ただいまの掲載件数は タイトル64942件 口コミ 1178329件 劇場 588件

映画情報のぴあ映画生活 > 作品 > 否定と肯定 > ニュース > “真実”は間違いなく存在する。歴史学者が語る映画『否定と肯定』

“真実”は間違いなく存在する。歴史学者が語る映画『否定と肯定』

(2017/12/07更新)
  • Check
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


実話を基に、2000年に英国で行われた歴史的裁判にまつわるドラマを描いた映画『否定と肯定』が8日(金)から公開になる。本作はユダヤ人歴史学者とホロコースト否定論者の法廷対決を描いた作品で、レイチェル・ワイズが演じた主人公のモデルになったデボラ・E・リップシュタットは「今、世界は“真実”と“事実”に関する戦いの中にある」と語る。


デボラ・E・リップシュタット

(C)DENIAL FILM LLC AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2016

フォトギャラリー

“真実”は間違いなく存在する。歴史学者が語る映画『否定と肯定』
“真実”は間違いなく存在する。歴史学者が語る映画『否定と肯定』

※ 各画像をクリックすると拡大表示されます。

彼女はアトランタの大学で講義をしながら著述活動もする学者で、第二次世界大戦時にナチスが行ったユダヤ人の大量虐殺について研究している。しかし彼女はある日、世界が注目する裁判に引きずりだされる。ホロコースト否定論者で、彼女が自著でその主張を完全否定した英国人デイヴィッド・アーヴィングから名誉毀損で訴えられたからだ。ちなみに、米国ではこのような裁判があると“訴えた側”に立証責任があるが、英国では“訴えられた側”つまり、リップシュタットたちに立証責任がある。そこで彼女は英国に渡り、大規模な弁護団と対面する。

「私たちが法廷で戦う上で戦略はふたつあったと思います」とリップシュタットは振り返る。「ひとつはホロコーストのすべての事実を明らかにして法廷で見せることです。しかし、それは訴えたアーヴィングと“同じレベル”で戦うことを意味します」。そこでリップシュタットと弁護団は、彼女曰く“嘘つきと戦う最良の方針”を選択する。「それは、アーヴィングの書いた本が参照しているものをすべて調べて、彼が何を主張しようとしているのか突き止めるという方法です。調べてみると、彼は参照元に記載してある内容とは異なるものを証明していました。事実は事実としてあるのだから、それを証明する必要はありません。私たちがとったのは“実際に何が起きたのか?”を証明するのではなく、彼が起きたと主張しているけど、本当は起きていないという証拠を積み上げていくことでした」

議論をする上で、対立する立場の意見をバランスよく記載する“両論併記”は、とてもフェアなように思えるし、正しく機能する場面もある。しかし、リップシュタットは「真実というものは、間違いなく存在しますし、すべてが比較論で話せるものではない」と力強く語る。「この世にはFACT(事実)があり、OPINION(意見)があり、そしてLIE(嘘)があると私は思っています。もし、私が“地球は平面で”と語り始めたら、それは事実を歪曲していることになります」

映画は、裁判記録をすべて調べ、その流れや発言を忠実に再現したという。一方で、映画は主人公リップシュタットと弁護団のドラマを丁寧に描き出していく。映画の冒頭、弁護団は裁判を進める上で、彼女やホロコーストの生還者を証言台に立たせない方針を選び、彼女と弁護団に緊張がはしる。「映画は非常に正確に描かれていますが、私と弁護団の関係はほんの少しだけドラマティックに描かれています(笑)。私は一度だって弁護団を変えようとは思いませんでしたし、彼らが最高の弁護団で全身全霊をかけて取り組んでいるとわかっていました。生存者を証言台に立たせなくないと思ったのは、我々の人道主義的な選択でした。彼らを証言台に立たせると、相手は細かな点を指摘して、矛盾をあげつらったり、人生で最悪な出来事を語ってもらっているのにネガティブな反応をしたり、揚げ足をとったりするでしょう。私たちはそんなことをしてまで、この裁判に勝利したいとは思いませんでした」

同時にそれは、この問題について信念をもって研究を続け、訴えられている本人であるリップシュタット自身が法廷でまったく発言できないことを意味する。映画の中の彼女は他人に“良心”や“信念”をゆだねることができるのだろうか? 「それはつまり“信頼”の問題だと私は考えています。私が暮らしているアメリカでは、信頼の問題は危機的な状況です。国で最も権威あるはずの大統領が真実ではないことを口にする。そんな国でどうやって人を信頼すればいいのでしょう? 信頼の破壊は民主主義に対する脅威だと思います」

本作は、英国で起こったホロコーストを巡る裁判を描いた映画だ。しかし、本作には“事実”が歪められることの恐ろしさや、人と人が信頼することの難しさと大切さ、意見がまったく異なる相手との向き合い方など、2017年の日本で暮らす観客にも他人事ではないテーマがつまっている。「地球温暖化について議論になって、こんなにもハリケーンが起こっていると誰かが言うと、“証拠を見せろ!”という人がいます。証拠は目の前にあるのに! 私個人の感覚では『あなた、何でそんなアホなこと言ってんのよ』と思わず言いたくなりますけど(笑)、それでは相手を説得できません。また、危険な意見の持ち主に自分から親切にすることがとても難しいのも確かです。だけど私は今、世界は“真実”と“事実”に関する戦いの中にあると思っています。アーヴィングのような勝手に事実を作り上げてしまうような人を説得することはできないでしょう。でも、私たちが行動することで、アーヴィングのような人間から影響を受けている人たちに、影響をおよぼすことができるかもしれません」

『否定と肯定』
12月8日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

【関連リンク】
『否定と肯定』作品情報

【注目のニュース】
平野紫耀と橋本環奈が恋愛トラップを仕掛けまくる!『かぐや様は告らせたい』予告映像到着
志尊淳、新境地となる『潤一』劇場公開に「幸せです」と喜び爆発
『シャイニング』から40年後の物語 『ドクター・スリープ』ビジュアル&US版予告公開
京極夏彦『魍魎の匣』が舞台化! 主演に挑む橘ケンチが稽古直前の想いを語る
なぜ、主人公は歌うのか? 黒沢清監督が語る『旅のおわり世界のはじまり』
「ぴあ」(アプリ)先行開始!『新聞記者』公開記念舞台挨拶
日本初「オードリー・ヘプバーン映画祭」ついに開幕! トリンドル玲奈が魅力を語る
劇団EXILE 秋山真太郎が小説家デビュー 日常に潜むファンタジー描く
メル・ギブソンとエミール・ハーシュが新作で共演
映画『妖怪ウォッチ』新シリーズ 公開日決定&ティザービジュアル公開

 

映画ファン必携の一冊! ぴあ Movie Special
1
【関連作品】
否定と肯定

 

Myページ

ログイン

はじめての方はこちらから

新規ユーザー登録
ぴあ映画生活 facebook公式ページ
ニコニコ生放送 週刊ぴあ映画生活


 

この映画のファン

  • クリス・トフォルー
  • よっchan

 

ユーザ登録をするとこの映画のファンに加わることができます

関連動画

関連DVD

否定と肯定 [Blu-ray]

  • 定価:5076円(税込)
  • 価格:3772円(税込)
  • OFF:1304円(25%)

 


進化し続ける4DXの魅力をレポート!4DXニュースまとめ
正統派時代劇『武蔵−むさし−』が公開!
映画ファンなら見逃してはいけないSFスリラー『クローバーフィールド・パラドックス』 『アナイアレイション −全滅領域−』特集
『ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2019』特集
新作続々、公開中!マーベル・コミック映画ニュースまとめ
あの映画の“核心”に迫る!話題作のキャスト・スタッフに直撃!【インタビュー記事まとめ】
ぴあの映画特別号「ぴあ Movie Special」、最新号となる春号登場!

クチコミ満足度ランキング

初日満足度 観客動員数 DVDレンタル

満足度 投稿数 観たい ファン

WOWOW『連続ドラマW 悪党 〜加害者追跡調査〜』特集
DCヒーローの動向をチェック!『DCコミック映画』まとめ