映画情報のぴあ映画生活 > 作品 > 思い出のマーニー > 感想・評価 > 突出していて、歪で
突出していて、歪で
2014/7/30 3:27
by
しーもあ
公開前に原作小説読んでます。けど、あまり面白くなかった感想でした。
映画では、原作のかなりの部分を忠実にそのままなぞっている印象です。舞台全然変わりましたけど、でも変わってない部分も多い。例えば杏奈の性格、近所の子との喧嘩のやりとり。原作で上手くいってないのを引きずっちゃったところもありますし、逆に、アレンジして失敗したところもまたあると思います。
上手くいっていると思える部分で一番印象に残るのは、マーニーと杏奈のやりとり。僕はそう思います。いえ原作通りでもあるし、説明するのが難しいな…。
二人が一緒にいる心の交流の場面が、そこだけ孤立して浮き上がっている感じがするんですよね。なんで仲良くなって行くかもよく判らないのに。そして、それまでつまらなそうで寂しそうだっただけの主人公杏奈が、急速に生き生きし始める。
二人が出会ったり過ごすのはほとんどが水辺なのですが、水の表現が美しいです。夕暮れの浅瀬に足首まで入って立ち竦む少女二人の絵とか、ちょっと絵画的な感じがします。非日常、ふわふわ感、これがそのまま物語の核、ストーリーに繋がります。
つまり、異化装置としてのファンタジーなんですよね。展開もあまり無く、二人は親密になっていく。ストーリー的には孤立している感じもしますが、マーニーと杏奈が一緒にいること、そこをこそ見せたいのであり、そこに何かの気持ちを傾けられるかどうかの作品だと思うのです。
上手くいってないところや、むしろ気に入らない箇所も多くあるとは思っていますけど。例えば日本舞台にした意味があったのか、とか。原作から受け継いでる部分で、説明過多で設定有り過ぎなとことか。歪なんですよね。凸凹で、悪い所と良い所が並立している感じ。
でも、ある一定の気分に共感出来る人ならば、面白く観れるんじゃないかなと思います。
1人がこのレビューに共感したと評価しています。
※ユーザー登録すると、レビューを評価できるようになります。
返信を投稿
Copyright©2021 PIA Corporation. All rights reserved.