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“美”に対する執着を描き出す衝撃作『ネオン・デーモン』監督が語る

(2017/01/11更新)
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『ドライヴ』『オンリー・ゴッド』など次々と衝撃作・問題作を発表し続けているニコラス・ウィンディング・レフン監督の新作『ネオン・デーモン』が公開になる。ファッション・モデル界を舞台に、美を追求し、美に執着し、美という名の幻に魂をも捧げる者たちを描いた作品だが、レフン監督は「この映画は、この世界や美への執着を批判するものではない」と断言する。


ニコラス・ウィンディング・レフン監督

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本作は、バルテュスの絵画を思わせるポーズを決めた美しい女性が映し出される場面から始まる。極彩色のメイクを施され、シャッターが切られる度に輝きを増していく彼女の名前はジェシー。まだ16歳の彼女は、ファッション・モデルになるために、娯楽とファッションのメッカ、ロスにやってきた。身寄りもなく、モーテルで暮らす彼女は、自分が若く、美しいことを知っており、モデルや、写真家、メイクアップアーティストに出会いながら、モデル業界に足を踏み入れ、同時にモデル業界の闇にも呑み込まれて変化していく。

「最初は“内なる美”と“純粋さ”に興味があった」というレフン監督は、やがて「人からどのように見られたいのか? という欲望や、美を追求するために自らを作り変えていくことにも興味が出てきた」と振り返る。そこで、レフン監督は、人間が美に執着し、美のために変化していく過程を際立たせるため、本作を徹底的に“人工的”に描くことにこだわった。画面には目がくらむほどの色彩があふれ、自然界には存在しない色の照明が空間を埋め尽くし、クリフ・マルティネスが手がけるエレクトロニック・ミュージックが爆音で鳴り響く。一方で、本作では本来は鳴っているはずの足音や、洋服がかすれる音などが意図的に削除されている。「人工的な世界を作りたかったので、ほんの少しでも“リアル”に感じられる要素があれば、すべて排除したいと思いました。人間の足音や、洋服がかすれる音はそれだけで“リアル”であることを観客に想起させます。ですから、徹底的に“アンリアル”になるように様々な要素を削除していきました」

さらにレフン監督は、可能な限り“鏡”を置いて、人物そのものではなく、鏡に映った人物を撮影している。鏡に映る自分は“本当の自分”なのか? それとも? 「これは、現代人が“鏡”とどのように関わり、向き合うのかとも関係しています。この映画では、鏡を使ってナルシシズム(自己愛)を表現しています。自分を完全に愛せるようになるために、鏡に映った自分と恋に落ちようとするのです」。しかし、監督は、鏡が作り出すのは“死のイメージ”だという。「鏡に映し出される像は、人工的なもので、“死んだイメージ”です。この映画の登場人物が求めているものは、決して手が届かないもので、それは“死んだ状態”と呼んでもいいでしょう」

本作は、美しさを、他人の視線を、幻を追う中で、“死のイメージ”に魅了されていく女たちの姿を容赦なく描き出していく。しかし、レフン監督は、そんな世界を批判的に見たり、冷笑的に描いたりはしていない。「この映画は、美に対する執着を描いていますが、それを批判したり、客観視したり、裁くようなものにはしたくありませんでした。むしろ、ここで描かれているものが魅惑的に見えるようにしたかったのです。現代の文化は、相手にすぐ判断を強いる傾向があります。“お前はどっちの立場なんだ?”って。でも、それは創造の敵だと思いますし、私はただ自分のやりたい題材を描くだけです。その問いに答えがなくともね」

映画が始まると観客は、メイクとライトと音楽が渦巻く世界に放り込まることになるだろう。それは“ネオン・デーモン”が支配する世界だ。監督は、主演のエル・ファニングが三角形の青いライトの中に立つ写真を指さして力強くこう宣言した。「この写真です! これが“ネオン・デーモン”です! 悪魔的で、魅惑的で、セクシーで派手で妖しく輝いている……これこそがこの映画のシンボルであり、私はこの存在に惹かれたのです」。美を追求する彼女たちがそうだったように、レフン監督もまた“ネオン・デーモン”に魅了されて、本作を完成させた。あなたは、この魔物とうまく対峙できるだろうか?

『ネオン・デーモン』
1月13日(金) TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー

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