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辛辣さを楽しさに変える巧妙な話術

2010/12/08 (水) written by 大場正明(映画ライター)

ニューヨークを離れてロンドンやバルセロナで作品を撮ってきたウディ・アレンが本拠地に戻り、“幻の脚本”を映画化。落ちぶれた天才物理学者と世間知らずの家出娘のありえない恋の行方は……。



ウディ・アレンにとって40本目の監督作となる『人生万歳!』が近作とひと味違うことは導入部ですぐに気づく。主人公のボリスは、かつては天才物理学者としてノーベル賞候補にもなったが、今は教授職や家族などすべてを失い、日々を無為に過ごしている。

ペシミスティックでシニカルなこの老人は、相手かまわず辛辣なユーモアをぶちかます。しかも、いきなりスクリーンのこちら側に向かって語りかけてくる。このキャラクターや表現は、『アニー・ホール』の頃のアレンを思い出させる。

それもそのはずで、この脚本はアレンが70年代半ばに、俳優/コメディアンのゼロ・モステルのために書いたものだった。だが、モステルが'77年に他界し、企画もお蔵入りになってしまったのだ。

アレンがどんな気持ちや狙いでそんな脚本をリライトし、映画化したのかは定かではないが、映画の冒頭にそのヒントがあるように思える。オープニング・クレジットのバックに流れるのは、マルクス兄弟のグルーチョ・マルクスが歌う<Hello I Must Be Going>(『けだもの組合』の挿入歌)なのだ。

アレンはグルーチョを敬愛し、監督デビュー以来、作品のなかで頻繁にオマージュを捧げてきた。『アニー・ホール』では彼のジョークを引用し、『マンハッタン』では彼に賞賛の言葉を送り、『ハンナとその姉妹』ではマルクス兄弟の『我輩はカモである』の映像を挿入し、『世界中でアイ・ラヴ・ユー』では、グルーチョの曲をダンス・シーンに使った。

しかし、どんなに敬愛していても、アレン自身がグルーチョになることはできない。アレンが演じる主人公には、彼のシリアスな人生観や哲学が滲み出す。だからこの映画では、ボリスを演じる人気コメディアン、ラリー・デヴィッドにさり気なくグルーチョを投影している。

ボリスはペシミストで毒舌家ではあるが、グルーチョのような軽さがある。どこか飄々としていて憎めない。フラッシュバックと終盤で2度も飛び降り自殺を試み、失敗してもからっとしている。そして失敗の結果、幸運もめぐってくる。だからこの映画はとても楽しいのだ。

【関連作品】
人生万歳!

(c)2009 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.

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