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神山健治監督、転機を迎えた新作『ひるね姫』を語る

(2017/03/17更新)
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『東のエデン』『009 RE:CYBORG』の神山健治監督が新作映画『ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜』を完成させた。神山監督は2002年に監督デビューしてから次々に作品を発表してきたが、新作は4年以上をかけて考え、立ち止まり、何度も推敲を重ねて完成させた渾身の1作だ。自身のキャリアの中でも「大きなポイントになる映画になった」という『ひるね姫』について、神山監督に話を聞いた。


神山健治監督

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神山健治監督、転機を迎えた新作『ひるね姫』を語る

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人間の身体と情報化社会が限りなく近づいた未来社会を舞台にした『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズや、壮大なゲームを通して日本社会が抱える問題点と突破口を探った『東のエデン』、テロや戦争が多発し国家の枠組みが溶解する中で改めて“正義”や“神”について描いた『009 RE:CYBORG』など、これまでの神山監督は「世界を救うヒーローの姿を通して現実にある社会問題と切り結び、物語のなかで問題と対峙していくという動機で描かれた作品」を発表してきた。しかし『009…』の製作中の2011年に東日本大震災が起こったことで、監督は「それまで考えてきたことと、どこかで“齟齬が出た”感じがした」と振り返る。「それまでは、日本に生まれただけでラッキーで“幸せ度数”がすごく高いというか、平穏な日常がずっと続くことが苦痛だった中で、ああいう災害が起こると、むしろ何も起きない日常が続くことの方がファンタジーになってしまった。そうなった時に、これまでと同じアプローチで作品をつくることが、どうしても自分の中で座りが悪くなってしまったんです」

神山監督の下には『009…』の公開直後の2012年末には多くの新作オファーが届いていたが「周囲から求められているものは、これまでの作品に近いものが多いのですが、自分ではそういう物語をいまは書きたくないし、そもそも、観客はそういう物語を欲していないのではないか?……そう思いながら考えているうちに1年とかすぐに過ぎていってしまうんです(笑)」。転機が訪れたのは、2013年末。きっかけは、日本テレビの奥田誠治プロデューサーから“自分の娘に観せたい映画をつくったら?”と提案されたことだ。「“個人的な動機で映画をつくっていい”というのが僕の中ですごく新鮮に響いて、もっと個人の想いに寄り添った作品をつくってみようと。そういう映画であれば、いまの気分にフィットするんじゃないかと思ったんです」

『ひるね姫』の主人公・森川ココネは、幼い頃に母を失い、現在は自動車整備工をしている父と岡山県で暮らしている平凡な高校生。彼女はサイボーグでもなければ、特殊能力をもっているわけでもない極めて平凡な女の子で、特技はタイトルにもなっている“ひるね”ぐらいだ。しかしココネは、家族に事件が起こったのを機に、自身が眠っている間に見ている夢の世界の物語が、現実の自分と大きく関係があることに気づいていく。映画は、東京オリンピックを3日後に控えた現実の日本を舞台した物語と、機械づくりの国“ハートランド”が舞台になるココネの夢の世界の物語が時に交互に、時に併走しながら語られる。「脚本を書き始めた頃は、ファンタジーの要素はなくて、ただただ個人の想いを独白するような作品でもいいんじゃないかと思っていました。個人の独白は、それまで隠されていたものが明かされるという点で、その内容がハッピーなものであれ、不幸なものであれ、エンターテインメントになると思うんです。でも、作品を作っていくうえで、それをストレートに見せるだけではなく、楽しいものにしたいという想いもあって、ファンタジーの要素が増えていき、途中で映画を飛躍する仕掛けとしてファンタジーや夢の要素が意外にうまく機能するんじゃないかという手ごたえを感じるようになっていきました」

現実のドラマとファンタジーの要素をどこまで絡ませ、関連づけ、観客に連想させたり、考えさせる余地を残すのか? 脚本づくりには長い時間がかけられたが、神山監督はこれまでのように「たくさんある描きたいことをテクニックで見せ切ったり、ロジックで語ること」よりも「キャラクターの感情をラストまで切らさずに描ききる」ことに注力したという。「細かい説明よりも、感情の動線がつながって最後まで走りきることが重要で、それこそが時間軸のある映画というジャンルで最良の表現方法だと思いながら、これまでは“映画的なもの”をつくってきたと思うんです。映画館で上映される映像が必ずしも映画ではないし、映画が本来もっているリズムを捨ててでも語りたいことを押し込めるのが、これまでの僕のスタイルでした。でも、今回の映画で初めて、想いを伝えるための流れを切らさないことを意識して、シーンをカットすることもありましたし、映画が終わった後も、ここに出てくるキャラクターが存在しているんじゃないかと思えるようなものを獲得したいと思ったんです」。『神山健治の映画は撮ったことがない』という著書(3月23日に増補改訂版が発売))もあるぐらい、神山監督にとって“映画とは何か? 何を描けば映画になるのか?”は、映画製作を離れても大きなテーマになっているが、本作はその点で「大きなポイントになる映画になった」という。

ちなみに、先ほど紹介したように本作は、神山監督が“自分の娘に観せたい映画”というところから出発し、劇中では主人公ココネと父親の物語が主軸になって語られるが、神山監督は何度も脚本を書き直していく中で“不在の母親”こそが最も重要で「ある意味、彼女こそが主人公なんだと気づいた」と語る。以降の監督の発言は、映画をすべて観終えてから読むと、より響いてくる内容だが、監督の言葉を心の隅に置いて映画を観ると、より深く作品が楽しめるはずだ。

「最初は、父と娘の話というところから出発して、その視点で一度は物語を書いていった。でも、父親(男性)はどこかで自分のキャリアを残そうと思っているけど、母親(女性)は自分が死んでしまうと告げられたら、のこされる子どもに『私の夢をお願いね』とは言わないだろうなぁと思ったんです。しかも、のこされた父親は、娘に対して人生のアドバイスはできないだろうと。そうしたときに、母親は、自分の夢というよりは、娘が生きていくうえで必要な情報を全部、娘に伝えておきたいと思うはずだ、と。でも、父親は、やはり娘と摩擦係数の少ない付き合い方をどうしてもしてしまうところがあるので、ああいう不器用な伝え方になるんだけど、中身は母親の想いそのものなんだっていう風に描かないと、この物語の背骨が通らないんですね。だから、それぞれのキャラクターの視点で何度も脚本を書き直す中で、不在の母こそ主人公なんだと気づいたし、最も重要なキャラクターになったんです」

『ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜』
3月18日(土) 全国ロードショー

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