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「四騎の会」が脚本
2021/4/5 16:32
by
エルオレンス
市川崑、黒澤明、木下惠介、小林正樹と言った巨匠4人組によって結成された「四騎の会」が脚本を書き下ろしていると言うので、押取り刀で視聴しましたが、あるレビュアーが述べているように「勧善懲悪」の話で「四騎の会」のストーリーとしては期待大過ぎたと猛省。藩に汚職がはびこり江戸に出府中の殿様から命を受け、町奉行に着任した主人公、望月小平太=どら平太(役所広司)。「濠外」と呼ばれる無法地帯を、藩の重職たちは見逃す代わりにそこを仕切る「三人の親分」大河岸の灘八(菅原文太さん)、巴の多十(石倉三郎)、継町の才兵衛 (石橋蓮司)から、貧すれば鈍する藩の財政のために上納金をせしめていた。「荷抜け」「ご禁制品密輸出入」「売春」「賭場」あらゆる悪事を働き大いに稼ぐ「三人の親分」達。そこに「濠外」の掃除を命ぜられた主人公「どら平太」が現れます。
藩の腐りきった重職たちに対して若さ故の精錬潔癖さで、新任の町奉行の行状を見逃せないと殺害を目論む御徒組の侍たち、濠外の既得権益を必死に防衛しようとする親分たちと無頼漢、正に「四面楚歌」状態です。台詞廻しが最高に好きです。台詞が被るってごく当たり前にように見えて、映画ではあまり遭遇しないような気がするのですが、それを実行するセンスが好き。悪人達も必要以上に傷つけません「罪を憎んで人を憎まず」。総勢数十人斬りのシーンも峰打ち。【四十七人の刺客】でも見られた闇の中に煌く日本刀の光、市川崑監督、特有の緊張感溢れる演出です。終わってみれば主人公どら平太の胸に全ての悪事が秘められてお終いと言う爽快な時代劇です。こせい(浅野ゆう子)は責められませんが、ラストシーンはあまりにも滑稽で、やりすぎの感はありますが、役所広司の上手い演技力、アレグロなテンポの良い演出、痛快で楽しい時代劇でした。
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