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時を超えてつながる物語。トッド・ヘインズ監督が語る『ワンダーストラック』

(2018/04/05更新)
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トッド・へインズ監督の新作映画『ワンダーストラック』が6日(金)から公開になる。本作は、1927年と1977年のアメリカを舞台に、大切な人に会うためにニューヨークを目指す子どもを描くふたつのエピソードから成り立っているが、来日したへインズ監督に話をきいたところ、重要な役割を果たす“3人目の主人公”の存在が浮かび上がってきた。


トッド・へインズ監督

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へインズ監督は1961年生まれのアメリカ人。グラムロックの世界を鮮烈なタッチで描いた『ベルベット・ゴールドマイン』や、巨匠ダグラス・サークにオマージュを捧げたメロドラマ『エデンより彼方に』、ボブ・ディランの半生を6人の“ディラン役”で綴った『アイム・ノット・ゼア』、1950年代を生きるふたりの女性のドラマを16ミリフィルムを駆使して表現した『キャロル』など、作品によって映像手法や語り口を縦横無尽に変化させ、観客を驚かせてきた人物だ。「作品ごとに“語り口”を変えることにいつもワクワクするんだ。僕はいつも映画から学び続けたいと思っているし、古い映画も最新の映画もまだまだたくさん観たいと思っている。そして、映画をつくる際には“この物語に一番合っている手法は何だろうか?”と考えるんだ」

そんなヘインズ監督に今回、声をかけたのは作家でイラストレーターのブライアン・セルズニックだ。マーティン・スコセッシ監督の『ヒューゴの不思議な発明』の原作者としても知られているセルズニックは、2011年に出版した自著を自ら脚色。ベテラン衣装デザイナーのサンディ・パウエルの助言を受けて、ヘインズ監督に声をかけた。「ブライアンの書いた脚本は、とても映画的だし、映画そのものにインスピレーションを受けた内容だと思った」というヘインズ監督は、彼のオファーを快諾し、1920年代と1970年代を単にスクリーンで再現するのではななく、20年代と70年代の“映画表現そのもの”を再現するために準備を開始した。「それは脚本の中にすでにあった要素だった。この物語を語る“言語”として1920年代のサイレント映画の触感と、1970年代の映画のザラついた触感が必要だった。それに何よりも、ふたつの時代の映画のあり方そのものが、ふたつの物語に呼応しているように感じたんだ」

それまで無声映画しかなかった世の中に“世界初のトーキー映画”と称される『ジャズ・シンガー』が登場し、映画を楽しむために目だけでなく“耳”が必要になった1927年。生まれたときから耳が聞えない少女ローズは、母親に会えないさみしさを募らせており、ある日、憧れの女優に会うためにニュージャージーからニューヨークに向けてひとりで旅立つ。一方、50年後の1977年にミネソタで暮らす少年ベンは、落雷で聴覚を失うが、交通事故でこの世を去った母の遺品を手がかりに、まだ会ったことがない父親を探してニューヨークへ向かう。

監督が語る通り、本作では1920年代と70年代の映画の見た目や表現技法が丁寧に表現され、それぞれの時代で懸命に生きるふたりの子どものドラマが交互に綴られる。「ここまでの作業は僕ひとりでは実現できないから、才能のあるチームが必要だった」と振り返るヘインズ監督は、『エデン…』『キャロル』でもタッグを組んだ撮影監督のエドワード・ラックマン、アメリカの“近過去”を題材にした作品を多く手がける美術監督のマーク・フリードバーグ、原作者と監督を引き合わせたオスカー受賞デザイナーのサンディ・パウエルらを召集した。「この映画では彼らが、それぞれのエピソードの主人公を演じた子どもたちと同じくらい“リーディング・アクター”だったと思うよ!」

1927年のニューヨークで少女ローズは、憧れの女優リリアンが稽古中の劇場を訪れ、その後、兄が働く自然史博物館に向かう。その50年後、1977年のニューヨークを訪れたベン少年は“ワンダーストラック”と書かれた本を手がかりに父親の行方を探すが、進展はなく、声をかけてきた少年に導かれて自然史博物館にたどり着く。

本作では博物館が重要な役割を果たしており、劇中には様々な展示物が登場する。世界中の不思議なものを集めて、分類し、選択し、作り手が想いをこめて棚に飾る。現地に赴き、そこで狩った動物をはく製にしたり、状況を再現して展示する。巨大な街や自然を作り手の眼を通して改めて見つめ、圧縮し、デフォルメし、ミニチュア模型にしたり、図にまとめる。人類が長い歴史の中で繰り返し行ってきたこれらの行為は「映画と同じだと思う」とヘインズ監督は語る。「人生の中で、自分にとって意味のあることを選んで、文脈をもたせたカタチで集めて見せる。単体ではただのオブジェでしかないものが、文脈の中に置くことで相互作用し合って、観るものに何かを考えさせることができる。これは映画と同じだと思うんだ」

私たちは何かしらの想いを込めて、映画や模型や絵画や彫刻など“作品”をこの世界に残す。そして作った人がこの世を去ったとしても、作品と想いはこの世に残り続け、作者と観る人を、時を隔てて同じ作品を観る人同士をつなぐことがある。本作では、ふたつの時代の物語が交互に描かれ、やがてそのふたつが“ひとつのドラマ”に合流する。しかしそれよりも、離れ離れの時間を生きるふたりの人間が“作品”を媒介にしてつながるドラマの方が重要だ。「その通りだと思う! 博物館も映画と同じように“時間を保ち続ける”ことのできるものだ。もちろん時代に合わせてコレクションが多くなったり変化はするだろうけど、ひとつの場所に“時間”が残り続けるという点で博物館は映画と同じような要素をもっているんだ。この映画ではローズとベンが同じ博物館を訪れて、時間を隔ててつながりあったり、触れ合うことができるんだよ」

『ワンダーストラック』は、1920年代を生きる少女と、1970年代を生きる少年と、それを観る第3の主人公、つまり“あなた”の物語だ。時を隔てたふたりの子どもたちが同じ作品を観て、同じものに触れるのをあなたがスクリーンで観る時、あなたは遠い未来にどこかでこの映画を観る誰かとつながっている。その時、ヘインズ監督とスタッフが想いを込めて集め、選び、飾った『ワンダーストラック』という棚は、あなたに何を語りかけてくるだろうか?

『ワンダーストラック』
4月6日(金) 角川シネマ有楽町、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー

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