緑色のイメージカラーが美しい。怒れる悲しき緑男のエピソ\ード。

2003/07/30 (水) written by フォルティ大滝(映画ライター)

他のアメコミ・ヒーローとは一線を画した感のある超人ハルク。怒りのままに飛ぶわ、転ぶわ、大騒ぎなのだ。

オープニングから映画音楽作曲家ダニー・エルフマンによる“Main Title”で盛り上げる。アメコミ映画を手掛けさせたら右に出るモノはいない天才だ(と思う)。おまけに『スパイダーマン』に似ている旋律が更なる期待を抱かせる。おいおい、細胞チックなミクロな映像あたりも似ているぞ。ワクワクする気持ちで一杯になった。

『ハルク』の世界観は他のアメコミ・ヒーローより重い。だから物語もハッピー性にかける。『デアデビル』のベン・アフレックみたいな軽めのニヤケ兄ちゃんペーソスもない。とことん深刻なのである。やがて、ブルース青年は消えない過酷な過去に苦悩しつつ、あの切ない緑色の怪物へと大変身し、大暴れを始めるというワケだ。

他のアメコミ・ヒーロー(そもそもヒーローなのか?)と異なり、『ハルク』には“明確な悪党”が不在。なので、余計に孤独感が増幅し、パンクな悲しき怪物に映る。しかし、力いっぱい技術を投入したCGによるハルクの怪力ぶりは、劇場のスクリーンで観るに相応しい圧倒的な迫力。“ハルク、大暴れの図”が物語そっちのけで脳裏に焼きつくだろう。また、ほとんど趣味的なマルチスクリーンの多用で、あくまでコミックの世界観を保とうとするこだわりがある。その意味で、非常に統一感のある作品として仕上がった。かなりうっとうしいけどね。

主演のエリック・バナの肩が懲りそうな演技には閉口したが、いかにも怒り出しそうな表情は悪くない。というか“いつ怒ってもいいように待機”しているような感じ。『ロケッティア』が遥か昔のことのようなジェニファー・コネリーが懐かしい。そしてニック・ノルティ!観ているこっちまで息苦しくなるほど、呼吸を止めながらのような怪演に拍手。キャスティング・センスの妙に助けられ、なんとか映画として成功したと言えると思う。

やはり見所は変身後のハルクに集中する。あれだけ怒ったら相当な“怒り顔”を用意しないといけないが、これが結構カワイイ(筆者の思い込みか?)ぶっちゃけた話『スパイダーマン』のようなエレガントさはなく、『バットマン』や『デアデビル』のような悪の蛮行を阻止する正義感がメインのキャラでもない。何より『大魔神』のような形相、ちょっとアホっぽい立ち回りに、いささか哀れみの目で観てしまう。迎える大騒ぎのエンディングに、あっけに取られる方々もいるかも知れないけど、気を引き締めて2時間18分しっかりと頑張りましょう。

【関連作品】
ハルク

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