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今年日本映画を観た中でのNo.1の映画で蒔田彩珠は演技賞もの
2020/11/7 23:35
by
えり蔵
"映画の教科書″のような映画である。
太陽の光の上手い使い方(主人公の名前であるひかりをかけていると思う)、脚本の素晴らしさ(特に台詞)、ピアノによるシンプルな音楽、主要な登場人物4名の演技の自然さなど凄く良く出来ている。またドキュメンタリーの要素を取り入れ、少しミステリー仕立てで緊張感がある。
これだけ整い過ぎると逆に欠点を探したくなる。例えば養子縁組の場面など少しPRのやりすぎではないかと感じるときはあった。しかしこの場面も浅田美代子のホンワカした雰囲気がやりすぎ感を救っている。
他にも少しあざといと感じる場面はある。しかしその幾つかのマイナス面をカバーしているのがひかり役の蒔田彩珠なのである。
この映画蒔田が実質的な主人公といって間違いない。主人公のひかりは予期しなかった妊娠出産という経験からトマス・ハーディの『テス』の主人公のように人生の坂を転げるように落ちていくのである。純粋な中学生だったひかりが世捨て人のようのような女に変貌していく蒔田の演技が素晴らしい。出産してから数年間で彼女の表情や姿から廃れた生活を送ってきたことが想像できるのである。
2年前の『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』で共演した南沙良と蒔田の心に迫ってくる演技を観て感心した。それから2年蒔田彩珠という才能が順調に開花しているのを確認した。次回の映画の出演作が今から楽しみである。
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