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カウリスマキ新作の主演はこの人! シリア人俳優がフィンランドの巨匠の映画作りを語る

(2017/11/28更新)
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フィンランドの巨匠、アキ・カウリスマキ監督の新作『希望のかなた』は、難民が大きな主題。監督自身が前作『ル・アーヴルの靴みがき』から“港町三部作”と名付けたシリーズを“難民三部作”と変えてまで世界に届けた1作だ。そこで主役に抜擢されたのは、2010年にフィンランドに渡り、監督・俳優として活動をするシリア人のシェルワン・ハジ。他人事とは言えないこの役にいかに臨み、演じることを通して何を思ったのか? 本人に話を聞いた。


シェルワン・ハジ

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まずはじめにフィンランドに渡った理由のひとつにアキ・カウリスマキの存在だったことをあげる。「ダマスカスで演劇学校に通っていたとき、授業で『過去のない男』を観る機会がありました。それから、アキは自分の中で大きな憧れの対象で。彼のような映画作家を生んだ場所で、監督や演出の学ぶ機会があったらと。でも、まさか自分がフィンランドにきたからといって、アキの作品に出れるとは思っていませんでした」

実は当初、この企画がカウリスマキの映画だとは知らなかったそうだ。「あるプロダクションから、英語とアラビア語、できたらフィンランド語もできる中東の俳優を探しているという連絡がきたんだ。自分はほぼ当てはまる。ならば、可能性はあるかなと。それで指定されたミーティングやスクリーンテストに出たのだけれど、その時点ではアキの作品であるかはまったく明かされていませんでした。その後、やりとりを続ける中でアキの作品だとわかって、もうびっくり。最後は、アキ本人から直接脚本を渡されて、“これを読んでイエスと言え”といわれたんですけど、僕にとっては光栄のひとことで。断る理由なんてなにひとつありませんでした。ただし、出演は決まった当初は、うれしかったですけど、一方で恐ろしかったです。この責任を自分はまっとうできるのかと」

クランクイン前、ひとつだけカウリスマキから指示が出された。「“役者として演技をしないこと”。こう、はっきりと言われました。これには僕も大賛成。アキの映画には彼独自の世界がある。その世界の住人になるには、心も体もフラットにすることが大切と私自身も考えていたので。その言葉を受けて、私は役にテクニカルなアプローチをしないことを心に決めました。そして、私はまずカーリド役である前に、自分自身としてあろうと心がけました。その上で、自分とカーリドという人物をつなぎあわせ、カーリドをひとりの血の通った人間になるよう取り組んでいきました」

でも、この作業は大変だったそうだ。「僕はシリアで生まれ育ったわけで、当然ですがその文化や伝統が体に息づいている。その影響は演じることにも及ぶわけで。少しでも気を許すと中東的な演技が顔を覗かせてしまう。そこを消すことは思いのほか難しいことでした」

作品は、シェルワンが演じたシリア人のカーリドが内戦の激化する故郷アレッポから逃れ逃れてヘルシンキへ。しかし、難民申請をするも受理されず……。収容施設を飛び出し不法滞在者となって行き場を失った彼に、レストランのオーナー、ヴィクストロムら地元民が手を差しのべる。そのストーリーにはこんなことを感じた。「まず難民の境遇や現実に深くわけいっている点に感銘を受けました。と同時に、このような世界的なトピックを恐れることなくテーマに提示するアキの勇気にも感銘を受けました。いま、難民というとどこかやっかいな存在といったネガティブにとらわれがち。でも、そうした色眼鏡で見ることなく、ひとりの人として向き合う。相手をよく知ることの大切さをこの物語は教えてくれる。また、困った人がいたら手を差しのべるといった、人としての良心と誠意にも触れている。みなさんも多くのメッセージを受け取るのではないでしょうか」

自身にとってシリア難民という役は大きな経験になったという。「僕にもシリアを逃れてヨーロッパへ渡ってきた友人がたくさんいる。でも、僕自身は難民というプロセスを経験していない。そのギャップが、カーリド役で少し埋められた気がします。疑似体験ではありますが、カーリドを通して、難民の立場や立ちはだかる厳しい現実を体験できた。これは得難い経験だったし、なにより、シリア人である自分自身のこと、シリアの同胞のことを改めて考える時間になりました」

話は変わるが、カーリドはとんでもない登場の仕方をする。それは密入国の場面。貨物船の石炭の中から真っ黒な姿で現れる。「あのシーンは丸1日撮影が続いたあとのこと。しかも自分で穴を掘って、自分で埋まったんです。石炭は重くて、埋まると身動きできない。もう怖くて怖くて。このまま死ぬのではないかと思いました。みなさん、石炭に埋まることは楽しいと思わないでください(笑)」

撮影を終えた今、今回の経験をこう振り返る。「アキの作品に出るということは、サッカーでいえば地元のクラブリーグから、プレミアリーグに抜擢されるぐらい違うステージに連れていってくれること。実際、何ものにもかえられない経験になったことは確か。僕は役者であると同時にクリエイターでもあるので、彼の創作に対する取り組みでも大いに勉強になったところがある。いつか僕自身も彼に対するトリビュートを作品の中でしてみたい。それが今回大きなチャンスをくれた彼への恩返しにもなるのかなと思っています」

『希望のかなた』
12月2日(土)より、渋谷・ユーロスペース、新宿ピカデリーほか全国順次公開

取材・文:水上賢治

【関連リンク】
アキ・カウリスマキ監督最新作『希望のかなた』予告編公開

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