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それは“人生の恐怖”に似ている。監督が語る『新感染 ファイナル・エクスプレス』

(2017/08/30更新)
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世界各国の映画祭で高評価を集めているサバイバル・アクション映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』がいよいよ9月1日(金)から公開になる。本作は高速で移動する列車内で凶暴なゾンビに立ち向かう人間の姿を描いた作品で、これまでの名作ゾンビ映画同様、私たちの暮らす社会の歪みや構造がエンターテインメントの中にしっかりと盛り込まれている。さらに脚本も手がけたヨン・サンホ監督はこう語る。「この映画に共感してくださる方がいるとすれば、この映画の恐怖を“人生の恐怖”と同じように感じてくださったからではないでしょうか」


ヨン・サンホ監督

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それは“人生の恐怖”に似ている。監督が語る『新感染 ファイナル・エクスプレス』
それは“人生の恐怖”に似ている。監督が語る『新感染 ファイナル・エクスプレス』
それは“人生の恐怖”に似ている。監督が語る『新感染 ファイナル・エクスプレス』

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一度死んでから甦り、凶暴化して人間を襲うゾンビ=感染者が、時速300キロ超で走る鉄道に出現したとしたら? 本作は、感染者を乗せた列車に乗り合わせてしまった父と娘や、妊娠中の妻とその夫、野球部員の高校生とその恋人らが生き残るべく攻防を続ける様と、それぞれが抱えるドラマを描きだしていく。

これまで製作されてきたゾンビ映画の中には、先ごろこの世を去った巨匠ジョージ・A・ロメロ監督の名作群をはじめとして、アクションやホラーの楽しさを描きながら、同時に私たちが暮らす社会の構造や歪みが描かれてきた。「ゾンビは吸血鬼や狼男と違って、超人的な能力がなく、特別な存在ではありません。だからこそ、ゾンビという存在を通じて、私たちの社会を投影させることができるのではないでしょうか。また、愛する人や家族がまったく違う姿を見せる恐怖や、意思と関係なく自分が別の人間や状態になってしまうかもしれない恐怖というのはありますよね? この映画を作る前にそんな恐怖についても考えたりしました」

1997年にアニメーション監督としてデビューを果たしたヨン・サンホ監督は、2016年に発表した長編アニメーション『ソウル・ステーション/パンデミック』の製作時から、ゾンビについて考察を深めてきたという。「前作は、ソウル駅にいるホームレスの人について考えるところから映画づくりが始まりました。ホームレスの人は非日常を生きる存在で、日常を生きる私たちが目を背けたくなる存在です。明らかにそこに存在しているにもかかわらず、“いないもの”として扱ってしまう。そんな感情が私の中にも、みなさんの中にもあるはずです。『ソウル・ステーション…』と『新感染…』は連作のような関係にあると言っていいと思うのですが、自分とは違う存在に対して見て見ぬフリをすることが結果的に災難を招く、という前作の考えが本作にも引き継がれています。『新感染…』では、自分とは違う存在を見たときに“知らないフリをする人”と“それをしっかりと認識して行動する人”を混在させて描きたいと思いました」

興味深いのは、本作ではそれらの人々が、高速で動く列車の中に閉じ込められていることだ。古典的なミステリでは列車は“動く密室”として扱われてきたが、現代が舞台の本作では、列車内のモニタが各都市の惨状をリアルタイムで伝え、登場人物それぞれのスマートフォンが列車の外の世界につながり、新たな情報をもたらす。「通常、密室というのはそこを抜け出して、どこかに行きたい欲求をもたらすものです。しかし、この映画の列車=密室は何もしなくてもどこかに向かっていて、安全に目的地に移動できるかわからないまま列車が動き続けていることが恐ろしいという存在です。密室なのに外から様々な情報が入ってきますが、その情報が正確なのか、信頼できるのか確かめるすべはなく、情報を信じるかどうかは自分の判断で決めなければなりません」

劇中に登場する列車は、人を襲って驚異的なスピードで増殖していく“感染者”を乗せたまま、目的地の釜山に向かって走り続ける。なぜ、こんな状況になったのか? 感染者に弱点はあるのか? 仮に釜山にたどりつけたとして、そこは安全なのか? ひとり、またひとりと仲間が減っていく中で、人間たちは決死のサバイバルを続けるが、監督はここに描かれる恐怖は“人生の恐怖”と似ているという。

「人間は生きていく中で、どこかしらの目的地に向かっているわけですが、自分の進むべき道やプロセスが本当に正しいのかは、その道中でつどつど判断しなければなりません。さらにいうと、そこで判断したとしても、その判断が正しいのかどうかわからないまま、どこかに向かって走り続けているわけですよね? それは人間が生きていく上で味わう“原始的な恐怖”です。この映画に共感してくださる方がいるとすれば、この映画の恐怖を“人生の恐怖”と同じように感じてくださったからではないでしょうか」

『新感染 ファイナル・エクスプレス』
9月1日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー

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