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『インクレディブル・ファミリー』が人々を魅了する理由、ブレないキャラクターデザインとその進化

(2018/08/10更新)
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ついに全世界興収で10億ドルを突破したピクサースタジオのアニメーション『インクレディブル・ファミリー』。日本でも先日公開され、興収52億円をあげた14年前の前作『Mr.インクレディブル』を上回る勢いを見せ、まさに“インクレディブル・アニメーション”になっている。なぜ、そんなに世界中の人々を魅了しているのか? そのひとつの理由となるのはキャラクターの親しみやすさとかわいらしさだろう。


取材に答えてくれたスーパーバイジング・アニメーター、トム・フチーリ

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『インクレディブル・ファミリー』が人々を魅了する理由、ブレないキャラクターデザインとその進化
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14年前に誕生した5人からなるスーパーヒーロー・ファミリーは当時、ピクサースタジオでは初となる人間キャラクターの主人公だった。それまではオモチャ(『トイ・ストーリー』)やモンスター(『モンスターズ・インク』)などのデジタルで表現しやすいキャラクターが中心で、人間が登場してもあくまで脇役扱い。もし人間キャラクターが作品を支えるとなると、観客は彼らのテクスチャーや表現にまだ違和感を覚えるくらいの時期である。つまりこの5人を主人公に据えるのは、かなりチャレンジングだったのだ。

「リアルだったり、ディテールを描き込んだりした人間キャラクターをデジタルで作る場合、当時はかなり難しかったんです。そんなときにブラッド(・バード監督)が、“リアリスティックじゃない人間キャラクターを試してみよう”と言い出した。それが『Mr.インクレディブル』です。僕たちは大興奮しましたよ(笑)」

そう当時を振り返るのは、1作目と本作でメインのキャラクターデザインを担当したスーパーバイジング・アニメーター、トム・フチーリ。演出はリアルだが、キャラクターのデザインはカートゥーンっぽくカリカチュア。これがバードのこだわりだった。

「ブラッドの打ち出した世界観は“ミッドセンチュリー”でした。家や家具、車も衣装もそれに基づいてデザインされていましたから、キャラクターもそれに準じる必要がありました。そこで僕たちは、実際の1940年、50年、60年代のイラストやアニメーションからインスピレーションをもらったんです。たとえばアニメだと『101匹わんちゃん大行進』とかチャック・ジョーンズ(“ルーニー・テューンズ”などの監督)作品、マンガは『わんぱくデニス』、イラストなら風刺画家のアル・ハーシェフェルドです。とりわけハーシェフェルドのイラストからは大きなインスピレーションをもらいました。なぜなら、彼はキャラクターを最もシンプルな形に要約していたからです。僕たちもそれを心がけました」
そういってフチーリが見せてくれたのはおなじみの図形。アーチ、ハート、円形、四角、そして楕円形。ところが、これらの形に目や鼻,髪を描き足すだけでアーチ型→ボブ、ハート型→ヘレン、円形→ヴァイオレット、四角→ダッシュ、そして楕円→ジャックジャックの顔ができ上がる! シンプルで、しかもとてもかわいい!

「その顔にたとえどんな要素をプラスしても、常にここに戻ってくるんです。それが僕たちにはとても重要なこと。そうすることでキャラクターがブレないんです」

1作目から14年の歳月が流れているにもかかわらず、本作は前作のラストシーンの直後、バードの言葉を借りるなら「30秒後(笑)」くらいから始まるという大胆さだが、そこにもまったく違和感がないのは、このブレないデザインがあるからかもしれない。

「デザインは同じなので、あまり気づかないかもしれませんが、実はキャラクターの顔の筋肉の動きや目の動き、それに伴う表情はかなり違うんです。ニュアンスを付け加え、前作をより進化させた表現を今回はやっている。やっと、ブラッドや僕たちが切望していた表現や演出ができたんですよ(笑)」

これこそが、ずっとみんなが求めてきた会心の作品だということ。つまり、今回の大ヒットを支えているのは、彼らの情熱とアイデアだったのだ。

『インクレディブル・ファミリー』
公開中

取材・文:渡辺麻紀

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