突如日常から脱出してしまったお父さん!分かるなぁその気持ち!
2003/09/22 (月) written by フォルティ大滝(映画ライター)
月曜日がブルーなのは万国共通。妻も子供も俺を粗大ゴミ扱いか!?オッサン一大決心の上、プチ家出決行だ!
最近の映画では、会社人間だった男が定年退職後にその自由さにもがき苦しむ『アバウト・シュミット』、平凡にも程があるぐらいの、ある市井の家族とそのご近所の悶々とした日常を切り取った『人生は、時々晴れ』等々がウケているらしい。珍しいテーマではないが、それだけ多くの人々が同じように悩んでいる現実なのだろう。
主人公ヴァンサンは朝5時半に起き、1時間半かけて工場まで通勤。どうしようもない単調作業を黙々とこなす。おまけに帰宅しても、家事を手伝わされ好きな絵を描くこともままならない窒息しそうな毎日だ。バスから降り、工場の門の前までの間タバコを吸う。この瞬間が輝いているオッサン達は、日本でもよく目にするところだ。
ヴァンサンの気ままな旅を通じて起こる出来事、出会いを好きなだけじっくりと描き出す。この“のほほんさ”が長〜く感じる人はきっと慌しい毎日を過ごしているに違いない。穏やかなヴェニスの気候、のどかな暮らしに憧れを感じない世代はいないだろう。ヴァンサンも旅先で出会う女性と恋に落ちれば、完全に寅さんの世界だ。
くたびれた中にも、合理的な一面も合わせ持つヴァンサン役のジャック・ビドウが、活きた芝居をする。無駄なセリフや動きが一切なく、現実逃避のオッサンの背中に悲哀は微塵もない。これは、ヴァンサンの精一杯のプチ家出。束の間の自由を思う存分満喫する覚悟と勇気が彼にはあるからだ。ああ、真似してみたい。実に爽快だ。
繰り返される日常にチョット嫌気がさし、無責任にも思うがままに旅に出てしまったヴァンサンを責めたい人もいるだろう。だが、彼を見つめる眼差しは非常に温かく愛に溢れる。それは観客とても同じこと。全会社人間共通のブルー・マンデーをどう迎えるかは、社会ではなく自分自身を問わなければいけないということに気付く。
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