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新作映画で初共演! 中井貴一と佐々木蔵之介が語る『嘘八百』
(2018/01/04更新)
中井貴一と佐々木蔵之介が、挫折続きの古物商と陶芸家のコンビを演じ、人生一発逆転の大勝負に挑むさまを描いた『嘘八百』が明日に公開を迎える。数々の映画に出演してきたふたりだが、本格的な共演は意外にもこれが初めて! 大阪の古都・堺を舞台にわずか16日で撮影された本作の魅力について、語り合った。

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堺出身の脚本家・今井雅子と『百円の恋』の武正晴監督&脚本家・足立紳コンビのコラボレーションにより生み出された本作だが、いまの日本映画でこの企画が劇場公開までこぎつけたというのは実はかなりすごいことである。
原作の漫画も小説もないオリジナル脚本による企画で、いくら『百円の恋』がセンセーションを巻き起こしたとはいえ、コアな映画ファン以外にはまだまだ知名度が高いとは言えない監督の作品で、若い層をターゲットにした学園が舞台の胸キュンラブストーリー全盛の邦画界にあって、主人公はサエないオッサン2人組。時代の流れの逆を行く映画と言える。
中井は、この企画を通した制作陣の勇気ある決断を称えつつ、「エンターテイメントにおける幅広いチョイスを提供することは、僕らの仕事でもある」と業界に身を置く人間のひとりとして、こうした作品の意義を訴える。
「映画館に向かう人々の足を止めないことも僕らの役目のひとつ。大人がTVのチャンネル権を持ちたいと思える作品、映画館に足を運ぼうと思える映画を作らなきゃいけないし、少子高齢化が叫ばれる中で、“少子”だけに焦点を合わせ、作品を作り続ければ、大人はチャンネル権を放棄してしまいますし、『どうせ制服姿の若い子たちの映画しかないでしょ?』と映画館に足が向かなくなりかねません。そうじゃなく『なんかこれ、面白そうじゃん?』と思わせられる作品を送り出していきたい。そう思った時、この作品はまさに昭和のアナログな映画界を生きてきた自分が『やってみたい』と思える作品でした」。
佐々木は「オリジナル作品ということは、それだけすごい熱量があるということ。しかも堺を舞台に堺出身の脚本家でね。今井さんは改訂稿を30回も出されたそうです。それこそ“命がけ”と言える熱量で書かれたし、そこにみんなが賛同して、オリジナルだからこその自分の役、自分にしか作れない役が書いてあった。そりゃ、うれしい仕事をいただけたなぁという気持ち以外の何物でもなかったですよ」とこうした企画にメインキャストで携わることができる喜びを口にする。
中井が口にした“少子高齢化”という言葉を借りるなら、今後、世代別で見ると確実に年齢の高い層が社会の中で大きな割合を占めていくことになるのに、映画界は若者向けの作品ばかりというのは「不思議なこと」(中井)である。
「いまの50代世代は30年前にはディスコに行って踊ってた若者たちでしょ? そういう意味でエンターテイメントにお金を使うこと、外に出てくることに抵抗はないはずですから、そこはエンターテイメントの世界の人間が、彼らを外に連れ出すような方法を考えていかないといけない」と中井。
佐々木は世代の幅の広さという点について、まさに本作の現場でも強く感じたそうで「これだけいろんな世代の人間が同じ板にいるって、やっぱりいい環境、いい仕事場だなって思います」とうなずく。特に佐々木が面白いと感じたというのが、中井とその娘役の森川葵、佐々木とその妻役の友近、息子役の前野朋哉の5人がすき焼きを囲むシーン。
「5人それぞれ、思惑はバラバラだし、決してみんながみんな仲いいわけでもないのに、なぜか鍋は囲んでしまう(笑)。以前、アメリカ人の演出家と一緒に仕事をしたとき、すき焼きに連れて行ったら、みんなで一つの鍋をつつくってことに驚きつつ、面白がってたんですよね。まさにこのシーンもそう。なんかよくわかんないけど、わかんないなりに鍋は囲んでしまうという(笑)。面白いなと思います」。
「面白い」と言えば、佐々木が中井に対して感じた魅力を表した言葉が「面白がり方がすごく面白くて素敵」というもの。「役者って、つまんないことに命や情熱をかけるもんなんですよ。貴一さんを見てて、その面白がり方って知性に裏打ちされていてすごく素敵だなって。大人が面白いおもちゃで上質に、決して雑にじゃなく、丁寧に遊んでる感じがカッコいいなって思うんです」。
中井は「大人になり切れない面白がり方なんです」と苦笑しつつ、特に今回の現場で自身だけでなく、佐々木もスタッフも含めて「play acting(=楽しんで演じる)している現場だった」と振り返る。
「メジャーリーグの選手がplay ball、つまり球で遊んでいるのと同じ。以前、メジャーの試合を見に行ったら、外野手がアウトカウントを間違えて、まだツーアウトなのに捕球したボールを客席に投げちゃって、その間にランナーが生還するというプレイがあったんですけど、ふと点を取られた側のベンチを見たら、監督以下、みんな爆笑してるんですよ(笑)。遊んでるなぁって思ったし、是非はともかくそれもエンターテイメントのプレイのひとつなんですよね。まさに今回、そういう現場だったし、それはプロフェッショナルだからこそ楽しめる。大人のオッサンたちが堺で遊びながら楽しんでできた作品が『嘘八百』なんです。いやぁ、16日間でよかったね。1か月もあってももたなかったね(笑)」。
『嘘八百』
1月5日(金)公開
取材・文・写真:黒豆直樹
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