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瀬戸利樹 「大切な人に想いを伝えることは大事」アニメ映画『君は彼方』インタビュー
(2020/11/27更新)

撮影:山口真由子
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東京・池袋を舞台に女子高生・澪(松本穂香)の恋と成長を描く青春ファンタジーアニメ映画『君は彼方』が、11月27日より公開となる。
高校2年生の澪は、本気で努力することが苦手な性格だが、幼馴染の新(瀬戸利樹)と親友の円佳と、放課後は池袋で遊んで、それなりに楽しく生きていた。そんなある日、円佳に新のことが好きだと告げられたことで、自分も新の事が好きだったことに気づく。3人の関係が崩れることが怖く、自分の気持ちが言い出せないでいた澪だったが、ようやく思いを伝えようと決心し、新の元へ。だがその途中に交通事故に遭ってしまう。そして、気が付くと、目の前にはいつもとは違う不思議な世界が広がっていた――。
瀬戸利樹は本作で声優に初挑戦。主人公・澪の幼馴染で、恋の相手でもある新(あらた)を演じた。澪に対して自分が好きだという想いを伝え、その想いをはぐらかされても澪のために奔走する新の姿は、瀬戸自身の真っ直ぐなイメージとも重なるが、本人は「似ているようで、似てない部分も多い」と言う。
瀬戸はどのようにして本作と向き合っていったのか。そして、そこから受け取ったものは?一つひとつ思い返しながら、丁寧に語ってくれた。
声優に初挑戦!

――脚本を読んだときの感想を教えてください。
初めて読んだときはシンプルで王道のストーリーなのですが、その中で二転、三転する出来事があって、そこが面白いな、という感想を持ちました。それでいて登場するキャラクターもすごく魅力的で。その時点ではどのキャラクターをどなたがやるかは決まっていない部分もあったので、これは誰がやるんだろう?って、想像をしたことを覚えています。
――今回、声優は初挑戦でしたが、事前にどんな準備をしましたか?
とにかく初めてで何をどうしたらいいかさえわからなかったので、出演が決まったときに、瀬名(快伸)監督に個人レッスンをしてください、とお願いしました。瀬名さんはご自身で声優もやられているので、そこで声優としての基礎を教えていただきました。

――レッスンでは具体的にどんなことをしたのですか?
普段、僕は俳優をやっているので、演技をするときは自分で実際に動きながら声を出しているんですよね。なので、まずはそれと同じように、『君は彼方』の台本を、動きをつけてやってみる、というのをしました。
そこから今度は動きを無くして声だけにすると、何が足りなくなるのか、というところで、声量や声域を意識するようにして。
思っていた以上に、アニメだと声を出さないといけないんですよね。あと、実写とは違って、アニメでは声域が変わってしまうと、違うキャラになったように感じてしまう可能性が高くなるらしくて。なのでその部分は大事に、気を付けながら取り組みました。
――最初に新の声を聴いたとき、瀬戸さんの声とはすぐには感じられませんでした。
新には大人っぽい部分があるので、僕の地声よりは少し低いところをベースに作っていきました。なので収録では感情が入り過ぎると、新の声から外れてしまうこともあって。そうすると、自分でも、これは違ったな、と思うのですが、監督からも「もう1回」って言われて(苦笑)。でもそういう基準が自分でもわかってできていたことは良かったな、と思います。
新は僕とは似ているようで、似てない部分も多い

――新はどんな人だと思っていましたか?
すごく真っ直ぐで素直な青年だなと思いました。僕とは似ているようで、似てない部分も多くて。僕は結構、奥手なところがあるんですけど(苦笑)、新は自分の伝えたいことはちゃんと言葉にするし、行動もするので、憧れる要素がたくさんありました。
――瀬名監督からは新のキャラクターについて説明はありましたか?
澪の幼馴染として真っ直ぐに愛おしいという気持ちを持っている、ということと、その新の素直さや、真っ直ぐさに、僕自身が持っているものを上手く使ってほしい、と。僕自身を吹き込ませてほしい、と言っていただきました。
――瀬名監督から新役に瀬戸さんを起用した理由は聞きましたか?
もともと瀬名監督の中に何人か新役の候補がいらっしゃったようなんですけど、その中の一人目として僕と食事をする機会を作ってくださって。そのときは本当に他愛のない世間話をしたんですけど、その食事会の最中に「君と一緒にやりたい」と言ってくださいました。
それで後日、なぜ僕に決めてくださったんですか?って聞いたら、「新のように素直で真っ直ぐな人柄を感じて決めました」とおっしゃってました(照笑)。
――瀬名監督は一緒に仕事をしてみて、どんな方だと思いましたか?
第一に、愛のある素敵な方だな、という印象があります。作品やキャラクターに対してはもちろんなんですけど、それを演じる僕らに対しても愛をくださる方です。
ラストシーンのアフレコのとき、最初、監督はベースの方にいたんですけど、いよいよラストシーンを録る、ってなったときに、僕と松本さんがいる録音ブースの方へ来てくださって。それで、ベースとブースをつなぐ音を切って、3人だけで話す時間を作ってくださいました。
そこで改めてこの作品に対する想いや、僕らへの想いを話してくださって、瀬名さんのこの作品へ懸ける想いをひしひしと感じて。絶対に瀬名さんの期待に応えたい、という、その一心で挑みました。

――主人公・澪はどんな人だと感じましたか?
めちゃめちゃ共感できました(笑)。澪は誰もが感じることを体現しているキャラクターだと思います。言葉にしないといけないことを、面倒くさいとか、恥ずかしいと思って避けてしまうところとか。
――演じた松本さんはわりと思ったことをはっきりと伝えるタイプみたいですが。
そうらしいですね(笑)。なので、そこは新と澪とは逆で、僕の方が澪に似ていて、松本さんの方が新に似ているのかなと思います。でも、自分の気持ちを伝えるのが恥ずかしい、と感じてしまう人の方が多数だと思うので、観る方は澪に共感してもらえると思います。
――松本さんの印象も教えてください。
僕の中でイメージをしていた澪の声が、松本さんの声そのものだったで、一緒にアフレコをして、その第一声を聞いた瞬間に「うわっ!澪だ!」って思いました。
僕は声優のお仕事が初めてでしたが、松本さんは経験者ということもあって、さすがだな、と思う部分がありました。僕はしがみついていくだけで精一杯でした(苦笑)。
2人のシーンを録る前に、瀬名監督が「エチュードをしよう」と言ってくださって。それでデートシーンを声だけじゃなくて、動きもつけてやるという時間があったので、そこでコミュニケーションも取れて緊張も解れました。監督には本当に感謝です。それをやれたか、やれなかったかで、たぶん劇中のデートシーンも変わってきたと思うので、良かったな、と思いました。
大切な人に想いを伝えることは大事

――本作は池袋の風景をリアルに再現しているところも見どころですが、瀬戸さんは実際にアニメを観て、どのように感じましたか?
実際にある建物なども登場するので、それを知っている人は不思議な感覚になると思います。知らない方にも、この作品を通して“アニメの聖地”でもある池袋を知る機会となってくれたらと思います。僕自身、以前、池袋の周辺に住んでいたこともあって、思い出もある場所なので、そこが舞台になるのは嬉しかったです。
――瀬戸さんにとっての思い出が詰まった場所はどこになりますか?
地元の公園かな。すごく広いんですけど、遊具とかはあまりなくて、ただの敷地みたいな感じのところで。中学生の頃とか、僕自身は反抗期がなかったんですけど、友達の家出に付き合ってそこに泊まったり。僕は親ともケンカしていないし、悪いこともしていなんだけど、放っておけなくて(笑)。
最近はなかなか帰れていないんですけど、地元の友達と遊びに行くときは、今でもその公園に集合したりもするので、すごく思い出深いです。
――澪や新と同じ、高校時代での印象的な出来事はありますか?
文化祭です。それも自分の学校のではなくて、友達の学校の文化祭に行くのが好きだった、というか、それを楽しみに高校生活を頑張っていました。僕、同じ高校の友達より、中学の頃からの友達とずっと遊んでいたので、高校は放課後にその友達たちと会うのが楽しみという感じで。ただそれに関しては後悔もあって、やり直せるならやり直したい、と思うくらい。
なので、今、現役の学生の人たちには、本当に学生生活を楽しんでほしいな、と強く思います。後悔のない時間を送ってほしいです。大人になってしまうと、あの頃のようには遊べなくなってしまいますからね。

――本作への出演が決まった際、“誰もが本来の自分を探すヒント、向き合える作品だと感じました”とコメントされていましたが、瀬戸さん自身がこの作品を通して、改めて自分と向き合ったところはありましたか?
大切な人にしっかりと気持ちを伝える、ということは、改めて大事だと思いました。僕自身、仲がいい人ほど、照れくさくてなかなかそういう言葉を言えなかったりするので。なので、そういう人たちに感謝の気持ちを伝えたいな、と思いました。
――実際に誰かに伝えましたか?
親にはすぐに伝えました。ただ友達にはまだできていないです(苦笑)。でも映画が公開したら友達にも観てもらって、それで気持ちを伝えようかな、と思います。
――本作はコロナ禍を経て、より作品に込められたメッセージが強くなった気がします。
そう思います。このご時世になって、直接会うということが、そんなに簡単にできることではなくなってしまいました。だからこそ、会える時間を大事にして、気持ちを伝えてほしいな、と思います。
――最後に改めて本作の見どころを教えてください。
映像美はもちろんなのですが、やっぱり大切な人に想いを伝えることは大事なんだ、ということが一番に伝われば、と思っています。個人的には観ていただくのは楽しみでもあり、不安な気持ちもあるのですが、観たあとに、自分も大切な人に気持ちを伝えたい、と思ってもらえたら嬉しいです。
――ちなみにアニメ好きの瀬戸さんとしての見どころは?
殯(もがり/竹中直人)と澪のシーンです。アニメーションならではの画でもあると思いますし、ハラハラドキドキします。詳しくは言えないのですが、あのシーンはぜひ観てほしいシーンの一つです。
「この声が瀬戸さん?」と一瞬、疑ってしまうほど、声優初挑戦にも関わらず、新というキャラクターになりきっていた瀬戸さん。“大切な人には、会えるときにその想いを伝えておく”という作品に込められたメッセージとともに、瀬戸さんが命を吹き込んだ新を劇場で感じてほしいです。
取材・文:瀧本 幸恵
映画『君は彼方』
11月27日(金)全国ロードショー
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