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いよいよ明日公開! 監督が語るピクサー最新作『リメンバー・ミー』

(2018/03/15更新)
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ディズニー/ピクサーの新作映画『リメンバー・ミー』が明日から公開になる。本作は、主人公の少年が“死者の国”を舞台に冒険を繰り広げる中で、自分にとって一番大切なものを見つけていくまでを描いたファンタジー作品で、監督を務めたリー・アンクリッチは「アートというものは、その時の自分が反映されるものなんだ」と笑顔を見せる。ピクサーの初期からスタジオを支えてきた彼が現在、作品に込めた想いとは?


リー・アンクリッチ監督

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アンクリッチ監督は1967年生まれの米国人で、ピクサー初の長編アニメーション映画『トイ・ストーリー』に編集として参加。その後も共同監督や編集など“ストーリーとキャラクター”を磨くパートで活躍し、2010年には『トイ・ストーリー3』を監督して高い評価を得た。本作はそんなアンクリッチ監督の約7年ぶりの新作になるが、基になるアイデアは、彼が幼少期の頃からあったようだ。「メキシコの“死者の日”には子どもの頃から興味を持ってたんだ。だからこの映画をつくりはじめた初期は、祝祭のビジュアルの面に魅了されていたよ」

多くの国や地域では先祖が“この世”に戻ってくる祝祭や行事が存在するが、ラテンアメリカのいくつかの地域では“死者の日”と呼ばれ、11月に死者の魂がこの世に戻ってくるとされている。人々はマリーゴールドの花やロウソク、ガイコツの仮装で街やお墓を飾り、パーティをして先祖を迎える。セルゲイ・エイゼンシュテイン監督の『メキシコ万歳』や、サム・メンデス監督の『007 スペクター』には“死者の日”の場面が登場するため、観たことがある人もいるだろう。華やかで、少し過激で、何より美しい。それがメキシコの死者の日のビジュアルだ。

ところが、アンクリッチ監督は「リサーチのためにメキシコを訪れて、そこで暮らす家族と一緒に時間を過ごす中で、私はこの祝祭の本当の豊かさを知ることになった」と振り返る。「そこにはもっと深い伝統があったんだ。田舎の町ではガイコツもフェイスペイントもなくて純粋に家族を愛するため、家族を忘れないために祝祭がある。“死者の日”は家族が再び集まるためのお祭りなんだと知ってしまった以上、もう表面のビジュアル部分だけを描いて終わりにすることはできない。“死者の日”が祝福している豊かさや深さのすべてを映画で描きたいと思うようになったよ」

そこで本作の主人公は、音楽家を夢見ているのに“音楽禁止”が掟の一家に生まれた少年ミゲルになった。ミゲルの一家はかつて先祖に起こった“ある出来事”がきっかけで音楽を弾くのも聴くのも禁止で、“死者の日”に音楽を演奏したいミゲルの不満は爆発。家族とケンカして家を飛び出したミゲルはいつしか“死者の国”に迷い込んでしまう。

ピクサーのメンバーは映画づくりにおいてリサーチを重視しており、時間と労力を投じて、作品の題材を徹底的に調査することで知られているが、本作では少々、問題があった。「行きたかったんだけど、リサーチで“死者の国”に行くことができなかったんだ(笑)。そこでメキシコの人に“死者の国はどんな場所ですか?”と質問してみたんだけど『えー、それはわからないなぁ』とか『暗くて何にもない場所なんじゃないの?』みたいな返事ばかりだった。次に、僕とスタッフは死後の世界が登場する映画をとにかく観まくった。でも、どれも限定的にしか描かれていなかったり、あまり魅力的じゃなくてね。次第に、みんながそれぞれに“人が死んだ後”に関する考えや概念を持っているから、少し考えが違うだけでガッカリしてしまうんじゃないかと思うようになったんだ」

監督が語る通り、死に対する考えは人それぞれに大きく違う。しかし、映画では誰もが納得できて、物語にすんなり入っていけるような死者の国を描かなければならない。どうする? 「僕たちを助けてくれたのは“最終的な死がまだその先にある”というアイデアだった。つまり、この映画に出てくる死者の国は“仮の場所”で、その先に2度目の死が待っているんだけど、そこがどうなっているのかはまだよくわかっていない。そう決めたら急に気楽にアイデアを出し合ったり、デザインできるようになったよ!」

主人公ミゲルは迷い込んでしまった死者の国で、亡くなってしまった自分の先祖に出会うが、この世界は生きている家族に忘れられてしまうと存在が消えてしまう仮の場所で、さらに自分が日の出までに元の世界に戻らなければ、生きている家族とは永遠に会えないことを知る。夢のように美しい死者の国でミゲルは偶然に知り合った相棒ヘクターと元の世界に戻るため、自分の愛する音楽を禁止した先祖の“許し”を得ようと冒険を開始する。

本作は楽しくてワクワクするアドベンチャーでありながら、家族を想う人々のドラマ、自分の夢と家族との関係に悩む若者のドラマも丁寧に描き出している。「僕はまだそこまでおじいさんじゃないけど(笑)、ピクサーに入ってからそれなりに時間が経って、結婚もして子育ても経験してくると、これまで以上に家族のことを想うようになる。自分のエゴというものが薄れていくし、子どもがどんな大人になっていくんだろうかと考えるようになっていく。『トイストーリー3』を完成させた後、僕はそんな自身の変化に呼応するようにこの映画を作ったんだと思う」

思い返せば、ピクサーのフィルムメイカーたちは“いま、自分たちが考えていること”を誠実に作品に込めてきた。『トイ・ストーリー』シリーズでは、子どもたちを楽しませるために活動する者たちが愛する子どもとどう向き合うかが描かれ、後に子どもの成長を見守り、次世代にバトンが渡されることを受け入れるドラマが描かれた。また、『モンスターズ・インク』では言葉の通じない幼児にあたふたするモンスターが、『ファインディング・ニモ』ではわが子を愛するあまりつい過保護になってしまう親が登場。やがて時が流れると、思春期を迎えた娘の複雑な頭の中はどうなっているのだろうか? という疑問が『インサイド・ヘッド』を生み、自分よりもわが子の成長こそが誇らしいという気持ちが『カーズ/クロスロード』の感動的な結末を導き出した。

「アートというものは、その時の自分が反映されるものなんだ。少し前にピクサーのみんなとそんな話をしたよ。『トイ・ストーリー』の頃は僕もまだ20代で、スタジオには子どもがいない人が多かった。それが今では僕にも3人の子がいて、ふたりが大学生で、末っ子がもうすぐ高校生になる。ピート・ドクターも子どもの成長にあわせて『インサイド・ヘッド』をつくったよね。『リメンバー・ミー』がそこまで“個人的な映画”かと問われたら、それは違うと思うけど、自分たちが人生の中で経験してきたことは映画をつくる上では避けることが出来ないかたちで映画に出てくるんじゃないかな」

自身が年齢を重ね、子が成長し、自分の親も年老いたり、この世を去っていく経験をする中で、人は先祖からバトンを受け継ぎ、子どもたちにバトンを手渡しているのだと気づく。「僕は父方の祖父や祖母には会ったことがないんだけど、もし会うことができたら、どんな気持ちになるだろう? 彼らの中に“自分を形作っているもの”を見つけられるだろうか? と想像することがあったんだ。この映画では、死者の国に行って、何世代も前の家族に会うことができる。そんな映画はこれまでになかったから、そういう想いも映画が生まれるきっかけのひとつにはなっていると思うよ」

ピクサーの監督たちが、その時々の自身の想いを作品に込めるのは「いつまでも残り続ける映画を作りたい」からだとアンクリッチ監督は語る。「いまは映画がどんどん“消費財”みたいになっていて、エンドロールになったら、それまで観ていたものを忘れてしまうようなもが増えているけど、ピクサーは全員がいつまでも残り続ける映画を作りたいと思っているんだ」

死者の国を舞台にした少し不思議な冒険を描く『リメンバー・ミー』は、観た人が年齢を重ねた後も、心の中で“思い出”として残り続けるような素晴らしい作品になっている。

『リメンバー・ミー』
3月16日(金)より全国公開

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