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監督は20歳、共演者は14歳。女優・桜井ユキが『真っ赤な星』を語る

(2018/12/06更新)
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前作『溶ける』が高く評価され、日本史上最年少でカンヌ国際映画祭シネフォンダシオン(学生が製作した作品の中から優秀作を選出する部門)に正式出品された井樫彩監督。1996年生まれ、現在22歳の新鋭の初長編作品『真っ赤な星』は、孤独を抱えた14歳の少女と27歳の女性の魂がぶつかりあう愛の物語。撮影当時実際に14歳だった小松未来と共にダブル主演を務めた桜井ユキに話を聞いた。


『真っ赤な星』に出演した桜井ユキ

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監督は20歳、共演者は14歳。女優・桜井ユキが『真っ赤な星』を語る
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※ 各画像をクリックすると拡大表示されます。

本作への出演は、プロットを読んで20歳の監督(当時)がこんな内容を描くのか!と興味を引かれてオーディションを受けたことがきっかけだった。「台本は出演が決まってからいただいたんですが、プロットを読んだ時点で若い監督が手がける題材として興味がありました。現場では監督も含めてほとんどが20歳から25歳までのスタッフで、とても若々しい活気がありました。他の作品だと技術スタッフさんは30代から50代くらいの方が多いと思うんですけど、この作品ではみんな若いので、前日がどんなに遅くても次の朝から元気で体力あるなーって(笑)。でも年下だからと不安に思うことは一切なかったです」

不安がなかったのは井樫監督のビジョンが常に明確だったから。「監督の頭の中にある“このシーンはこうしたい”というブレない構造をスタッフさんたちがいかに形にしていくかっていう現場だったので、信頼してついていけば大丈夫だなと思っていました」と語る。

井樫監督とは撮影が始まる前にかなり深いところまで話したそうだが、それは演じた弥生についてではなく彼女自身のこと。こんな経験は滅多にないと思うと笑いながら話してくれた。「私自身の幼少期のことや学生時代にどんなことを考えて過ごしていたか、両親との関係性など過去の話を時間をかけて聞いてくださって。監督さんにそんな話を聞かれることもなかなかないんですが、なぜか何でも話せてしまう雰囲気がありました。しかもそれが、本編では使われていないですけど、私のパラグライダーの練習が終わった後、真っ暗なワンボックスの車の中でふたりでひそひそと話すっていう(笑)。本当にいろいろな話をし終わった後に、井樫さんから“もう大丈夫です、分かりました。話せて良かったです”って言われてガシッと握手して終わりました(笑)」

このディスカッションを経たことで結果、弥生が演じやすくなったのだそう。「監督が私の話のどこがOKだったのかは分からないですけど、すごく人を見抜く力がある方なんだなと思いました。確かに振り返ってみると他人に話したことがないことをたくさん話したなっていう感覚がありましたし、監督が私の底を知っていてくれているという安心感みたいなものがあって、弥生を演じやすくなりましたね。ただ、思い出したくないことも思い出したりして、その後、ちょっといろいろ精神的に乱れました(笑)」

確かに記憶の奥底に閉じ込めたはずの思い出したくないことを思い出す作業はしんどいはずだが、「そのときはしんどいんですけど、弥生を演じるのに必要なことだったと思いますし、結果的に便秘解消みたいな(笑)、詰まりが取れたみたいなスッキリした感覚があったんです」。

その必要だった“しんどさ”は、心に傷を抱えて生きる弥生の心情にも通じるのかもしれない。「弥生が抱えているもの、根本にあるものを撮影期間中持ち続けることはきつかったですね。撮影中はずっとホテルに宿泊していたので、ある種、異空間というか、普段の自分の日常から切り離された環境に身を置いたことでいい意味でストイックな生活になり、弥生を演じるのにとても役立ったと思います」

難役だった弥生だが、映画の肝はあくまで14歳の陽=小松未来との関係性だと語る。「小松さんもあの年齢で陽を演じるのは大変だったと思います。陽と弥生である以上は現場で過剰に関わるわけにもいかないですし、かと言ってコミュニケーションを取らないと一緒にお芝居をする上で変な距離感みたいなものが出てしまうので、その案配がすごく難しかったです。最初の方はすごく時間がかかりましたけど、撮影を進めるうちに何となくお互いのポジションの温度が整ってきて、自然にしっくりきました。結果的にすごくいいバランスで陽と弥生ができたなと思います」

陽が弥生へ抱く恋愛にも似た感情や、弥生の陽に対する態度や揺れ動く内面は見ていて強烈に惹かれるものがある。「演じ終わっても弥生がどういう気持ちだったのかは答えが出なかったんですけど、それでいいと思っています。弥生自身も陽に対しての感情や行動はあまり理由づけができていないし、陽も弥生を好きなのか憧れなのか、ただ自分の空いた部分を埋めてもらいたかっただけなのかとかハッキリしない。弥生も弥生で陽に心の隙間を埋めてもらおうとしていて、ふたりはお互いが寄りかかっていたのかなとも思います。日常生活でも“恋愛”とか“友情”とか、人との関係を定義づけすることが多いと思うんですけど、結局気持ちがどこに属しているのか分からないっていうのが人間の根本のところだと思うので、そういう意味では陽と弥生はそのときそのときに生まれてくる本能で相手と接しているので、とても自然な関係性なのかなと思います」

最後にこんなふうに作品について語ってくれた。「人との距離感や関係性っていろいろあると思うんです。例えば“恋人”というカテゴリーのふたりでも実は恋愛感情ではないところで繋がっているかもしれないし、関係性はだんだん変わっていきますよね。それを相手に伝えなくても一緒にいることはできる。だから本作を観て、形に縛られない関係性や、相手に委ねるとか流れに身を任せる良さみたいなものを感じてほしいーーと言っても、こうして言葉にすること自体、嘘くさくなってしまう気がするので、とにかく絶対何かを感じられる作品なので、観て感じてほしいですね」

取材・文:熊谷真由子 撮影:源賀津己

『真っ赤な星』
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