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感動は原作ありき
2012/12/23 22:55
by
蓮華
そりゃ感動しますよ、あの偉大な大文豪の原作を使えば!
それを省いて評価するなら、個人的にはもう少し頑張れた気がする大作映画です。
もったいない…という意味で。
(原作は私の座右の書。。)
原作のいいとこ取りなのは当然ですが、踏み込んだ部分の表現力や深みが若干足りない…全体的に浅い印象です。タイトル、“哀れな民衆たち”ですよ。贖罪、愛、魂の浄化、一人の男…を表現するには、かーなり勇み足で詰め込みすぎです><
歌唱力だけで補ってます。ミュージカルなので歌に込められた魂を感じようって意図は間違ってないんですが、映画なのでもう少し…歌少なくても。。だってどうしたって舞台=動、映画=静なワケですし…(要するに映画は演技力とか“間”とかで魅せてほしい時もあるワケです^^;)どうにも辛口ですみません。。愛ゆえです!
ポイントは要所要所おさえてるので、これまでのレミゼ作よりは、かなり健闘してるとは思います。序盤から映像美と歌の力に引き込まれます。本作はライブ歌唱だそうですね。別録りのリップシンクではないので迫力が桁違いです。主役ヒュー・ジャックマンは存外歌ウマイですねー、感心。むしろ舞台ジャン・ヴァルジャンで名高いコルム・ウィルキンソンが司教役で出てきてビックリしました;(映画は前知識ゼロで観るのが好きなので) それだけでこの映画のレミゼへの愛が伝わってきます。
しかしどうしてもエンタメなので、敢えて万人受けできるよう簡易に楽しく作り替えられてますし、映画的映像美も華やかで魅惑的だし、そこいらは素直に楽しめるのでいいんですが(深淵は原作読みゃいいので)、原作が偉大すぎるが故に、この物語を観た人が、本物のレ・ミゼラブルを知った気にはなってほしくないかな、と^^;
そんなモヤモヤがずーっと頭を駆け巡る私の脳…
本物(原作)に触れる、とっかかりになってほしい作品です。ミュージカルとしても素晴らしい出来だと思いますので。
映画としての評価は。。
何度も言いますが役者陣の演技力に任せてもいいんじゃ?ってシーンも多々あり。映画で全編歌だと全部クライマックスに見えて緊張で少々疲れました(すみません)。そして若干…若干音楽(歌)総てが軽く感じました。どうしてだろう…
ジャヴェールは私的に最もミスキャスト。。もっとエグいくらい際どい執念の演技で身体張って見せてほしい。それでこそ終盤が引き立ち、観る者の衝撃も大きく、人の心に突き刺さるってもんです。。もう一人の主役なんですもん。
ヴィクトル・ユゴーが本作で描ききろうとした人間の内なる良心や闇に潜む光を表現するには、演技が善に近すぎます。
しかしミュージカル物はどうしても面白く見えてしまいます。大好きです。歌って本当に素晴らしいなぁと。
今、心に一番残っているのはエポニーヌの歌声。
彼女の『恵の雨(Little Fall of Rain)』だけでも観る価値ありですね。
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