、てらいなんて卑しさがなく、率直で雄弁な画創りに感じます)
映画らしからぬ「ドキュメント」風カメラ(←監督さま:笑)が捉えた、舞台さながらの臨場感ある長回しもあり(楽しくも実にチャーミングなシーンです、ご期待下さいv)
映画と舞台、両方の世界に精通した監督が
「沢山の方々に支えられた、幸福な作品になりました」と愛情と自信たっぷりに語られる、そうだろうなぁ!と思うしかない熱と温もりに浸りきりました。
◆
もっと泥臭い生々しい世界と人物像を覚悟して勝手に身構えていましたが、その予想もひっくり返されました。
猥雑な活力も横溢しますが、それとは別に、美しさに溢れていることに驚かされました。
エネルギッシュだけど、底堅い品位あるロマンティック。
ラブシーン 綺 麗 でしたぁああーーー!!!
キャスト全員が殻をドッカンどっかんブチ破ってホンットに目ウロコなんですが
誰よりも作品を支えて、父親の品格がとにかく素晴らしいです。彼の語る「声」ひとつで、こんな苦難の底にある人間がなお気高いこと、尽きせぬ愛情に溢れている奇跡に額ずきたくなりました。
観られて良かったぁあ‥‥‥!
「これまでの舞台や映像作品では見たことのない大泉さんの『顔』が撮れたと思っています」
との監督の言に期待度MAXで臨みましたが、その言葉にウソはない! 初めて観るような彼に魅了されっぱなしでした。
いつも通りの、憎めない可愛らしさと苛々しちゃう鬱屈が抱き合わせドッサリ過積載の役柄なんですが
こんな原初のパワーが迸るような、匂うような男っぽい艶っぽさ! 見たことありません。
ゴミ溜めのような一景の中にあって、なんて瑞々しい表情の鮮烈。ため息しか出ない!
◆ ◆ ◆
後日追記。2018/06/12鄭監督・藤村D・嬉野Dお三方のトークショー付き上映会で2度目を観ました。
号泣するのが分かっているのに、八方手を尽くして観たい、公開までなんて待てない!
ただもう一度、あの家族に会いたい!と焦がれる思い。
恐ろしい中毒性だわ。公開したら能う限り通うんだ見てろぉ〜。
初見時、悲鳴が出そうになった箇所があります。
とある登場人物の今後数十年の運命に関わることです。
今回2度目、その同じシーンを、前回には予想だにしなかったとてつもない感慨とともに観ることになりました。
米朝首脳会談という歴史の大きなうねりを、こんなところで、こんなにも他人事でなく、逆巻く動揺もろとも受け止めることになろうとは‥‥!
この2018年6月に公開されることが、この映画の持って生まれた運命なのか、とすら思います。
観るべきです。 -
コレは【第3弾】じゃ終わらない!という確信(0)
2017年11月1日 to 探偵はBARにいる3
またも今年の運を使い果たし、JPプレミア完成披露試写で観ることが出来ました! 後悔なんかないっっo(>_<)o
もちろん【ネタバレ厳禁】で、探BARの熱狂的ファン視点から綴ります。
◆
JPプレミアでの主演俳優氏のご発言の中で、ファン(特に女性ファン)の心をザックリ刺し貫いたのは、
「今回一番大きいのは、探偵がヒロインと一線を越えてしまう、というのがね」
「アッサリ探偵が(越えてはいけない)一線を越える」
との言ではなかろうかと思います。
ソレでなくともティザー予告その他で、
助手に向かって探偵が冷たく「お前はクビだ」だの、「最後の事件」だの、
探偵&高田バディとススキノ世界を熱く愛するファンには1番怖い脅しをさんざん掛けて来られてるところへ
シリーズ初、ヒロインとの女性関係が来たかぁあーーーっっ!!!
マジ怖いでしょ。バディの関係性、探偵さんの人間性、その根幹に関わってくるかもしれない爆弾でしょう。
◆
読者の支持のもと、長く続いている原作シリーズ。
熱いパッションと、精緻な作り込みがバランス良く奏功した、多くのファンに熱愛されている劇場版過去作が2本。
既に確立された世界観にキャラ設定。
前作を超えなければならない上に、築いた物を壊してはならない。シリーズ連作の新作は、常にガチガチに縛りが掛かっています。
━━━以上を踏まえ、前項への観た後の受け止めです。
探偵とヒロインの「一線越え?」該当シーンを観て、新任監督氏の過去作への理解とリスペクトを、私はいっぺんで信頼しました。
探偵ちゃん、壊れない。
彼に寄せる 私たちファンの夢も壊されない。
「ああ、アナタってそういう人!w」っていよいよ愛おしくなりました。
どうか同朋ファンにはご安心頂きたいです。
◆
‥‥‥余談ですが
該当シーンの、当代一の美女ヒロインについては私などが言うに及びませんが、
,゜.:。+゜ 探 偵 の 綺 麗 さ ,゜.:。+゜
ったら何なんですか! ホンの1ショットに席で仰け反ってブッたまげました。
ここだけに限らず、今回ほんっと全編に渡って探偵がとんでもない美人で。
暴力表現エラい苦手で私、毎度ヤラれっぱなしの痛いシーンは、目を背けたいばっかりだったんですが
Vでヤラれる探偵は各所あまりに美人&艶っぽく、ついガン見に惹き込まれ‥‥
リリーさん演じる北城のせいか、エスに目覚めちゃいそうですよアタシw
綺麗なばっかりじゃない、アクション描写がガラッと変わりました!
ずっしりと重たい強さを、高田のみならず探偵の勇姿でも満喫です。
正直、「監督交代したってどれほど変わるの? 脚本も主演も続投だし?」って思ってた自分の不明を恥じます。新監督、ご趣味がイイ!
前作の楽しい珍しい 探偵でしか観られないアクションも大好き!ですけど、
新作のはバディがめちゃめちゃカッコいいのぉおお〜〜〜っ、もぅめろめろですw
◆ ◆ ◆
「第3弾が一番面白い」「決定版!」との最速で観た業界勢の下馬評に対し、一般ファンとしてのジャッジは如何か。
これは個々人の好みの問題なので、飽くまでも「1ファンの意見」としてですが。
叙情浪漫としては、やっぱり『探偵T』が、私には不動の金字塔です。
電話の声だけの依頼人に至誠を捧げる、気高い便利屋さん。
沙織への儚く淡い憧れと思慕を己に認めず、手も握らず終いの彼の純愛。
あんなもの、超えようとか超えられるとか思わない方がいい。
ですが、それ以外は
バディもの、アクション、笑いの質、脇キャラの陰影、苦み深みを増した大人の味わい、すべて最新『探偵V』最高だと思います。
◆
でも、ここで強調しておきたいんですが
真っ平らに3作を並べて評価してるのではないんです。なぜなら、3作は並んでなんかいないから。
作中で、しっかりと「時間」が経過しているんです。あのあと4年をしっかりと生き、戦い、生き抜いてきた探偵さんがいる。
バディの関係性が、動いてる。
‥‥もぅゾクゾクしたぁああ〜〜‥‥‥!
過去作のあれだけ美しい、全観客の涙を搾った完成形がありますよね。
「粉雪のワルツ」を背景に、初めて明かされる哀切な真実があり、後ろ髪を掴んでくる絶望を振り切るかにススキノを全力疾駆する探偵がいる。
あの鉄板のテンプレを、堂々打ち壊してくれましたわ、新監督!
すっげぇ‥‥‥なんて勇敢な人だ(o・д・)
変わってはいけない守るべきものは大切に踏襲する、その一方で、
語り口のタッチが変わり、空気感が変わり、人と人との関係性が変わり。
でもすべては、あのバディとススキノの世界観を熱く愛するファンの歓迎する方向へ。リアルな時の流れに、逃げず真っ向寄り添って。
30半ばの探偵がピュアに思うはT、やっと30の高田が雇い主に懐きまくるはU、そして4年経った今がV。実に相応しい、ちょう納得。
生きて血の通う彼らと街の上に流れる「時」が、こよなく美しい。
同じ時を生きて付き合える、私ら観客の幸せったらないですよ!
「寅さん並みに続く」プログラムピクチャーも、マジ可能なんじゃないか。
『探偵V』は、そう思わせてくれる、広漠と自由な行く手を感じさせてくれました。
個々の一作品としての評価に留まらず、この勇気ある舵取りに、私は心から感謝したいです。
レッドカーペットで高田の中の人が仰ってた「むしろWが観たくなった」って言葉は、だから図らずも凄まじくシンクロするんです、観終わったときの私の気持ちに。
観たくなるでしょう〜〜〜、すでに観た方々が「過去最高!」って皆さま吠えたくるのは、きっと同じ気持ちなんじゃないかな、って思います。
◆
以上です。
長々と、勝手ばかり書きました、済みません、ごめんなさいっ!
でも吐き出さないと死にそうなんだもんっっ!
12月1日が待ちきれなーーーいっっ!!! ヽ(゜Д゜)ノ共感:1人
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爽快にして痛快無比、後味の良さに折紙付けたい!(0)
2015年5月8日 to 駆込み女と駆出し男
何たる幸運! 完成披露試写会を見ることが出来ました。
今年の運はこれで使い果たしたかもしれませんが、悔いはありません。
◆恐がりの方へ◆
観ようかなどうしようかな・・・って考え中の方へ、とにかくこれだけ申し上げたい!って一事から参ります。
私は大変な恐がりでして。原作や人物紹介からしてすでに、女性として耐えられないような怖い目にあった人、恐ろしげな事件があることは予想できますから、観る前は正直ビクビクしてました。
観終わって申し上げます、【怖がる必要はありません!】
恐ろしい事件、容赦のない現実から、映画は逃げていませんが、堪え難くおぞましい描写は一切ありません。
監督の高潔な品性と人間肯定の温かさが、全編包み込んでくれているって観ている間中ずーーっと感じていました。
どうかどうか「怖いからやめよう」なんて勿体ないことはなさいませんように・・・
◆後味のよさ◆
現実のつらさ厳しさ、人間の弱さ悲しさを真っ向から描きつつ
暗さも苦味もそのままに、なおそれを乗り越える明朗さ
何の権力も後ろ盾もなしに決して折れず負けない、知恵としたたかな生命力にあふれた群像が活写されています。
本当に、情けない醜い人がほとんどいないんです。
ヒーローではない、純粋な心根ひとつを守って知恵を絞り、互いに心を傾けて、懸命に生きる人々が
まったくシビレるほどにカッコいい! そして愛おしい。
共感し、応援せずにはおれません。
ですので、見ていてとにかく笑います。
場内笑い声が絶えませんでした。楽しかったぁ〜〜!
音楽に、名場面に泣かされる、よくあることです。
この映画は凄いです、台詞ひとつ思い出して脳内再生するだけで、ドッと涙が出てきます。
だのに悲しくなんかない。
何たって、生き切っている人々の背中の伸びた姿が、実にすがすがしい。
この映画の後味、そのまんまです。
◆新奇かつ王道の時代劇らしさ◆
出演陣のコメントで何度も聞いた「全く新しい時代劇」
正に正に、仰せの通り、素晴らしいテンポとエネルギー。
定型に填まった定石通りの時代劇とは明らかに一線を画します。
けれども、軽々しい現代語でまくしたてるとかでは全然ありません。
冒頭、何とも小粋に登場する主人公・信次郎(ぜひぜひ耳をダンボにして待ち構えて下さい!)が、しょっぱな魅せる口上からして、歯切れ良く伝法な江戸町人ことばです。
見ている私の教養足らずがもどかしい、きっと素敵にヒネリの効いたやっつけで、お上をとっちめてるんだろうなぁーー!って、推し量れるだけ実に悔しいんですが
中身の詳細の全部は分からないでも、江戸言葉のエッジの効いたリズムと洒脱はビシビシ伝わってきます。
現代人のトークと全く同等のスピードで繰り広げられる商人町人の丁々発止なやりとりは、冒頭は置いてきぼりを喰らう人がいるかもしれない速さです。
ですが、大丈夫、全然ついて行けます!
ヒロイン達が登場して道行きが始まる頃には、ぐいぐい物語に惹き込まれ、日本人なら誰でもビシッとチャンネルが合います。
現代とは異なる短さ過酷さ、それを生き切るがゆえの濃密さを持つ人生に、足並みをそろえることで生まれるスピードとライブ感。
いや〜〜〜、シビレました!
◆とにかく可愛いんです!◆
最後だけ、ノロケさせてください(>_<)
主演2人の可愛らしさ、いじらしさ、瑞々しさ。
2人して見事に、賢さもレアな個性も、純粋さもマジメさも、
身内には愛されても、世間的にはちっとも報われない。
ぶきっちょな世渡り下手が、危なっかしくも胸が痛くなるほど愛おしい。
信次郎ってば、歴代の時代劇ヒーローもビックリな、胸すく格好良さを見せ付けるかと思えば、
こと自分のことになると、信じられないほど【へったくそ】なんです!
思わず肩入れのあまり、画面に向かってヤジ飛ばしたくなる。
ああもう、そうじゃないでしょう!(可愛くてたまらねぇ〜〜っ!)
それがね、最後にはね・・・・・
ああもう、公開まであと2ヶ月だってぇええ!?
拷問ですよ、毎日だって見たいのに!
あんまりツライから、ここへ吐きだしに来たんです。
こんなレビュー長すぎて誰も読まねぇよ、構うもんか!
◆◆◆
最後にとにかく叫びたい、監督、快作を本当にありがとうございました!
明日っからまた雄々しく生きて行けますよアタシぁ。
大泉洋、あなた本当に唯一無二だ、最高だ!
どこにもいないオンリーワンの信次郎、本当にありがとう!
最後まで読んで下さったご閲覧の方にも、心より感謝を(^人^)
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