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【死と、生存欲求だけが―】
2020/8/19 8:01
by
らりほう
茶を淹れる ― その行為が父と息子で反復される。それだけで、息子の父に対する敬意と、父の志しが継承されている事を簡潔に示す。
赤を謳った邦題に対し、作品には徹底して“色”が無い。
特に中盤 列車を降りた後は ほぼ白黒二色の色彩無き世界と為る。
それと同時に、息づかいや咀嚼音、地吹雪等の 非音声=環境音だけが耳に入る。
死と、生存欲求だけが画面を支配している―。
〈追記〉
『資本主義国家が崩壊を免れたければ、ソ連の方法を取り入れるべきである。
以前、私がそう警告したことは正しかった。
ソ連では希望こそ思想の中心である。
階級が無く、淑女や紳士がおらず、誰もが友人であるような国にいるということ、
それは稀に見る清々しい経験だった。
明日、私はこの希望の土地を去り、我々の絶望の国へ帰る。』
― バーナードショウ
世界恐慌の只中に 経済発展を遂げていたソ連を訪れたバーナードショウの報告である。
そして、その『権威ある発言』を 多くの人が盲信したであろう事は想像に難くない。
NYタイムズ:ウォルターデュランティも その権威の一つか。
盲人もし盲人を導かば ― 愚かな国家を盲信した権威者の、その言葉を盲信した人々の行く末がどうなるかなぞ必定である。
リテラシー 〜 常に疑符を持ち考察し続ける事。
首相夫人の威光に肖った某学園に 皆がひれ伏し その暴走の片棒を担いだ様に、社会を生きる上で 無関係の清廉潔白者など 自己を含め誰もいないのだから―。
《劇場観賞》
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