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農耕民族の感想
2021/4/5 18:56
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えんぞ
この旅は往年の西部劇で描かれていたような開拓精神にあふれたものではない
テレンス・マリックが描いた「天国の日々」の渡り鳥的な労働者の話でもない
また アメリカン・ニューシネマが描いてきた反体制で
愛と平和 自由を求める旅路でもない
ましてや 社会からはじき出された人たちを同情のまなざしで見つめるものでもなければ
声高に貧困格差社会を批判するものでもない
旅はアメリカ人の伝統よというセリフがあるように
この映画が描き出したの本質的で深層の部分だと思う
大地と同化し 雪の寒さに耐え 川の流れに身をゆだねる
魂の徘徊そして解放の道行を描写しているのだ
お金 職業 名誉 家族・・・最後は何も無くなって孤独だ
一人の人間として 命が尽きる時はこんな夕焼けだろうなと思わずにはいられない
人生という旅路の果ての後悔と鎮魂に胸うたれるからこそ
この映画は傑作だと思う
豪華な設備のキャンピングカーは買えないけれど
孤独を愛する意識高い系のオジサンになるためにソロキャンプの道具一式そろえるか
燕を見にいくのだ
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