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観客が考え、発見する映画をめざす。ジェフ・ミルズと大森立嗣監督が語る『光』

(2017/12/05更新)
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三浦しをんの同名小説を、大森立嗣監督が映画化した『光』の音楽を、世界的なDJで、エレクトリック・ミュージックの巨匠ジェフ・ミルズが担当している。なぜ、日本映画のサウンドトラックをミルズが手がけることになったのだろうか? 大森監督とミルズに話を聞いた。


ジェフ・ミルズ、大森立嗣監督

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観客が考え、発見する映画をめざす。ジェフ・ミルズと大森立嗣監督が語る『光』
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過去に三浦が執筆した『まほろ駅前多田便利軒』と『映画 まほろ駅前狂騒曲』を映画化していた大森監督は小説『光』を読んで「自分が映画を撮る中で抱えてきたテーマにひっかかる部分があったので、映画化したいとは思っていたんですけど、内容的にバイオレントな部分や自然災害の描写もあるので実現するのは難しいだろうなとは思っていた」と振り返る。

本作の登場人物たちは、かつて同じ島で幼少期を過ごした男女。中学生の信之、その恋人の美花、信之を慕う輔は様々な問題を抱えて閉塞感を感じながら暮らしていたが、3人はある日、“決して人は言えない秘密”を共有する事件に遭遇。さらに島を自然災害が襲ったことで島からも追われてしまう。やがて時は流れ、大人になった信之は妻子のある身に、美花は過去を隠して女優として暮らしていたが、そこへ輔が姿を現し、3人の運命が大きく動きはじめる。

『ぼっちゃん』や『さよなら渓谷』など次第に露になっていく人間の本性や哀しさを丁寧に描き出してきた大森監督は、原作小説に“ひっかかり”を感じる一方で、実際に映画化する上では「自身のこれまでの映画作りを一度リセットして新たにチャレンジをしてみたかった」という。「自分の思考がある範囲に収まってきているのではないかという疑いがあって、それを壊してもっと自由になっていいんじゃないかと思ったんです」。そこで、大森監督は「父親(麿赤児)の音楽(大駱駝艦の舞台)をジェフさんがやられていて“なんだこの音楽は!”と思っていた」というミルズに音楽を頼んだ。

一方のミルズはオファーを快諾し、監督から受け取ったキーワードを基に制作を開始。ハードなビートが鳴り響く楽曲から、劇空間を隅々まで満たすような静謐なトラックまで幅広い楽曲が揃ったが、そのすべては「映画のキャラクターに“奉仕”する音楽」だという。「私はあくまでも映画のコラボレーターだと思っていますから、それぞれのシーンの温度や厳しさ、シーンの前後に起こる出来事をパラメーターに音楽を手がけていきました。楽曲はハードだったり、ミステリアスだったりしますが、すべては映画のキャラクターに“奉仕”する音楽という考えです。DJというのは、その場の状況を察知して、観客にどんなリアクションを起こしてほしいか考えて音楽を鳴らし、その反応を見てまた考えるということに慣れているんです。だからこれまで培った経験を活かして音楽をつくっていきました」

ミルズはダンスミュージックの世界からキャリアを開始し、現在はオーケストラやダンサーとの競演作も手がける才人だ。その楽曲群は単に“踊れる”や“盛り上がる”などの機能を超えた広がりをもっており、大森監督は「ジェフさんの音楽は本当に強烈で、音楽をつけることで、自分が想像していなかった部分が映画の中に生まれてきた」という。「今まで自分が観た映画の中で、こんな音楽の使い方をしたものはなかった。でも、今回は“自分の映画作りを壊す”というテーマを課していたので、これでいいのか? という恐怖と、これこそがやりたかったんだという想いの両方がありましたね。映像と音楽が“主従関係”になってしまうと一方通行になってしまいますけど、今回は映画と音楽がこんな風に融合できるんだという発見がありましたし、僕とジェフさんが物理的に離れた場所にいて、作業できたのも面白い結果を生んだ一因かもしれません」

穏やかな日常の風景に溶け込んでいる人間の奥底に眠る“真の姿”を描き出す本作は、予測不可能な展開を見せ、さらにそこで描かれるドラマ、やり取り、表情のひとつひとつにまで複数の意味やドラマが込められている。観客の想像や考察の余地がつねに残されている挑戦的な作品だ。「その映画に出会って、自分で考えれば考えるほど、自分の中の記憶が増幅していく経験があるんです。だから逆に何も考えなかった映画はすぐに忘れていくし、自分で考えたり発見した映画のことは一生忘れないんです。だから、そんな映画を信じたいし、自分としてはそういう映画をやっていくしかないですよね」(大森監督)、

「作り手が考えていることを最初からすべて完璧に観客に理解してもらうことはできないでしょう。でも、誰も時間をかけて目指すべき場所に向けて作品を作り続けるわけです。でも、よく考えれば、それは映画も同じではないでしょうか? 登場人物はみな、何らかの状況に置かれていて、そこから脱出しようと試行錯誤するわけですが、必ず最後にベストな場所にたどり着けるわけではない。でも、彼らは何らかの行動を起こすわけです」(ミルズ)

消せない過去を抱え、追いつめられながら、何とか出口を見つけようともがく男女は最後にどんな場所にたどり着くのだろうか? タイトルにもなっている『光』が“必ずしも明るくて良いものとは限らないこと”を本作は宣言している以上、観客はスクリーンに対峙し、ミルズの鳴らす音楽に耳を傾けながら、じっくりと考えるしかない。「わかりやすいものとは違う、歯ごたえのある映画になったので、ぜひ観ていただきたいと思います」(大森監督)

『光』
公開中

JEFF MILLS 映画 『光』 サウンドトラック
AND THEN THERE WAS LIGHT (FILM SOUND TRACK)
品番:UMA-1103
定価 2500円+税
12月22日(金) 発売

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