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人間ドラマがテーマのSF
2019/9/27 16:07
by
悶mon
本作品は、ジャンルとしては、SFなのですが、SF作品にありがちな、アクションシーンは控えめで、人間ドラマに重きを置いた作品と感じました。
時代設定は、はっきりと示されていませんが、月旅行が当たり前になり、火星に基地を作っているという、そう遠くない未来。
主人公ロイ(ブラッド・ピット)は、宇宙飛行士として活躍していたが、父(トミー・リー・ジョーンズ)の存在について、トラウマがあった。
父は、知的生命体の存在を探索する計画のリーダーとして、宇宙に旅立ったが、16年前に、海王星付近で、消息を絶ち、死亡扱いとなっていたのだ。
ロイは、ある日、アメリカ宇宙軍に呼ばれ、父が生きているとともに、太陽系を滅ぼしかねないある計画に関わっている可能性があると伝えられる。
ロイは、父の生存を確かめ、その計画に関与しているか、探るため、宇宙に旅立つが…。
物語のほとんどは、地球を飛び立ち、父の消息不明となったとされる場所までの、長い宇宙旅行ですが、途中、アクションシーンは多少あるものの、リアリティのある宇宙空間が描かれます。
スター・ウォーズのような、派手な戦闘シーンによる「音のある宇宙空間」ではなく、現実に即した「音のない宇宙空間」です。
イメージとしては、「2001年宇宙の旅」や「ゼロ・グラビティ」でしょうか。
火星への有人探索も夢でなくなった現在、このまま技術が順調に進歩すればこうなるだろう、という描き方です。
だから、SFといっても、単なる空想物語とは受け取れませんでした。
この作品の物語展開は、あまり起伏に富んだものはなく、ロイの独白がかなり多くなっています。
ここで語られるのは、先述の父に関するトラウマで、博士号まで持ち、優秀な宇宙飛行士として英雄視されていた父への畏敬の念です。
「父と対峙するのが怖かった。それは、今でも同じだ」とロイは独白します。
父が優秀で、尊敬される人物であればあるほど、息子は、父を越えられるかというプレッシャーに苛まれる…というのは、多分、世界共通で、この作品は、この父と息子の関係を、宇宙を舞台に描いた人間ドラマだと感じています。
なお、以上の状況から、エンタテインメント性は、薄めなので、そういう物語を期待する方だと、楽しめるかな、という疑問があります。
人間ドラマ重視なら、満足できる出来栄えだと思います。
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Re: 人間ドラマがテーマのSF
2019/9/30 22:34 by
みかずき
こんばんは。悶monさん。
みかずきです。
私の所へのレスありがとうございます。
悶monさんのレビュータイトル通りの作品でしたね。
もっとアクションシーンが多いと思ってましたが、シリアスな現代劇のような雰囲気がありました。
近未来を描いているのですが、新味はあまり感じませんでした。今、想定されている将来の科学技術を描いているので、日常的にさえ思えました。近未来が現実のように思えました。
作品テーマを考え、作り手側が意図的にしたことだ思いました。
最近は、目が回る程、展開が早く、派手で、見栄えのする作品が多いですが、本作のように、丁寧にじっくりと作品テーマを描いてくれる作品もGoodですね。
明日から10月ですね。
話題作が目白押しなので、面白い作品が観られることを楽しみにしています。
では、また。
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