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“これこそが映画”と断言できる、巨匠オリヴィエラの秀作

2010/09/14 (火) written by 相田冬ニ(ノベライザー)

昨年末101歳の誕生日を迎えたマノエル・デ・オリヴェイラがわずか64分間にこめた、目眩のような官能と走馬灯のような人生。覚悟しろ、これが映画だ。

くめども、くめども、つきぬ井戸の水。オリヴェイラが100歳で放ったこの2009年作品を目の当たりにすると思わず、そんな紋切り型を口にせずにはいられない。

1時間ほどの映像が、ひとりの青年の人生をまるごと描き切る。示唆に富んだ、想像力を羽ばたかせる甲斐のある、余裕のある画面構成。過去と現在との時間差を、瞬く間に抹消してしまう、刺激的なユーモアに彩られた音響。それが噛み合され、あるいは、すれ違うことからもたらされる、優雅な脳内空間。わたしたちは、あっけにとられて、その行方を見届けるしかない。そして、確実に、結末で、茫然自失に陥る。そして、気づくのだ。これが物語ではないか、これこそが映画というものではなかったか。物語にしろ、映画にしろ、わたしたちは底知れぬ魔物たちを、これまであまりにも軽視し、安易に接していたのではないか、という鈍い後悔にさいなまれるほど、『ブロンド少女は過激に美しく』は素晴らしい。

とはいえ、本作は決して構えて観る必要はない。しなやかで、むしろカジュアルな息吹きが全編に息づいている。

列車のなかで隣り合わせに座ったいわくありげな青年と美しい婦人の姿をカメラがとらえるところから、映画はスタートをきる。青年が自身の身の上話をする。婦人がそれを聴く。青年の回想が、まるで現在のようにスクリーンに浮かび上がる。しかし、その回想に酔うことは観客には許されていない。話す青年と聴く婦人の情景が、ことあるごとに挿入される。語ることのフィクション性が、めくるめくような展開と相まって、やがて、わたしたちが安住していた時制のルールを、ひたひたとおびやかし、何処かに連れて行ってしまう。その危険な陶酔。映画のあいだ、列車は走りつづける。

青年が恋したブロンド少女に隠された秘密。20字以内で述べよ、と言われれば、そのようにまとめてしまうこともできる挿話ではある。しかし、ひとつの恋が呼んだ結婚話が、青年の人生を壊滅的に狂わせていくこの物語は、断じて悪女ものではないし、ミステリーの類とも一切血縁関係を結ばない。この映画は、どこからも要約させないし、あらゆるジャンル分けを拒んでいる。

まるで人を喰ったかのように、あれよあれよと進んでいく、まるで泳ぐようにループする、映画の展開曲線に、黙って身を任せるのが得策だ。やがて、わたしたちは、そこから跳ね上がる水しぶきに、全身を濡らし、うっとりと恍惚を味わうことになるだろう。繰り返す。これが物語であり、これこそが映画と呼ばれるものなのである。

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