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勇敢な者と卑怯な者
2007/7/14 10:01
by
アキラ
飛び道具とは卑怯なり。タイマンで兄貴に泣きつくとは卑怯なり。トロイ側の王子(弟)とギリシア側の王は語り継ぐに足らん。そんな奴に限って長生きする。語るに足る英雄は先に死ぬ。誰もが知る”トロイの木馬”って物語からペーターセンが抽出して描いたのはそんな点に思える。ちゃんとブラピを活躍させてスター映画として分り易いカタルシスで成り立ってる訳だけど、それでいてメッセージを感じる。
考えてみればドイツ時代の『危険な年頃』からハリウッド的な何も残らないカタルシスがあるオチを付けているが同時に全体からは世の理不尽を感じさせるのがペーターセンの味。最も分かり易かったのは『Uボート』だが『エアフォースワン』や『シークレットサービス』でも、表面的には米国万歳でありながら悪役であるはずのテロリスト側により魅力的な人間味を持たせているし『昼と夜のような白と黒』や『第五惑星』でも主人公が偏見に狂った対立相手が主人公に情けをかける。対立を描きながらも、どちらかが死ぬ事を決して一概に良しとはしない。今作もそんな対立構造を持つ話に仕上がってる。平凡な大作だが少なくとも残る物が何もなくはない。
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