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アフリカがアフリカ映画と認めた1作。世界が注目する気鋭監督に訊く

(2017/12/12更新)
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今年のベルリン映画祭で銀熊賞(審査員特別賞)に輝いた『わたしは、幸福(フェリシテ)』は、アフリカの大地や空気、アフリカで生きる人びとの匂いが立ち昇ってくるかのような1作だ。手掛けたアラン・ゴミス監督はセネガル系フランス人。アフリカをルーツに持ち、アフリカ映画で最も栄誉のある映画祭に位置づけられる“FESPACO”で史上初めて最高賞(エタン・ドール)に2度輝いた注目の新鋭に話を聞いた。


アラン・ゴミス監督

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アフリカがアフリカ映画と認めた1作。世界が注目する気鋭監督に訊く
アフリカがアフリカ映画と認めた1作。世界が注目する気鋭監督に訊く

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先述した通り、アフリカ映画の最高峰“FESPACO”で最高賞に輝き、いわばアフリカの人々に“これぞアフリカ映画だ”と認められた本作。その製作の背景を監督自身はこう明かす。「僕の場合は、いつもそうなんだけど、自分の中に映画の粒子のようなもの無数にあってね。その粒がいくつか共鳴し合い、やがて大きなひとつの形になるんだ。今回もそう。まず、主人公のフェリシテは、僕の知っている何人かのセネガル人女性がモデルになっている。困難にもめげない彼女たちの逞しさと強さ、もう一方にある子どもへの優しさや深い愛情。こういったヒロインを一度描きたいと思っていた。また、たとえばテレビで取り上げられるようなよそ行きというか。アフリカの都市でも洗練された場所ではなく、その裏で生きている市井の人々と、実際の生活の場を描きたいとも思っていた。さらに、今回の作品のひとつのキーになっているカサイ・オールスターズの音楽も、かれこれ15年前ぐらいに初めて耳にしたときから、いつか自分の映画で使いたいと思っていた。もっといえば、彼らの地元であるコンゴのキンシャサで撮影をしたい気持ちもずっともっていた。こういう要素がいろいろと絡まってひとつの形へとまとまっていったんだ」

コンゴのキンシャサを背景に描く物語は、バーで歌いながら女手ひとつで息子を育てるフェリシテの心模様を見つめる。彼女は愛する息子が事故で手術しなければ片足を失う窮地に直面。高額の費用をかき集めようとキンシャサの街を奔走する。賄賂、汚職、貧困など、彼女にはさまざまな困難が降りかかる。「アフリカの一般的な人が見て、“俺と一緒だ”と思ってもらえる等身大の人間を主人公にしたかった。フェリシテのような一市民を主人公にすることで、ある種、特殊な環境にいる人間を主人公にするケースが多いアフリカ映画のイメージを打破したい気持ちもあった」

こうしたアフリカの現実を鋭く見せつける一方で、作品はどんな状況にあろうとも存在する人間の誠意や良心を描出。結果、アフリカの枠にとどまらない、世界の人々に届く人間ドラマに仕上がった。「フェリシテのような境遇にいるのは、なにもアフリカの女性だけではない。どの国にだっているはずだ。映画がすばらしいのは国境を越えて届けられるところ。アフリカの人々に感動してもらいたい気持ちは当然ある。でも、同時にアフリカ以外、たとえばここ日本やオーストラリアといった国の人々にも、アフリカ人の演技やアフリカ人の言葉で感動してもらえたらこれほどうれしいことはない。いつも、そこは目指している。なので、アフリカを感じつつユニバーサルにも感じてくれたのはうれしいよ」

彼自身はアフリカにルーツを持つがフランスで生まれ育った。最近はヨーロッパで生まれ育ったアフリカ系移民が撮ったドキュメンタリー映画なども増えている。そこでよく出てくるのが“アフリカで生まれ育っていない作り手がほんとうのアフリカを撮れるのか”という批判だ。これに対し、監督はこう語る。「僕の中では、登場人物にどれだけ説得力をもたさられるかが重要で。その人物の目線まで、僕自身が降りていき、その人物の人間性や本質をとらえなければならない。その本質をつかまえてきちんと描くことをすれば誰もが納得した本物の生きた人物に感じてもらえるものと僕は思っている。ようは登場人物にきちんとした命を吹き込むこと。これさえできていれば、そういった批判をする人も納得してくれるんじゃないかな」

もうひとつ心に残るのが撮影スタイル。まさにキンシャサのストリートを切り取ったドキュメンタリー映像もあれば、どこか夢と現実の狭間をいくような幻想的なショットなど、多様なシーンで構成されている。その撮影は並大抵なカメラマンではこなせないことは想像に難くない。この困難を可能にしたカメラマンはセリーヌ・ボゾン。彼女はトニー・ガトリフの作品などで知られる腕利きの撮影監督だ。「トニー・ガトリフの作品をみて、すぐに彼女に頼んだんだ。あと、今回の作品に関しては、女性カメラマンのほうがフェリシテ役と特別な関係を築けて、こちらの想いもしない瞬間が生まれるんじゃないかという期待もあった。でも、最初は別の仕事が入っていると断られたんだ。もうがっくりしたんだけど、その後、彼女から電話がかかってきて“あの仕事はキャンセルになったからぜひ”と。実際、現場に立つと、彼女はもの作りの欲求とエネルギーに満ち溢れていた。その姿に感銘を受けたよ。また、彼女とは一緒に組みたいと思っているよ」

現代の映画作家では「アピチャッポン・ウィーラセタクンやワン・ビン」にシンパシーを感じるという彼。世界そしてアフリカが認める気鋭の才能に触れてほしい。

『わたしは、幸福(フェリシテ)』
12月16日(土)より ヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

取材・文・写真:水上賢治

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