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いま世界が注視する異才、アルベール・セラ監督とは?

(2018/06/01更新)
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異才と呼ぶのがふさわしい映画作家とでもいおうか。そんな異能を感じさせるのがカタルーニャ出身のアルベール・セラ監督。それほど公開を迎えた『ルイ14世の死』は、「この映画はなんなんだ?」という驚きを禁じ得ない。


アルベール・セラ監督

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いま世界が注視する異才、アルベール・セラ監督とは?
いま世界が注視する異才、アルベール・セラ監督とは?

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取材冒頭、「なぜこんな映画ができるのか?」と切り出すと、監督はこう語り始めた。「それは複数の状況が重なってのこと。私はひじょうに退屈をしている時期があって、友人らとなにかおもしろいことができないかと考えていた。それが2000年代の初め。ちょうどデジタル技術が一般にもひろまって、そこから私の映像作家としてのキャリアがスタートした。すると少しばかり才能があったのか、できた映画が評価されてね。それで今に至っている。ハリウッド映画も、ジャンル映画も嫌い。私は自分が観客として見たいと思う映画を作っているに過ぎない」

この作品が描くのは、邦題通りに、“太陽王”と呼ばれ、ベルサイユ宮殿を造ったフランスの国王、ルイ14世が死に至るまで。これまで幾度となく映画でも描かれているルイ14世をピックアップした理由は、演じたヌーヴェルヴァーグの申し子、ジャン=ピエール・レオからのインスパイアだという。「彼と会ったとき、ほんとうに年老いていることに驚いたんだ。『大人は判ってくれない』をはじめ、いろいろな作品に出演しているけど、そのころとはまったく別人といっていいぐらい違う顔をしている。ただ、それは、彼の顔の中になにか新しいものが宿っているようにも思えてね。これを映画の中に引き込むことは価値があるというか。素直に、デリケートかつ厳密な視線で、彼の顔に宿る新たなものを捉えたいと思ってね。そんな思いをめぐらしたとき、たどり着いたのがルイ14世の最期だったんだ」

作品が映し出すのは、ルイ14世が死を迎えるまでのたった数週間。国王から精気が徐々に失われ、人間から魂が消え果てていく様が精緻に映し出される。その映像にはできたら目を逸らしたい死の現実と、なにか見たことのないものに接する好奇心のような魔力が同居する。ただただ凝視することに徹した映像に、知らず知らずのうちに引き込まれていく。本人は“ジャン=ピエールの力”と強調する。「大切だったのは時間と場所とアクションの統一。そして邪魔になるものはフレームの外にして、まったく存在させず、あの寝室だけに集中したんだ。そうすることで、国王が自分の内面から死に直面していることをうかがい知ることができる。また、ジャン=ピエールの顔はそうしたことすべてを出すことができると私は思ったんだ。実際、彼の実の表情は、フレーム外で起きていることさえもその中に引き込んでしまっている。そこには神秘や謎も存在している。この映画に宿っている壮麗さは彼の力。この映画にあるクレイジーな一面も彼がすべて持ち込んでくれた。それだけで映画を1本作るのには十分だった」

名優ジャン=ピエール・レオとのコラボレーションも極めてクールにこう振り返る。「1960年代という映画がエキサイティングな時代、ヌーヴェルヴァーグの極めて重要な俳優ということは知っていて、それはこの作品において大きかったことは確か。ただ、彼に対して芸術家として潔白な存在で尊敬の念はあったけれども、アイドル視することはまったくなかった。私自身はフランス映画から影響をほとんど受けていない。だから、彼に対して絶対的な敬意を抱いていなかったというか。盲目的に崇拝する気持ちはなかった。ジャン=ピエールが出演した映画にも好きなものもあれば嫌いなものもある。俳優に対して、あまりにも愛を抱きすぎてはダメ。自分が好きなところばかりを強調しすぎてしまうからね。あくまで自然体で向き合うことが重要。付かず離れずのバランスが大切と私は考えている」

その上で、自らの映画作りと目指す映画をこう言い切る。「俳優の中で起きるマジカルな変化の瞬間を撮ることが監督業といえるかもしれない。俳優のインスピレーションを大切にしている。だから、私は俳優に寛大であって、彼らが自由にできる空間を常に残している。細かくああだこうだと指図するタイプではない。私は俳優にひとつの無政府状態を与えるんだ。あとは、体の動きや話し方といった俳優がカメラの前で出してくれるものを、ただただ見つめていればいい。俳優の体から出てくるものは、唯一無二のユニークなもので、2度と再現は不可能。あらかじめ予想できるものではない。通常は身体の奥底に隠れていてみえないけど、ある瞬間に表出するもの。それが出てくるのを待てるか否か。私は忍耐力があるので、俳優がそれを出してくれる瞬間をひたすら待つことができる。そこに自分の頭の中に理想があって、それに限りなく近づけたり、自身のある目標に到達していくような気持ちはない。撮影はそれ自体が独自の独立した人生のようなもの。いろいろなことが自然に決まっていって、ある時から自立して自分で歩んでいく。それは自分の頭の中で思い描けることではない。今回の作品も、すべてが予想外だったこと。誰も想像できなかったことばかりが起きている。私はただ、カメラの前できっと起こるであろう奇跡を待っているだけなんだ」

ちなみに『ルイ14世の死』の公開に先駆けて行われた特集上映では、過去作とともにセラ監督自身がセレクションした映画が公開された。彼がピックアップしたのは、ニコラス・レイ、グラウベル・ローシャ、アレクサンドル・ソクーロフ、ラヴ・ディアスと、なるほどという監督の作品が並ぶ。映画のみならず、戯曲の執筆と演出、映像によるインスタレーションなども手掛けて、いずれもが評価を受けているアルベール・セラ監督。その才能に触れてほしい。

『ルイ14世の死』
シアター・イメージフォーラムにて公開中

取材・文:水上賢治

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