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出木杉のびた さん

出木杉のびたさんのレビュー一覧

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2466件中1-10件

  • 90点 匂うように美しい(0)

    2018年5月30日 to 妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII

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    シリーズも三作目。テーマは主婦労働と、特に目新しくもないが、日本の家族に於いてはいまだに解決の糸口の見えない、根深い問題でもある。主婦労働は対価を伴わない。故に単独で働く夫は、妻や子供を喰わせてやっていると思い込んでいる。しかし、それは家を守ってくれている妻に対しての、正しい評価だろうか。妻が片時も休む暇なく家事労働していているからこそ、夫は安心して働けているという視点が欠けているところに問題があった。

    史枝(夏川結衣)には、やりたいことがあった。自分も働いてみたい。習い事をしたい。フラメンコとは怒りの踊り。主婦の秘めた鬱憤を晴らすには、ちょうど良さそうだ。切っ掛けは空き巣に入られたことだが、盗まれた物が夫・幸之助(西村まさ彦)には気に入らない。怖い思いをした妻へのねぎらいはなく、責めるばかりの悪役だ。カメラを移動させてのこのシーンの長回しが効果的。辛い気持ちに忍び泣く史枝と、何も知らずに帰ってくる子供たち。理解してもらえない主婦の孤独と哀しみが際立っていた。

    次男の庄太(妻夫木聡)が、幸之助を説得するシークエンスもいい。離婚の危機の話の背景では、正反対の出来事が今まさに進行している。これは黒澤明監督の『生きる』の、某シーンをイメージしたリスペクトに他ならない。ここでは庄太の義姉への思いも垣間見えて、興味深い。

    義弟に“匂うように美しい”と評された役を演じる、夏川結衣も素晴らしい。実質本作の主役だ。過去二作で家庭内で酷い扱いを受けていた印象なので、満を持した内容だ。欲張った芝居をしない、自然体の演技が実にいい。憲子(蒼井優)曰く、片時もじっといていたことがない主婦の甲斐甲斐しさが、押しつけがましさがなく自然だ。

    橋爪功、吉行和子の超ベテランも含めて、この家族のキャスト陣は、安心して楽しめる。見事な演技のアンサンブルと、山田洋次監督の間合いが心地良い。

    本筋からはそれるが、「男はつらいよ」ファンの胸を揺さぶるようなあの場所の登場には虚を突かれた。更に、中嶋朋子のあの一言。いつもとは違う呼び方に、つい思い出してしまう。その言い方がとても良かったので、思わぬところで涙してしまった。彼女もまた、兄を心から心配しての苦言なのだ。

    さて、終盤ある報せがもたらされる。これは次回作への布石なのか、それとも単なるサービスカットか。何れにせよこの大家族の物語を、また観たいと思える三作目であった。

     

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  • 90点 自分探し(0)

    2018年5月21日 to LION/ライオン 〜25年目のただいま〜

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    よく自分探しの旅に出るとは言うが、自分は既にここにいるのだから、よそに探しに行く必要はないと思っている。しかし、5歳で迷子になり、運命のいたずらで遠い土地で暮さねばならなくなったサルー(デーヴ・パテール)には必要だった。それもグーグルアースで探そうとは…。

    前半は、貧しいながらも母や兄との愛情溢れるサルーの生活から、知らない土地に運ばれてしまう様子が描かれる。幼少期のサルー役のサニー・パワールがかわいい上に名演技。ほとんど会話のない彷徨シークエンス。子供目線のカメラワークが素晴らしい。降りた駅での人混み。小さい子供は、場所全体を見渡すことができない。観る者にも同じ視点で体験させるのだ。サルーが高い所に登っている姿は、まるで迷子の子猫のような頼りなさで不憫になる。ホームレスの少年との、言葉を交わさないコミュニケーションが優しい。何とかして家に戻りたいサルーは、自分のことだけで精一杯なので、この時点ではカメラもサルーしか追わない。血眼になって彼を探しているだろう母親や兄の姿が描かれないことで、一層サルーの孤独感が際立って感じられる。

    後半は大人になったサルーの自分探し。一体どこから来たのか。一番気がかりなのは、母親や兄がいまだに探してくれているのではないかという心配。無事を知らせるのは、当然のこと。しかし、自分のルーツを探すことは、育ての親への裏切りになるのではないかという葛藤が深刻だ。そんな彼の力になりたい彼女役のルーニー・マーラも素敵だが、やはり育ての母スー役のニコール・キッドマンの演技には魅せられた。問題を抱える兄・マントッシュももらい子。兄弟ともに平等に愛情を注ぎ、悩む姿には考えさせられるものがある。深い喜びや哀しみが、じんわりと伝わってくる。そんな義母を守ろうとして、逆に悲しませてしまうサルーの気持ちも、分からなくはない。

    本作は実話であるので、結末は分かっている。例え知らなくても、サブタイトルが既にネタばれである。しかし、分かっていても、溢れる涙を止めることはできなかった。芝居も演出も、実にストレートに気持ちを伝えにくる。そして、観ている最中は、ずっとタイトルのことも考えていた。それが分かった時、つい笑みをもらしながらも、何故か感動してしまった。そういう意味だったのか。本当に観て良かったと思える作品である。

     

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  • 70点 怪獣映画(4)

    2018年5月19日 to ランペイジ 巨獣大乱闘

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    ゴリラが巨大化すると、それはキングコングになってしまう。アルビノで体毛を白くして、差別化を図ってはいるがまあ同じことだ。このジョージは高い知能を有し、人間と手話でコミュニケーションをとることができる。更に独特のユーモアの持ち主で、オコイエ(ドウェイン・ジョンソン)とのやりとりは、緊張感の末に笑わせてくれて愉快。ただ、冒頭のやりとりで、物語全体の流れが見えてしまい、事実思った通りの展開だったのは拍子抜け。とにかく、単純明快な怪獣映画だと捉えていい作品。ポスターも往年のゴジラ映画を思い起こさせてくれて、懐かしい。

    冒頭、きっかけとなるものが出てはくるが、巨獣は予告編で登場したものだけ。悪役は遺伝子操作をして巨獣を生みだしてしまった会社であり、トップの人間。立ち向かうのは、ほとんどドウェイン・ジョンソン一人。協力者ラッセル役のジェフリー・ディーン・モーガンは、儲け役。コールドウェル博士(ナオミ・ハリス)の印象は薄い。ロック様一人で、巨獣を退治してしまうのではないかと思うほどの活躍振りだ。

    巨獣たちは、複数の動物の遺伝子の影響を受けている。予告編でも見せていたので言ってしまうと、オオカミのラルフは、何故かムササビのように飛べる皮膜を持っている。ワニのリジーが一番でかくて、巨大化率が異なるのはどういうことなのだろうか?まあ敵との格差が大きいほど、倒し甲斐があるというものだ。巨獣たちのバトルは、でかいのにスピーディーで、迫力があって楽しめた。

    悪い連中は退治され、すっきりさせてくれる勧善懲悪怪獣映画。やられ方は、ちょっと…なんだけど。ユーモラスなジョージは、愛着が湧きそうなキャラであった。

     

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  • 90点 仁義なき警察権力(0)

    2018年5月15日 to 孤狼の血

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    広島をロケ地に、時に手持ちカメラで画面を揺すり、『仁義なき戦い』を彷彿とさせるヤクザの抗争を描く。更にヤクザよりヤバい刑事・大上(役所広司)と新米相棒の日岡(松坂桃李)とのバディものでもあり、警察内部の腐敗にも目を向ける社会派な一面も窺わせる。何れにせよ近年稀にみる、骨太な男くさい映画であった。セクハラにどぎつい暴力描写もあるR15+な内容ではあるが、見応えは充分。だがそれだけに、女性受けは期待できないだろう。

    冒頭からとにかくエグい。豚小屋で行われる凄惨なリンチは、見るにしのびない。その上ブタのアレ攻撃は勘弁して欲しかった。ここは自らの感受性を落として耐えるしかない。やがて訪れるその時を迎えたなら、もう一度思い浮かべなければならないのだが、それは心の中のまた別の場所を刺激されることになる。

    大上は、やることなすことダーティな汚職刑事である。共に行動しなければならない若い日岡は、肉体的にも精神的にも苦痛な日々を送らなければならない。これは、反撥しながらも、垣間見られる大上の貫き通される信念に触れて、心境の変化を見せる日岡の物語でもある。

    圧倒的な存在感の役所広司は、申し分なく完璧。受けの演技から、次第に自分の本心を露わにして、やがて心境の変化を見せる松坂桃李も見事。双方共に、主演男優賞を送りたくなる。脇の演技陣も皆個性的な魅力を放つ。『仁義なき…』の某キャラを彷彿とさせるような竹野内豊の悪辣振り。新聞記者なのに、これまたヤクザみたいな中村獅童。大上から惨い仕打ちを受ける加古村組の組員の音尾琢真。今や白石組には必要不可欠なピエール瀧。尾谷組の若頭の江口洋介も、なかなかの凄みを見せる。五十子会の組長の石橋蓮司も、相変わらずの曲者振りで煙に巻く。

    数少ない女優陣としては、クラブ梨子のママの真木よう子の、復讐に燃える執念も凄い。この人のことは知らなかったが、薬剤師の阿部純子も松坂桃李の相手役として、初々しい芝居で好感度高し。彼女もまた、胸に秘めごとを隠す。

    日岡には目的があった。しかし、大上の真実を目にするにつれ、自分の信じていた正義に疑問が生じてくる。一体、何が正しくて、誰に従えばいいのか…。一冊のスクラップブックに浮き彫りにされる大上の真意。日岡の調査書に入れられた一筆が涙を誘う。原作には続編があるという。これは日岡の成長物語であった。

     

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  • 90点 never(2)

    2018年5月6日 to ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男

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    戦争に突き進んで行くお話なので、敗戦国民としては複雑な思いであるが、ヒトラーに屈しなかった男を描いた映画としての仕上がりは実に見事で、見応え十分なドラマに仕上がっていた。

    アカデミーメイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞の辻一弘チームの特殊メイクの完璧さもさることながら、主演男優賞受賞のゲイリー・オールドマンのなりきり演技も素晴らしかった。上映時間125分内の、ほとんどの画面にチャーチルは登場している。毎朝4時間かけてメイクをし、12時間撮影して、1時間のメイク除去作業。これだけでも頭が下がる。画面から伝わる芝居の熱量も半端なく、物語上精神的にもかなり追い詰められた日々だったのではなかろうか。だが、その努力は見事に画面上で実を結び、本物がそこにいるとしか思えないような熱演振りであった。気が短くて感情の起伏が激しい。朝から酒を飲み、誰かれ構わず当たり散らす政界の嫌われ者。多数の兵士の命を左右しなければならない究極の決断。ヒトラーの要求を飲まざるを得ないかも知れない時の追い詰められ感。孤立無援の中での、思いがけない人物との間に芽生えた信頼の絆。そして、市民の声なき声を聞く為に、単身乗り込んだ地下鉄での交流。そして「never」という反応。全ての画面に於いて、全身全霊を注ぎ込んだような演技に魅了されまくった。

    脇役としては、二人の女性に注目したい。チャーチルの妻のクレメンティーン(クリスティン・スコット・トーマス)と、秘書のエリザベス(リリー・ジェームズ)。クレメンティーンは、唯一チャーチルに意見できる女性であろう。愛情に裏打ちされた言葉の数々は、彼の支えになったことだろう。エリザベスはチャーチルに怒鳴られながらも、黙々と指示に従う献身振り。そんな彼女が、知らされないことに疑問をぶつけるシーンに心動かされる。全ては市民の与り知らぬところで、事態は進展していく。彼氏の運命と、その真実を受け止めるチャーチル。受けの芝居でも、その思いはしっかりと伝わってくる。

    ジョー・ライト監督の演出も当然素晴らしい。現代の『Darkest Hour』のイメージ通り、暗い画面がかなり多いが、真っ暗な部屋からの開けられたカーテン越しの日射しとか、光と闇の使い分けが効果的。また、米大統領との直通電話でのやりとりの小部屋や、閉じられたドアの窓越しだけのチャーチルなど、孤立感を高める為の、画面の切り取り方も巧い。

    見捨てられた前線で、報告を受けた兵士からの俯瞰ショットも凄い。そこからの爆撃シーンに、戦争の非情さ、惨さがが際立ってくる。車中から眺める市民たちの姿は、スローモーションで捉えられる。そこはまるで別世界のようで、この時チャーチルはまだ、市民の声を聞こうとは思ってもいなかった。

    サイレント・マジョリティーと、信頼してくれる人の明確な意見と後押し。チャーチルは彼らの声を尊重することによって、歴史的決断を下せたのだろう。

     

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  • 30点 感情移入できないキャラばかり(0)

    2018年5月4日 to ラプラスの魔女

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    各シーンが恐ろしく冗長に感じられ、すぐに退屈してしまった。三池監督は、一体何を描きたくてこんなに長々と撮っているのだろう。原作未読ではあるが、東野圭吾作品としては、迷うことなく大失敗作と判断したい。原作もこんな突拍子もないお話なのだろうか。

    大学教授が事件解決に乗り出すといえば、誰もがどうしてもガリレオを思い浮かべるだろう。だが残念ながら、福山ガリレオほど、櫻井翔教授はキャラが立ってはいない。人が良さそうなばかりで、結局何の役に立ったのだろう。もしかしたら、原作では脇役だったのでは…。

    刑事の玉木宏を始め、どういう役回りをさせたいのかよく分からないキャラが多い。タイトルロールのラプラスの魔女さえも、感情移入し難いのだが、演じる広瀬すずちゃんだけは、褒めてあげたい。表情が二転三転、それこそ小悪魔的な魅力でおじさんの心を鷲掴みだ。私にとっては、彼女しかこの映画で観るべきところは見出せなかった。

    豊川悦司の役に至っては、もう考えるのは放棄したくなる。三池監督が尺を取って描こうとすればするほど、益々その演出が陳腐に感じられてしまう。不必要にさえ思える女性に対する暴力や、不安定なカメラワークにもイライラさせられた。

    東野圭吾原作で、すずちゃんが出ていなければ、観に行こうとは思わなかった作品である。

     

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  • 90点 煩悩(0)

    2018年5月3日 to 彼らが本気で編むときは、

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    編み物はしたことがないので分からないが、どんな心もちなのだろうか。黙々と編んでいると、まるで修行しているような心境になるのかも。本作では"煩悩"を編んでいるので、座禅や瞑想のように、気持ちを落ち着ける役割も果たしているのだろう。リンコ(生田斗真)は、辛いことや哀しいことがあると、編み物をして心の平静を保とうとしてきた。編み物の形は、失ったソレの象徴。あったからこそ悩みのタネだったのに、なくしても白い目で見られてしまうとは、何とも因果な代物である。正に煩悩。108つ作り上げて葬ることは、次のステップに進む儀式でもある。

    映画はトランスジェンダー故の苦悩を抱き続けるリンコと、彼女を愛したマキオ(桐谷健太)、そしてマキオの姪のトモ(柿原りんか)の疑似家族を通して、母性や愛情について問いかけてくる。

    トモの実の母ヒロミ(ミムラ)は何度も男に走り、その度にトモを一人残していなくなってしまう。冒頭の、娘の存在を全く無視したような母親の態度に胸が痛む。コンビニおにぎりのたくさんの殻。食生活の貧しさが、そのまま愛情の乏しさに結びついている。そんなトモがリンコに作ってもらった美味しい料理の数々。そしてキャラ弁。食べるのが勿体ないと思うトモは、リンコでなくても愛おしく感じてしまう。映画に登場する数々の料理の使い方が巧い。そこはさすが荻上監督お手のものだ。

    実の母より、元"男"のリンコの方が、どれだけ母性豊かなことか。愛情は血の繋がりだけではない。それでも実の母を求めてしまうトモ。どんなに冷たい仕打ちを受けても、本当の母親から深い愛情が得られるなら、それが一番の幸せだろう。当たり前の事なのに、そんな当たり前ができない母親は、どんな育ち方をしたのだろう。

    トモはトモで、クラスでホモとからかわれているカイとは親しいところを他の友達に見られたくはない。偏見を抱いていたトモも、リンコと接することによって、次第に変化していく気持ちの移ろいも自然に描かれている。カイの母親もまた偏見の持ち主であるが、まさか自分の子供が同じだとは、信じられなかっただろう。真っ先に、親が理解してあげなければならないのだろう。リンコの母親の手作りおっぱいのエピソードが温かい。これぞ真の母の愛。

    リンコの煩悩を払うのに、マキオとトモも協力する。彼らこそ、本当の家族だ。三人で、いろんな場所で黙々と編んでいる姿に、ひとつの幸福のカタチが感じられた。このまま家族になっても、いいんじゃないかと思う。果たして、ヒロミは変わることができるだろうか?

     

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  • 70点 空飛ぶパンティ(2)

    2018年5月2日 to HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス

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    冒頭から、マーベル・ヒーローものをパクッた演出も楽しい。変態仮面もロープを使い、そのまんまあのヒーローみたい。

    色丞狂介(鈴木亮平)は大学生。愛しの姫野愛子(清水富美加)と、楽しいキャンパスライフを送っているが、変態仮面としての活躍に彼女は複雑な気持ち。世間的には変態仮面は認知されていて、大人気ではある。ヒロインは敵に狙われるのが定石なので、その点でも悩ましい狂介。愛子のパンティ返上から、それでも戦わなくてはならない変態仮面の、様々なパンティ使用パターンが面白い。ガードルには笑った。

    続編にありがちな、まさか生きてたの?パターン。衝撃の姿で登場する敵役は、そこはムロツヨシなのでそれだけで可笑しい。前作では敵の様々な○○仮面の出現で楽しめたが、今作はその点ではバリエーションに欠けて寂しい。その分、複数のものを合体させた巨大メカが強敵で、愛子のパンティを失った変態仮面が、如何にして勝利するかが見所だ。

    前作で戸渡を演じた安田顕の、真の変態には圧倒されたが、今作での変態仙人も凄い。言ってることも滅茶苦茶なのだが、何故か納得させられる狂気の芝居に、笑いながら引き込まれてしまう。あれを被った姿には大笑いだ。そしてその正体は…。

    一週間の意味不明の簡易特訓で強くなっちゃうヒーローと、その間おとなしく待っててくれる敵。唐突な巨大化…。昔のヒーロードラマの突っ込みどころを、巧みに笑いに繋げる手法は、さすが福田雄一監督だ。そして、天狗のお面と変態仮面は、やはり似合う。最後までニヤニヤがとまらない作品で、今回も楽しめた。

     

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  • 80点 守るべきもの(0)

    2018年4月30日 to いぬやしき

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    経緯はともかく、並み外れた能力を手に入れてしまったら、人は何の為に使うのか。おじさん・犬屋敷(木梨憲武)と、高校生・獅子神(佐藤健)は、同時期に同じ力を手にするが、その使い途は両極端。心優しい犬屋敷は、人の命を救うことに意義を見出すが、獅子神は命を奪う行為に走る。同じパワーのはずなのに、その人の思考によって、能力の方向性が異なるのが面白い。慈愛を抱けばヒーラーとなり、憎しみを抱けばアタッカーとなる。相手を傷つける気のない犬屋敷は、攻撃するのが得意でないという設定がいい。

    獅子神は自分の近親者だけは守ろうとするが、自分とは繋がりのない人間たちには容赦なく牙を向ける。そこには、後にしおん(二階堂ふみ)が語るように、亡くなった人たちにも、大切に思う人々がいるという視点が欠けている。自分にしか関心のない人間の、想像力の欠如ほど恐ろしいものはない。獅子神自身も、SNS上での身勝手な正義に、失いたくないものを奪われる結果になるが、これもまた想像力の欠如がもたらす勘違い故に他ならない。相手を批判するには、素顔を晒す覚悟が必要なのだ。

    犬屋敷は娘から、助けてもらったことはない、などと言われて大ショック。小さい頃はずっと傍にいて、その成長を温かく見守ってきたはずだ。子供が大きくなるにつれ、ずっと一緒にはいられないので、いつか手助けできなくなる日がくるのは当然。それでも親は子を守りたいと願う。本作は、自分にとって大切な人を守る物語である。犬屋敷の場合は、それは家族に限らない、獅子神は近親者のみ。その違いが、両者の対立を生んでいる。

    映画はその差を丁寧に描こうとしていて好ましい。会社員としても、父親としても失格の烙印を押されて苦悩する犬屋敷を、木梨は老けメイクと気負いのない芝居で見せる。若くて肉体的にも見栄えの良い佐藤健も、追い詰められて更なる狂気に走る若者の怖さを表現した、抑えた芝居が光る。

    終盤のスピーディーな空中戦は見応えあり。途中、救出シーンでややもたつきが見られる演出も、そこが肝なのだから大目に見よう。同じ能力故の、弱点の模索も効果的。終盤のそれは、チョッコーの幻覚なのか現実なのか。友情は残されているのか。そんな余韻も悪くはない。

     

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  • 90点 サノスかっ!(4)

    2018年4月28日 to アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー

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    すみません、続き、いつ観られるんですか?あ、やっぱ来年…、その間に『アントマン&ワスプ』と『キャプテン・マーベル』が入って、『アベンジャーズ4』。うわあ、来年までこのモヤモヤを抱えながら、生きていけるだろうか(笑)。これは確かにひとつの終わりではある。でも、これで済ませたくはない。だが、この後どういう展開になるのか、皆目見当もつかないので、それはそれで楽しみには違いない。

    本作は、とにかくメチャクチャ面白かった。これまで活躍してきたヒーローたち総動員の超豪華版。『アントマン』がいないのは、すぐに次回作があるからだろう。ヒーローたちが入れ替わり立ち替わり、強敵に挑んでいくスピーディーな展開に目が離せない。激しい戦いの最中にも忘れないユーモアに笑いながら、手に汗握ることになる。

    アイアンマンスーツは毎回進化して飽きさせないし、スパイダーマンもトニーのおかげで、次々と新技術披露で楽しませてくれる。ドクターストレンジの変幻自在の魔術もバラエティに富んで面白い。ガーディアンズも巻き込んでの、サノスとのバトルが、息もつかせぬ畳みかけで凄い。ドラッグスの小ポケが愉快で、グルートは反抗期だけど、いよいよという時はやってくれて頼もしい。

    宇宙の様々な惑星で、そして地球でと、ヒーローたちが分散してそれぞれの目的のために死力・知力を尽くしての戦いが熱い。ワカンダでの、溢れんばかりの大群を相手の大スペクタクル。最強のヒーローたちが集まっても尚、劣勢を感じさせるにはこれしかあるまい。ジャスティス・リーグなら、スーパーマンのポジションの最強ソーはハンマーを失っている。一体どうやって戦うのか。そして、ハルクは思い通りに"緑"になれない。最強を巧い具合に封じ込め、ハラハラさせるのもまた巧い。ブルースが、アレで戦うのも一興だ。

    さて、派手なアクションでは申し分ないが、物語的には、これはアベンジャーズというよりも、サノスが主人公みたいだ。最悪最強の敵なのだが、彼の目的は宇宙の生命を半分に減らすこと。それによって宇宙の均衡を保とうという考えなのだ。問題は生命が増えすぎたことによって生じる。ならば…という単純明快すぎる思考の持ち主。こんな男がパワーを手にしたら一大事。消される身にもなってくれ。いや、愛する者を消される身にもなってくれ。そんなサノスにも、愛する者が存在するのか…。ピーターとガモーラ、そしてヴィジョンとワンダの愛情も切なく燃え上がる。

    これだけ楽しませてくれたのだが、やっぱこのまま終わってほしくはない。来年のアベンジャーズまで、とにかくアントマンとキャプテンマーベルで気を紛らわすしかないようだ。エンドクレジット後の映像に登場したあのマークは、一体何を意味するのだろうか?あ、調べたら分かっちゃった。

     

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出木杉のびた さん

50代後半 男性
誕生日 : 9月30日
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