ファミリー路線? マニア向け? 答えは……
2010/06/17 (木) written by 前田久(ライター)
日本のアニメ映画といってフツーの人が思い浮かべるもの。かたや、ジブリ、「ポケモン」、「ドラえもん」、「ONE PIECE」といったファミリー路線。かたや、『攻殻機動隊』、『サマーウォーズ』、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』といったマニア向け。
「いやいや、ジブリは実はマニアックなんだ!」とか「『ヱヴァ』はもう国民的アニメだ!」とか、詳しい人からは異論があるだろうけど、ざっくりとまとめれば、日本のアニメ映画の企画傾向は、こう二分されるといっていいだろう。
では『宇宙ショーへようこそ』はどっち? これがちょっと難しい。
監督の舛成孝二はOVA(※注:オリジナル・ビデオ・アニメーション=DVDなど物理メディアでの発売・レンタルを前提に制作されるアニメ)シリーズ『R.O.D -READ OR DIE-』や、テレビアニメ『かみちゅ!』などの作品で、コアなアニメファンから強く支持されてきた監督だ。初の長編劇場監督作である『宇宙ショーへようこそ』でも、そのこだわりは全編に満ち溢れている。TOKYO MXで先行放送された部分だけでも、軽快で華麗な闇夜のバトルに、やや誇張された雰囲気ではあるけれど「あるある!」と思わず手を打ってしまう子どもたちの姿、田舎の美しい風景などなど、ケレン味溢れる楽しさと、鋭い観察眼からもたらされる緻密な日常描写が展開されており、ファンの期待を裏切らないことが十二分に伝わるだろう。
しかし、舞台を宇宙に移してからの展開は、そうした序盤の期待感を裏切らないまま、どんどん予想もいかない方向へとはっちゃけていく。話も映像も目まぐるしくテイストを変化させていくその様は、まるで、子どものころにみた夢がスクリーンに投影されたかのよう(もちろん、ディティールははるかにくっきりとしているが)。子どもはワクワク、大人も思わず童心に帰る映画になっているのだ。
というわけで、この映画はファミリー路線なのか、マニアック路線なのか。僕の答えは「両方」。是非あなたも、劇場で観て、自分の胸に聞いてみて欲しい。「どっち?」と。
特集@ぴあ映画生活へ戻る













