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出木杉のびた さん

出木杉のびたさんのレビュー一覧

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2412件中1-10件

  • 80点 愛は人類の未来を救えるのか(0)

    2017年4月3日 to パッセンジャー

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    予告編を見ると、二人だけが偶然目覚めてしまったととれるような言い方をしていたが、これは大ウソ。本編の衝撃的な展開に、息をつめるように画面を見つめることになった。物凄い葛藤のドラマであった。大型宇宙船アヴァロン号への強大なインパクトに、船内に次第にエラーが増えていく描写が小出しにされ不気味だ。最初に起こされたのはジム(クリス・プラット)。五千人の乗客がいるのに、たった一人で活動しなければならない孤独。このまま冬眠状態に入れなければ、目的地に着く前に死んでしまうという絶望感が堪らない。船内では娯楽は充実してはいるが、やはり一人ではつまらない。唯一の慰めは対話できるロボットだが、これはもう現実がSFに追いついている。自殺まで考えた後の、禁断の誘惑との葛藤が半端ない。そういう展開であってはいけないと、祈りながら画面を食い入るように見つめることになる。

    次に目覚めてしまったオーロラ(ジェニファー・ローレンス)が何とかしようと行動を起こすが、それは全てジムが試したこと。達観した彼の立場と、彼女の心境の落差。二人の気持ちが次第に近くなっていくのは嬉しいのだが、手放しでは喜べない現実と真実がつらい。

    巨大な宇宙船の造形が見事。広大な宇宙の中の星々、星雲の美しさ、隕石の描写など、映像的にも素晴らしい。船内のセットを数多く作るだけでもかなりお金がかかっていそうだ。プールでの重力ロスのシーンは画的に面白く、ハラハラさせられた。バーテンダーアンドロイドのアーサーは人間味たっぷりで、お掃除ロボットは小動物みたいな動きが可愛らしい。

    ジムは技術者で、オーロラは文筆業。二人の貧富の差が、船内でも食事や飲料にも反映されてしまうところはシビアだ。二人はこの宇宙船に関して大仕事をすることになるのだが、これは運命なのか偶然なのか。何れにせよ、一人では解決できなかった問題でも、二人が力を合わせれば何とかなる。それが偽りから始まったことであっても愛は愛。それが人類を救う可能性は、十分にあり得ると思わせる物語であった。

     

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  • 80点 家族写真(0)

    2017年4月2日 to レゴバットマン ザ・ムービー

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    レゴを動かしているようなチョコチョコした動作が可愛らしい。それが冒頭から激しいアクション・シーンの連続で、めまぐるしい画面展開。ワンカットの情報量はかなり多そう。DCコミックのヒーローから敵キャラ総出演で、実に賑やか。みんなレゴなので、ちょっと誰だか分かり難いのも含めて、それなりに味わいがあり、敵も憎めない。

    ヒーロー・バットマンの孤高な戦いから、巨大な秘密基地での孤独な生活。ブルース・ウェインは、子供の頃両親を殺されている。それ以来家族を持つこと、いや失うことを極度に恐れて隠遁生活をしている。壁にかかった家族写真が、物語の重要なモチーフとなる。

    ゴッサムシティを悪人の企みから常に守るバットマンだが、悪役達は大勢いるも誰も捕まってはいないという楽屋落ち的ツッコミが面白い。バットマンの物語を成立させる為には、悪役が活躍しなければ始まらない。悪役あっての正義のヒーローだ。バットマンに自分を認めて欲しいと、涙目で訴えるジョーカーがまたいじらしい。この物語では、バットマンの存在を支えている悪役の気持ちが分からないという、正義バカのバットマンの頑なな心を、誰がこじあけるかがポイントとなる。ロビン、バットガール、アルフレッドなどの協力者は、バットマンの家族となり得るのか。敵と戦うことによって構築させれている物語世界を、バットマンは受け入れることができるのか。

    DCコミックのキャラだけでなく、過去の様々な作品の中からも、複数が敵として登場して、正にキャラ大カーニバルの様相を呈して賑やか。どれだけ見つけられるかでオタク度が知れそう。劇場には小さい子供連れも多く見られたが、子供より大人の方が楽しめそう。実際、子供たちより、大人の笑い声の方が多かった。こちらの劇場では吹替え版しか上映されていなかったが、芸人のネタが入る以外は特に違和感なく観られてよかった。

    さて、ゴッサムシティは崩壊の大ピンチ。それを救えるのはバットマン一人ではない。この物語世界を支えている全てをつぎ込む脳天気なエンディング。僕は結構好きである。

     

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  • 70点 怪獣島(6)

    2017年3月28日 to キングコング:髑髏島の巨神

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    昔ながらのキングコングのストーリーをまた見せられるのかと思ったら、VS○○○を前提にした怪獣バトル映画だった。1954年の実験にも触れられ、同じ世界観の物語を示唆している。第二次世界大戦中の日米二人の兵士の戦いから始まり、ベトナム戦争末期の時代へ。戦争と絡めるのは意図的で、これは生き残りを懸けた戦争映画であり、警鐘でもある。島の守護神キングコングは、自分が生き残ることで、この島の他の生物たちの種を守る位置づけになっている。天敵となるスカルクローラーは、全てを喰い尽すような存在。まるで肥大した人間の欲望の象徴のようで、自分たちのしていることを反省させられる。

    島に生息する怪獣たちが、実に様々で面白い。しかし、あれだけの巨体を維持するには、もっとたくさんの種がいたほうが納得できる。その形態は使徒サキエルやマトリエルのようなものもいて、日本の作品からの影響を感じさせる。巨大な水牛のように、人間を襲わない草食系もいて、この島の生態系を支えているようだ。

    髑髏島には、学者にカメラマン、そしてベチナム戦争流れの軍人たちが上陸する。部下を亡くして、コングに執拗な敵意を燃やす指揮官パッカード(サミュエル・L・ジャクソン)の存在が、人間間の不調和を生む。激しい憎しみが、真実を見る目を霞ませてしまう。コングにとっては、武器を使って襲ってくる人間こそが、侵略者なのだ。言葉を話さない原住民たちは、長き年月をコングと共存してきたではないか。戦っていた日米の兵士のその後も、示唆に富んでいて考えさせられる。驕り高ぶる人間たちは、大自然の下では、無力なのだ。

    長いエンドクレジットを我慢すれば、おまけ映像が見られる。日本人にはお馴染みのシルエット。しかも一体だけではない。潤沢な資金によって生まれ変わる怪獣たちの姿を想像し、今後の展開にワクワクさせられた。

     

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  • 80点 将棋しかねぇんだよぉ(0)

    2017年3月23日 to 3月のライオン 前編

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    原作がマンガだから仕方ないのだが、序盤は如何にもマンガ的展開にちょっと引き気味で観ていた。天涯孤独の天才棋士が、自分達たちの生活だけでも大変そうな三姉妹に面倒をみてもらうなど、まずあり得まい。最初に引き取られた家での義姉がドS過ぎ。それが例え愛情の裏返しではあっても、物凄く厄介な女性であることに変わりない。川本三姉妹のお節介過ぎるド親切さとの落差が激し過ぎる。ドS娘を、天使みたいな可憐なイメージの有村架純に演じさせるのは一興。また、デブキャラ二階堂のやることがかなり誇張されていて、浮き気味。しかし、演じているのが染谷将太だと知って驚かされた。確かに声を聞けば染谷に間違いない。『聖の青春』で松山ケンイチは実際に太ったが、こちらは特殊メイクでのアプローチだ。病気を抱えていることからも、村山聖がモデルではなかろうか。

    極端な設定には戸惑ったが、将棋シーンでの緊迫感が素晴らしく、いつの間にか勝負の世界に引き込まれていた。やたらと音を立てる相手のイライラ感、負けると暴れるという男(これまたイヤな話だ)の投げやり感、島田戦での視線のやりとり、万年新人王との闘いの中、垣間見える相手の心の裡…。島田対後藤のおやつタイムも含めた勝負への意気込み、島田対宗谷の頂上決戦と、見せ場の連続で、将棋世界の奥深さを堪能させられた。将棋は子供の頃かじった程度だが、役者の名演技で勝負の形勢は手に取る様に伝わってくる。胃の痛みとも闘う佐々木蔵之助の、人間味溢れる温かさがいい。傲岸無礼なヒールキャラ伊藤英明はあの体格のスーツ姿で、堂々たる威圧感が凄い。あの天才を思わせる加瀬亮の、飄々とした無表情さも味わい深い。

    際立つキャラの面々を相手に、神木隆之介は受けの芝居が多いが、その分感情を爆発させるシーンが強烈な印象を残す。「将棋しかねぇんだよぉ」との叫びが痛切だ。零は家族を失い、引き取られた家庭でも結果家族をバラバラにしてしまう役割になってしまう。それは零のせいではないのだが、弱き人間ほど人のせいにしたがる。天才棋士の孤独感が半端ない。

    前編は、零だけがあることに気付き、更なる高みへの挑戦の可能性を暗示させて終わる。そして後編の予告編付き。これは零のその後を見届けなければなるまい。ところで、タイトルはどういう意味なんだろう?「獅子王戦」というのは出てきたけれど…。何故、3月?

     

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  • 80点 明るく素直に美しく(0)

    2017年3月19日 to チア☆ダン 〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜

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    広瀬すずちゃん、競技かるたに続いて挑戦したのはチアダンス。高校生部活ものである。役者として演技しながら、初めてのダンスを習得して踊らなければならないのは、かなりハードルが高かっただろう。しかも、全米選手権大会で優勝する実力に説得力をもたせなければならないのだ。

    本作は実話を基にしたお話であるし、長く鬱陶しいサブタイトルでも結末は明らか。分かってはいてもついホロリとさせられる内容が良かった。映画内ですずちゃん演じるひかりは、“笑顔だけ”が取り柄のサブメンバー。このすずちゃんの笑顔が本当に魅力的だ。とても楽しそうにダンスに興じる姿が美しい。ひかりはチームのまとめ役で人気者。落ち込んだ部員たちのマメなケアが優しい。しかし、この部の顧問である早乙女先生(天海祐希)の掲げた目標が、全米制覇というとんでもないチャレンジだったので、ただ和気あいあいと楽しんでいればいいという訳にはいかないのだ。早乙女先生曰く、"仲良し地獄"では、アメリカはおろか、高校のある福井県からも出られない。

    早乙女を演じる天海祐希がまた素晴らしい。生徒たちを伸ばしたい一心で掲げた目標。厳しい指導は、年頃の女子高生たちにはなかなか受け入れられない。ひかりからも"鬼ばばあ"呼ばわり。部員たちの心の揺れ動きばかり追っていた物語が終盤見せる、早乙女サイドの巧みな編集がお見事。生徒たちのことを親身になって考えている教師像を、上司にしたい女優1面目躍如の堂々たる芝居で魅せる。

    部員たちの個性的な面々もいい。お嬢様キャラなのに部長を任された玉置彩乃(中条あやみ)、アイドル系の永井あゆみ(福原遥)、笑顔が苦手な紀藤唯(山崎紘菜)、デブキャラなのにやがてはキレキレに踊るようになる東多恵子(富田望生)…。各部員たちの苦悩も余さず練り込んだ脚本がお見事。

    ひかりは主役なのに、部活の中では脇役。端っこでもセンターのつもりで踊るという前向きなキャラに、「明るく素直に美しく」というチームJETSの掛け声が呼応する。チーム優勝の鍵は、ひかりの存在にあった。怪我からの再生、早乙女先生との対立、部長と絡む確執など、充実したドラマも堪能できる。そして、なかなか見せなかったダンスシーンを、ラストになって炸裂させる焦らしのテクニックも憎い。あとは彼女たちの、渾身のダンスシーンに心も身も委ねれば、心地良い涙が待っている。

     

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  • 20点 『スター・ウォーズ』の元邦題(2)

    2017年3月9日 to 惑星大戦争

    『スター・ウォーズ』の最初の邦題が「惑星大戦争」だった。当時のSFブームを受けて慌てて作り、クランクインが公開二ヶ月前という驚くべき突貫工事映画。これでは観客の満足のいく作品が作れる方が不思議だ。

    『海底軍艦』にも登場した「轟天」ありきの映画。宇宙人が侵略してくるのだが、何故か未完成の轟天のことばかりに躍起になっている。何でそんなこと知っているのだろう?轟天関係者が狙われるが、まあよく調べ上げていること。未完成なんだから、放っておけばいいものを…。乗組員のジミーもただ一人をターゲットに狙われるが、実に効率の悪い侵略方法だ。彼の不幸も語られるが、ほとんどその後の展開には活かされない、できそこないの脚本に唖然。

    主演は我らの時代の青春スター、森田健作。浅野ゆう子を巡って沖雅也との三角関係なのだが、そこにはほとんど葛藤もない。沖の一言でその先の展開が読めてしまい、やはりその通りになった。浅野は宇宙人に誘拐されるのだが、侵略者がこれまた何をまどろっこしいことしているやら。捕えられた浅野が何故かボンテージ姿でのサービス・ショット。浅野を捕まえている毛むくじゃらの宇宙獣人というのも、着ぐるみ感満載で笑ってしまう。もう失笑の連続で、そういう意味では楽しめた(笑)。

    敵はヨミ惑星星人。その格好はローマ時代の兵士のようで、母艦もローマ船。顔を緑色に塗っただけで、超簡単な宇宙人の出来上がりだ。最後にはまた、とんでもない隠しごとが明かされる唐突さ。便乗商法が招いた、粗製乱品の一つだ。

     

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  • 40点 リベアの実(2)

    2017年3月8日 to 宇宙からのメッセージ

    今観ると、どうしてもチープ感が漂ってしまう東映のSF映画。惑星ジルーシアがガバナス帝国の侵略を受け、「リアベの実」を手にした8人の勇者が敵に立ち向かう、八犬伝をモチーフにした物語。監督は深作欣二で、後に薬師丸ひろ子で『里見八犬伝』も撮っている。

    惑星ジルーシアの人々は何か地球のどこかの原住民みたい。リベアの実はただのクルミみたいで、ありがたみに欠ける。八犬伝の玉の方が、むしろSFテイストだ。ジルーシアの宇宙船は帆船。宇宙戦艦ヤマトからの発想だろう。リベアの実が宇宙に解き放たれると、選ばれた勇者の元に届くのだが、行動を共にしていたシロー(真田広之)、アロン、ジャック、メイアにまとめて出現するというはしょり方に唖然。彼らは素手や顔を露出したまま、宇宙遊泳している。シローとアロンは無謀な青年で、ジャックはチンピラだ。とても勇者とは思えないような連中ばかりなのでかなり心配。っていうか、物語内容自体もかなりテキトー。ロボットは着ぐるみ感たっぷりで、動きは人間を感じさせてしまう。こんなんで、よくビック・モローが出演してくれたものだ。

    巨大な宇宙船が上空にのしかかるように現れるのは、まんま『スター・ウォーズ』なのだが、それを何度も繰り返すのも芸がなさ過ぎる。深作監督は本作の10年前に『ガンマー第3号 宇宙大作戦』も撮っていて、これは子供の頃映画館で観てかなり怖かった記憶がある。そっちの方がむしろ違う意味での怖いもの見たさを覚える。

     

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  • 60点 もっと清水らしさを…(2)

    2017年3月6日 to ハルチカ

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    我が地元、清水出身の初野晴の原作を、清水設定で描いた作品。しかし、清水では使える学校がなく、メインの撮影場所は栃木県。清水では映画館のあるドリームプラザ近辺のマリンパークや、湾岸沿いのマリンロード、清水文化会館マリナートなどが使われている。清水次郎長の墓前のバス停、羽衣の松でも撮影されているが、映画を観ると実景ショットもないので、どこの場所か全く伝わらないのが残念。

    原作は読んでいないが、テレビアニメは見た。毎回学校で起こる事件の謎を解く、ミステリーだった。映画ではハルタ(佐藤勝利)にやや探偵役の要素は残されたものの、基本的には恋が始まりそうな予感の青春クラブものに作りかえられていた。ハルタとチカ(橋本環奈)、草壁先生(小出恵介)の関係性も変更されている。まあこれは佐藤勝利くんを使うに当たっては、やむを得まい。ただ、草壁先生が素性が不明過ぎる。チカはやたらと乱暴者でハルタをどつきまくるが、環奈ちゃんが可愛過ぎるので、どうもキャラがしっくり馴染まない。勝利くんは本当にいい男で、気の弱い男子を好演しているが、考えている時の髪をいじる仕草が不自然。

    廃部寸前の吹奏楽部を、チカが復活させる為に部員を集めるのが前半。部員たちがやめていった何か特別な理由がありそうで期待したが、結局曖昧。界雄(清水尋也)の不登校の理由も、何だか分かったような分からないような…。約束の9人が集まった途端、急に部員が膨れ上がるのも都合が良過ぎる。これは脚本の練りが甘い。増えた部員を紹介する時と、練習風景の演出も何だかグズグス。このユルさは狙いなのか、踊りも超グダグダで失笑。

    しかし、後半のチカの挫折は映画的な盛り上がりを見せる。特に部員全員が思いのたけをぶちまけるシーンの長回しは見事。だが、チカが初心者だったという設定では、部活復活の動機が薄まってしまうではないか。コンクール・シークエンスからの終盤は、何があったかはっきり描かないことで観客の関心を惹きつける。チカがハルタに語っていたことが伏線となるクライマックスは、映画だからこそ許される描き方だろう。

    PS
    僕はこの作品に4日間も参加したが、画面に映っていたのは最後のバスの中のシークエンスのみ。吊革につかまって立っているのだが、後方なので前の人に隠れてなかなか見えない。バスが揺れた瞬間に、水色のネクタイとYシャツ姿の僕が、ピンボケでかろうじて確認できた。羽衣の松の浜の実景も、次郎長の墓近辺の道路のシーンもばっさりカットで残念。
    エキストラ仲間の焼津のウサギ。さんは、あるシーンでバッチリ映っていました。

     

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  • 40点 大地震(2)

    2017年3月1日 to 地震列島

    防災意識を高めたいというのは口先だけで、具体的にはどうすればいいのかはさっばり描かれない。道路を拡げろとは言うが、今更東京でそれは不可能だろう。スペクタクルは後半に任せ、前半はとにかくドラマで押し通す。地球物理学者の川津陽一(勝野洋)が、地震の脅威を訴えるが、相手にされない。川津iは妻(松尾嘉代)がいるが、芦田富子(多岐川裕美)と想い合っている。おや、この構図、チャールトン・ヘストンの『大地震』そのまんま。これは日本版リメイクだったのか?川津は妻との仲は冷え切っており、松尾嘉代の冷たさが半端ない。富子とはプラトニックな関係にして主人公をきれいに見せようとするのが返って嘘臭い。彼女からのプレゼント品は、後々有効に使われる。

    後半は地震シークエンスとなるが、閉じ込められた地下鉄車両と、富子の部屋のみで進行するので、スペクタクル感は希薄。町全体の被害の描写は少なめでほとんど印象に残らない。地下鉄での人間のエゴはたった一人の人物のみに集約され安直。富子は部屋で延々とのたうち回っているだけ。感情を煽ろうとする演出も、無駄に長いだけで退屈。大変なのはこれからなのに、あんな終わり方でいいのだろうか。きれいな歌が流れるエンドクレジットも力が抜ける。これで脚本が新藤兼人だと知り、唖然。

    僕が住む静岡県は、その昔から東海地震がくるくると脅され続けていた地域。僕が生まれて50年以上、大きな地震は全くない。そのうち、阪神淡路、東日本が大震災に見舞われてしまった。序盤の川津の発言は、まるでそのことを予期していたかのようで、それには驚かされた。

     

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  • 100点 夏のクラクション(2)

    2017年2月27日 to ラ・ラ・ランド

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    全編に亘り映画愛溢れる作品で、過去作に対するリスペクトが半端ない。32歳の若きデイミアン・チャゼル監督が、どれだけ映画を観込んでいたのか計り知れない。その演出力は前作『セッション』で証明済みだが、本作では同じく音楽をモチーフに、ミュージカルという味付けで、更に観客を楽しませようとする意気込みが伝わってくる。往年のハリウッド・ミュージカルだけでなく、『ロシュフォールの恋人たち』の音楽やダンス・シーンを盛り込み、『シェルブールの雨傘』を思わせるような切なさも秘められたいいとこどりで、これまた傑作である。

    渋滞の道路から始まるダンス・シークエンス。音楽映画はやはり楽曲が命だが、そのメロディは素晴らしく聴き入らずにはいられない。踊りの輪が広がり楽しいミュージカルが始まる。色とりどりの衣装のダンサーたちを捉える、ワンカットのカメラ・ワークもお見事。強いて不満を述べるなら、車の色ももう少しカラフルにして欲しかったところ。

    マジックアワーでの撮影が多く、全体的にやや薄暗いイメージもあるが、それは物語全体を俯瞰して見るならば、そのトーンは相応しかったことに思い当たる。これは夢のような楽しいミュージカルではあるものの、ビターで切ないラブ&サクセス・ストーリーなのだ。

    ミア役のエマ・ストーンが最高に魅力的だ。青、赤、黄、緑と、時と場所が替わる度に原色の衣装に次々と着替え、そのどれもが美しく映える。彼女の表情の表現力が実に豊かで、分かり易く感情移入がし易い。女優を目指すミアのオーディション・シーンでは、ほとんどがエマの正面からのバスト・ショットの一人芝居。彼女の大きな目から、セリフ以上に雄弁に感情が伝わってくる。演技を邪魔された時の芝居の、戸惑い感も半端ない。見事と唸らされることしばし。彼女の衣装は終盤黒とシックになる。そしてあり得たかも知れない、もう一つの可能性での白との対比が鮮やか。

    この終盤の脚本・演出力には脱帽。一体どういうことなのか、観客は希望と不安の入り混じった複雑な心境で最後まで心落ち着かない。このザワザワ感が、観ていて堪らなかった。途中、『カサブランカ』の話が出てくる。終盤セバスチャン(ライアン・ゴズリング)はきっと、ボギーのあの名セリフを言いたい気持ちだったことだろう。彼の弾く、ピアノのメロディがまた甘く切なく胸に響く。

    冬から冬までの物語。二人の出逢いは最悪で、渋滞時のイライラから、セバスチャンは煩くクラクションを鳴らす。デートのお迎えもまた、近所迷惑なクラクション。迷惑が喜びに替わるのが、恋の魔法。しかし、夢からは目覚め、いつしか魔法も効かなくなるのが現実。二人にはそれぞれ夢がある。何かを得るためには、何かを失わなければならないのか。辛い決断はあっさりと省いてしまう時間の経緯かが潔い。そこに何があったのかは、観客に委ねられるが、大体想像はつく。

    女優志願のミアの部屋の、イングリッド・バーグマン。建物に描かれた映画俳優たちの壁画。『理由なき反抗』のグリフィス天文台。映画館でフィルムが燃えてしまうトラブル…。映画ファンの心をくすぐる数々のメッセージに、懐かしさも相俟って切ない気持ちが増幅されて遣る瀬ない。ミュージカル映画とすれば、その楽曲やシーンは確かに少ない。その分、ドラマが重視されている。映画をたくさん観ている人ほど、心に触れるものが多いのは確か。そういった意味では、映画ファンのための映画。一般観客に、どれほどその思いが伝わるかだけが、心配である。

     

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出木杉のびた さん

50代後半 男性
誕生日 : 9月30日
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