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母と子の“自然な距離感”を描く。大森立嗣監督と安田顕が新作を振り返る
(2019/02/27更新)
大森立嗣監督が安田顕、倍賞美津子らをキャストに迎えた新作映画『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』が公開されている。宮川サトシの同名コミックが原作で、母と息子の日々と別れを描いた作品だが、過剰な盛り上げや、“泣かせ”の演出を排し、俳優陣の絶妙な距離感と演技をじっくりと堪能できる作品になった。

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本作の主人公サトシは、多くの子どもたちと同じように優しくて、時に厳しく、時に強い母に育てられた。やがて、サトシが30代の後半に差し掛かった頃、母はガンを宣告される。これまで幾度となく母に救われてきたサトシは、母を救おうと奔走する。
大森監督は『ぼっちゃん』や『さよなら渓谷』などの作品で人間の感情の変化を巧みに描き出してきたが、原作漫画を読んで「剛速球の“直球”で描かれている作品なので、自分に映画化できるのかな? と思った」と振り返る。「でも、宮川さんの他の漫画を読んでみると、この作品もそうですけど、ちゃんと題材と距離感をもって描かれていることがわかりましたし、僕にとってもチャレンジだけどやってみようかな、と」
監督が語る通り、本作は息子と母の別れ=死別が描かれるが、ユーモアや客観的な視点を交えて物語が綴られているのが特徴だ。安田は「すべては原作と脚本に書かれていました」という。「原作を拝見した時に感じたサトシと母の絶妙な感じ、脚本を拝見して感じた“重く”ならずに日常におけるユーモアを描いている感じ……最愛の人とお別れすることは“重く”なりがちですけど、そこをいかに描くか? すべては原作と脚本に書かれていましたので、それに沿って演じさせていただきました。それに倍賞さんだったり、石橋(蓮司。サトシの父を演じた)さんだったり、素晴らしい俳優さんの中でやらせていただいて、大森組がつくる雰囲気に溶け込んで演じることができたのが大きかったと思います」
愛する母との別れが悲しくないわけがない。しかし、そこにいたるまで多くの親子は楽しかったり、腹立たしかったり、相手をうとましく思ったり……山あり谷ありの日々を経てきている。本作は、そんな誰もが経験してきたであろう感情を俳優陣の演技で軽やかに描き出している。「僕は計算高くできるタイプではないので」と笑う大森監督は「撮影現場で倍賞さんと安田さんが向き合った時に自然とできる距離感みたいなものを大事にした」という。「人間というのは普段はそんなにもベタベタとしていなかったりもするので、タイトルだったり、原作のイメージだけで作らないで、セットだったり、ロケの場所だったり、ひとつひとつのシーンを具体的に明確にしていくことで、俳優さんの距離感が自然にできると思ったんです。それに原作の漫画も読むと面白い部分はあったりするので(笑)、一生懸命だからこそ、どこか滑稽に見えてしまう部分だったり、どこかで“一歩引いた”部分から描いていきたいとも思っていました」
そんな大森監督を安田は「とても信頼できる監督」と断言する。「監督はいつもカメラの横にいらっしゃって、“俺は俳優の芝居しか見てないから”とおっしゃる。いつも芝居に寄り添ってくださる方で、何かを“言う”でも“言わない”でもなく言わない“風”なんです。小道具もすべて用意はされているんですけど、俳優はそれを使っても使わなくてもいい。とても信頼できる監督です。だから大森監督には早く次の作品で呼んでほしいんですよ……通行人の役でもいいですから(笑)」
素晴らしい俳優と、美しいロケーションで描かれる本作は、俳優の細かなやりとりや表情の変化、自然にわきあがる感情を丁寧に描き出している。
『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』
公開中
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『 母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』作品情報
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