ただいまの掲載件数は タイトル60292件 口コミ 1159729件 劇場 588件

映画情報のぴあ映画生活 > 作品 > 人間機械 > ニュース > 世界がその告発に絶句し、その映像美に圧倒された! 映画『人間機械』の監督にきく

世界がその告発に絶句し、その映像美に圧倒された! 映画『人間機械』の監督にきく

(2018/07/19更新)
  • Check
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


著しい経済成長を遂げている現代のインド。本作『人間機械』は、その経済を末端から支えながら同時に、発展の恩恵を受けていない労働者たちに目を向ける。世界各国の国際映画祭で大反響を呼んだ1作について、手掛けたラーフル・ジャイン監督にきいた。


『人間機械』

フォトギャラリー

世界がその告発に絶句し、その映像美に圧倒された! 映画『人間機械』の監督にきく
世界がその告発に絶句し、その映像美に圧倒された! 映画『人間機械』の監督にきく

※ 各画像をクリックすると拡大表示されます。

作品の舞台となるのはインド北西部に位置するグラジャード州の巨大な繊維工場。大小の工場が立ち並ぶこのエリアにはそもそもなじみがあったという。「実は今はもうないんだけど、このエリアに祖父が繊維工場を所有していたんだ。その工場内は5歳のころの私の遊び場だった。つまり私は20年の時を経て、何かに導かれるように同じ町の工場に足を踏み入れることになったんだ」

カメラはどこまで続くのだろうかというぐらい広く、入り組み、まるで巨大迷路のような巨大な工場内の奥へ奥へと分け入る。そこで捉えるのは劣悪な環境で働く労働者にほかならない。蒸し風呂のような熱気ある場所で裸同然で働いている者もいれば、働きづめの疲れで目もうつろに働く者もいる。子どもの姿も珍しくない。そこからは、誰がどうみても「労働力の搾取」「労働基準法違反」「現代の強制労働」「グローバル経済における不平等」といったキーワードがすぐに浮かびあがる。監督自身が1番痛烈に感じたことをこう明かす。

「もう撮影が終わって2年が経つんだけど、この作品からはいまだにいろいろなことを学んでいる。私は工場の人たちとまったく境遇が違う、裕福な家庭に生まれて、お金に困ることなんてほとんどなかった。こうして芸術の道に進めたのも、海外の大学でしかるべき学問を学べたからにほかならない。そういうまったく別世界で生きてきたから、工場に入るまでは、みんなこの仕事がお金のために嫌々やっている。工場で働くことがほんとうは嫌で嫌ででたまらないと勝手に想像していた。でも、違ったんだ。労働者のほとんどは仕事があってありがたい、幸せという。そう彼らは仕事をすることには意欲的で特に不満はない。不満があるのは、過酷な労働時間にも関わらず、見合った給料がもらえないこと。組合を作ることも許されず、労働環境が改善されることもない。経営者が絶対で、逆らえばすぐクビになる。そういった不平等に怒っているんだ。そのことに気づけたことが1番、僕にとっては大きかった。それは自ずと自分の階級を初めて意識することにもなったし、インド人としての自分のアイデンティティについても考えるきっかけになった。身勝手な物言いかもしれないけど、自分以外の世界、そして社会、自分という人間について考えるきっかけをつくってくれた、この地で働く人々にはとても感謝している」

撮影は、労働者に止まらず、工場の経営者にも切り込む。ただ、彼の労働者に対する意見は人を人と思わないような言葉ばかり。その横柄な態度は、近ごろ、日本でも目立つ不適切発言を繰り返す政治家らの姿がだぶり、権力を握った者の奢りが見て取れる。

「人はなぜああなってしまうのか? 私も考える時間になりました。今回、私自身もあることでスタッフに対して、怒鳴り散らしてしまうことがあった。あとで、もの凄い後悔をしたんだけど、その話を、会社を経営する父や兄に話たら、『やっとお前も人を使う側の意識に立てるようになったな。会社を経営するというのはしばしば社員をどなることが必要なんだ』と喜ばれてね(苦笑)。私自身は愕然とした。会社や社会でトップに立つ人間がときに傲慢になってしまうのはなぜか? その要因はいろいろあるのだろうけど、権力を一度手にした人たちっていうのはそれを持つのが当たり前になって、他人に考えが及ばないようになるというか。ある意味、脳が壊れて自分がすべてになっちゃうんじゃないかな。ただ、ここで忘れてはならないことがある。民主主義社会において、権力というのは人びとから与えられたものなんだ。つまり、選んだのは私たち。だから、トップに立つ人間はしっかりとチェックしなければならない。人の上に立つことの重責を自覚できる人間か、それとも私利私欲に走るのか人間か、見極めないと。その人選によって世界がそうとう変わってしまうのだから」

作品は、こうしたおそらく世界各地に存在する過酷な労働環境を告発する。その一方で、流れるようなカメラワークで切り取られたショットは、ものが散乱した工場内でさえ的確な構図に収められ、芸術的で美しい。さらに画面全体から襲い掛かってくるかのごとくサウンド・コーディングがなされており、その機械音や工場内の音は体感するがごとく体にビンビン響いてくる。まさに「記録」と「芸術」を兼ね備えたドキュメンタリー映画といっていい。それは、フェイク・ニュースが氾濫し、間違った情報がSNSですぐに拡散される今の時代に、しっかりとした取材に基づき、時間をかけて作られたドキュメンタリー映画の重要性を訴えているようにも思える。

「デジタルメディアが発達して、情報が操作されてしまったり、曲解されて別な意味をもって世間に広まってしまったりする。ただし、それはいまに始まったことではない。プロパガンダは昔からある。なにが真偽か見極めることが困難な時代になっているのは確か。そこで私が出来ることは正直わからない。ただ、ひとりのアーティストとして“現実”というものを音と映像で表現して、ひとつの芸術作品として人々に届けて多くのことを伝えたい。そのことを継続していきたいと思っています」

『人間機械』
7月21日(土)より全国公開

取材・文:水上賢治

【関連リンク】
『人間機械』作品情報

【注目のニュース】
満足度第1位は『ボヘミアン・ラプソディ』
『ボヘミアン・ラプソディ』が初登場1位!
『この道』完成披露試写会レポ
ドルフ・ラングレンインタビュー
小栗旬『ゴジラVSコング』出演決定
平野紫耀、『ういらぶ。』舞台挨拶
『クリムト展』の詳細な展示内容が明らかに!
久間田琳加が主演映画を語る
W・フェレル、『Prince of Fashion』主演に
『インクレディブル・ファミリー 』ルーキー紹介

 

映画ファン必携の一冊! ぴあ Movie Special
映画ファン必携の一冊! ぴあ Movie Special
1
【関連作品】
人間機械

(C)2016 JANN PICTURES. PALLAS FILM. IV FILMS LTD

 

Myページ

ログイン

はじめての方はこちらから

新規ユーザー登録
ぴあ映画生活 facebook公式ページ
ニコニコ生放送 週刊ぴあ映画生活


上映情報

他の地域

 

この映画のファン

 

ユーザ登録をするとこの映画のファンに加わることができます

関連動画


ぴあの映画特別号「ぴあ Movie Special」、最新号となる冬号が12/1発売!
世界的人気のクライムサスペンス、その日本版が再び!
『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』まとめ
ぴあの映画特別号「ぴあ Movie Special」、最新号となる秋号が10/1発売!
あの映画の“核心”に迫る!話題作のキャスト・スタッフに直撃!【インタビュー記事まとめ】
新作続々、公開中!マーベル・コミック映画ニュースまとめ!
映画ファンが注目ポイントはどこ? 『プーと大人になった僕』特集

クチコミ満足度ランキング

初日満足度 観客動員数 DVDレンタル

満足度 投稿数 観たい ファン

『インクレディブル・ファミリー』特集
音を立てたら即死!? 全米大ヒットホラー『クワイエット・プレイス』をはじめ、あの“くまのプーさん”を実写化した『プーと大人になった僕』、豪華キャスト集結の『食べる女』など新作続々更新中! 映画論評・批評の新コーナー“critic”