ただいまの掲載件数は タイトル64256件 口コミ 1171032件 劇場 589件

映画情報のぴあ映画生活 > 作品 > ファインディング・ドリー > ニュース > 進化を続ける短編映画とピクサーの未来

進化を続ける短編映画とピクサーの未来

(2016/07/28更新)
  • Check
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


公開中のディズニー/ピクサー最新作『ファインディング・ドリー』では、短編『ひな鳥の冒険』が同時上映されている。生まれて間もないシギが、初めて巣を出て冒険に出る姿を最新のCG技術を駆使して描いた作品だが、なぜ、ピクサーは超大作の『…ドリー』を製作しながら、さらに短編も手がけたのだろうか? アメリカ・サンフランシスコにあるピクサー・アニメーション・スタジオで取材し、その謎に迫った。


『ひな鳥の冒険』

フォトギャラリー

進化を続ける短編映画とピクサーの未来
進化を続ける短編映画とピクサーの未来
進化を続ける短編映画とピクサーの未来
進化を続ける短編映画とピクサーの未来

※ 各画像をクリックすると拡大表示されます。

1.ピクサーの歴史は“短編”から始まった

1984年、ルーカス・フィルムのCG部門に移籍したジョン・ラセターは、仲間と力を合わせて、当時はまだ発展途上だったコンピュータ・グラフィックスを使用した短編『アンドレとウォーリーB.の冒険』の制作に着手する。同年7月、完成した作品はミネアポリスで開催されたコンピュータ・グラフィックスの展覧会シーグラフで披露され、集まった観客はその完成度の高さに熱狂し、ラセターたちは“CGで映画を作りたい”という夢に向かって最初の一歩を踏み出した。

その後、彼らはルーカスの下を離れて、自分たちを“ピクサー”と名乗るようになり、いくつかの短編を手がけたラセターたちは、1988年に玩具の世界を舞台にした短編『ティン・トイ』を発表する。スノードームの中にいる雪だるまを主人公にした作品で、同年のアカデミー短編アニメーション賞の候補になった。その後、彼らは本作で描いた“人間がいない間の玩具の世界”をさらにふくらませた長編映画に着手する。それが世界で初めて公開されたフルCGの長編映画『トイ・ストーリー』だ。ピクサーのはじまりにはいつも“短編”があるのだ。


2.ピクサーの“短編”史

その後も、ピクサーは長編と平行して短編映画づくりにも力を入れている。彼らの映画作りは、デジタル技術の進化と切っても切れない関係にあるため、“観客のハートを掴む短編映画を作ること”と“デジタル技術の探求と進化”の両面を追求しながら短編映像の制作にあたっている。

例えば、1997年に製作された『ゲーリーおじさんのチェス』は、オスカーを受賞した思わず笑顔がこぼれる傑作だが、彼らは本作を通じて、人間の肌や髪の毛、洋服など、複雑なデジタル表現について試行錯誤したり、学習・進化させる機会を得た。映画作りの規模が大きく、関わっているスタッフの数の多い長編映画では、表現方法の選択や変更は、多くの部署やスタッフに影響を与えることになるが、5分程度の短編ではあれば、気になっていたアイデアを試したり、あえて実験的な表現を使って、これまで通りに良いストーリーを描くことができるのか試してみることができる。

その後も彼らは『バウンディン』でモフモフとした動物の毛の表現を、『晴れ ときどき くもり』では微妙に変化していく自然光の表現を、『ブルー・アンブレラ』ではカメラレンズを模した表現を進化させ、そこで得たノウハウや経験が、その後につくられる長編映画に生かされている。どれだけ大きなスタジオになっても、失敗を恐れずに新しい表現や技術に挑む、現在の手法にさらに磨きをかけていく……そんな真摯な姿勢が、ピクサーの傑作短編を生み出したのだ。

また、2002年に『モンスターズ・インク』に登場した人気キャラクターが再登場する『マイクとサリーの新車でGO!』が登場して以来、『Mr.インクレディブル』公開後に『ジャック・ジャック・アタック!』が、『ウォーリー』の公開後に『BURN・E/バーニー』が製作されるなど、長編映画のファンに向けたプレゼントになるような短編も製作されるようになった。『カーズ』から生まれた“メーター”の短編は人気シリーズに成長。『トイ・ストーリー』からも多くの短編や中編が発表された。これらは“良いキャラクター”を追求し続けてきたピクサーの姿勢が反映された短編たちといえるだろう。

ちなみに、上記の作品の多くは現在、『ピクサー・ショート・フィルム&ピクサー・ストーリー 完全保存版』と『ピクサー・ショート・フィルム Vol.2』にまとめられており、気軽に楽しむことができる。


3.最新短編『ひな鳥の冒険』の魅力

そんなピクサーの傑作短編群に新たに加わったのが『ひな鳥の冒険』だ。本作の主人公は、生まれて間もないシギで、初めて巣を出たひな鳥が迫ってくる波、初めての海岸線におびえながら、少しずつ環境に慣れ、成長を遂げていく姿を愛らしい表現を交えて描いている。

監督を務めたアラン・バリラーロは、1997年からピクサーで活躍してきた精鋭スタッフのひとりで、アニメーターとして活躍する一方で、自分たちの映画づくりがより柔軟に進められるよう技術チームとタッグを組んで、アニメーション作製ツールの開発にも取り組んできた。そこでバリラーロは初監督作を手がけるにあたって“ストーリー”も“技術”も妥協しない映画づくりに挑んだ。

本作を観た観客はまず、圧倒的な映像の美しさに息をのんだはずだ。徹底的にクリアに、美しく描かれた海岸線の砂の粒の細かさと動き、それらが太陽光を反射して色を変えていく様、目の前にいて触れられると錯覚してしまうほど自然な鳥の毛なみ、CGで描かれているはずなのに“透き通っている”と感じられる水……ピクサー史上最も美しい映像を観客は目にすることになる。

この映像を実現させたのが、現在、ピクサーが開発し、さらに改良を加え続けている新しいレンダー(様々なデータを統合させて、最終的なCGの画をつくりだす作業)マシン“RIS(リズ)”だ。これまでピクサーは“レンダーマン”というマシンを使用してきたが、本作のプロデューサーを務めたマーク・ソンドハイマーによると“RIS”は「この映画と『ファインディング・ドリー』にも使われた新しいレンダラーで、すべてのものを通して、光をもっと反射させる」ことができるという。

しかし、映画を支え、観客を驚かせる表現を生み出すのは、いつもテクノロジーではなく“フィルムメイカーの技”だ。バリラーロ監督は、本作の美しいデティールを手がけたのはあくまで“アーティストたち”だと言い「ストーリーがまず最初にくる。そして、僕にとって超接写写真とその美しさが大事でした。僕にとって今もキャラクターやデザインがすべての基になっているから、この映画の波もただ水をシュミレーションしたものではなく、アニメーターたちが手で描き出したもので、本物の水よりも、もっと水らしく感じるんだ」と説明する。

本作では、これまでのピクサー作品同様、最新の技術がすべて“ストーリー”と“キャラクター”のために投じられている。「僕にとって、すべてはキャラクターとストーリーテリングなんだ。僕は、このキャラクターを観客に信じてもらいたいよ」(バリラーロ監督)


4.なぜピクサーは短編をつくり続けるのか?

しかし、新しい技術を投じて新しい短編をつくることは、手間も予算もかかる。長編映画は全世界の映画館で公開し、ブルーレイやDVDをリリースすることで資金を回収できるが、短編はそれだけで上映されることがまずないため、プロデューサーのソンドハイマーは「短編はお金が儲からないどころか、逆にお金を失うんだ」とハッキリ言う。

しかし、彼は「ピクサーとジョン・ラセターは、短編を作ることにとてもコミットしている」と語る。なぜだろう? 「それはアランのような人々に、ストーリーを語り、学ぶ機会を与えるからだ。この映画の仕事をした多くの人々は、普段彼らがやっていることとは違うことをトライしてみる新しい機会を与えられた。それは、本当に僕らのためなんだ。アーティストが本当に学んで、成長するためにね」

振り返れば、短編『晴れ ときどき くもり』を手がけたピーター・ソーンは後に『アーロと少年』を、短編『ワンマンバンド』を手がけたマーク・アンドリュースは後に『メリダとおそろしの森』を監督した。短編を制作する過程で彼らは多くを学び、長編映画を手がけるための“基盤”を築いたのだろう。バリラーロ監督は「ピクサーのあまり話題にならない側面に“人材育成”がある」という。「アンドリュー・スタントンは僕の机にやってきて、僕がやっていたテストを見て、僕のことを励ましてくれた。ジョン・ラセターもね。ここにいて、すべてから影響を受けて、アーティストとして成長していると感じられるのは素晴らしいことだよ」

訪れたスタジオ内には、現在もいくつかの作品の制作が進められており、まだここには書けない“あの作品”のイメージ画や、メモが飾ってあった。ピクサーの未来はいつも“映画を生み出す人”と共にあり、彼らはこれからも失敗を恐れずに挑戦し、新しい領域を開拓していくのではないだろうか。

『ファインディング・ドリー』
公開中

【関連リンク】
彼女はどこからやってきた? ピクサー・スタジオでわかったドリーの“秘密”
ピクサー最新作『ファインディング・ドリー』の舞台は“人間の世界”
進化した“懐かしさ”『ファインディング・ドリー』のキャラクター創造術
“新しい物語”を求めて。『ファインディング・ドリー』の物語づくり
もう1度観たい! いま『ファインディング・ニモ』を振り返る
ウミガメのクラッシュが再登場! 『ファインディング・ドリー』新映像公開
『ファインディング・ドリー』愛らしい“ベビー・ドリー”映像が公開
映像もドラマも“進化”したピクサー新作『ファインディング・ドリー』新映像
八代亜紀がピクサー新作『ファインディング・ドリー』に“本人役”で登場
『ファインディング・ドリー』監督、「続編作らない」宣言撤回の理由は?
さかなクンが映画『ファインディング・ドリー』に込められた“お魚への愛”を語る

DVD情報


ファインディング・ニモ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

定価:4320 円(税込)
価格:3127 円(税込)
OFF:1193円(27%)
出演ディズニー
発売日2016年04月20日

 


【注目のニュース】
『僕のヒーローアカデミア』特報映像
エミリー・ブラントが『Not Fade Away』に主演
『GoT』最終章メインビジュアル公開
佐藤大樹が長野県の魅力をアピール
『ホットギミック』特報映像公開
タランティーノ最新作特報映像
『シュガー・ラッシュ:オンライン』インタビュー
ノーランの次回作にジョン・デヴィッド・ワシントン
名作『山猫』メイキング画像が公開
『名探偵ピカチュウ』最新予告公開

 

映画ファン必携の一冊! ぴあ Movie Special
1

(C)2016 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 

Myページ

ログイン

はじめての方はこちらから

新規ユーザー登録
ぴあ映画生活 facebook公式ページ
ニコニコ生放送 週刊ぴあ映画生活


 

この映画のファン

  • Yousuke  Takuma
  • gale
  • 三日酔い
  • KERO
  • 出木杉のびた
  • おハナさんといっしょ。
  • マリナハート
  • cinerama
  • えすぺら
  • yun_0424
  • はちべー
  • クリス・トフォルー
  • でっぱら
  • でぐち

 

ユーザ登録をするとこの映画のファンに加わることができます


ディズニーの名作が新たな物語で実写化!『ダンボ』特集
ひげガールのレコメンド対決に投票しよう!  MC-1(見逃したシネマ)グランプリ
“絶対に見逃せない”新ヒーローが登場『キャプテン・マーベル』特集
ぴあの映画特別号「ぴあ Movie Special」、最新号となる春号登場!
その内容に業界激震!“最速・最短”全国劇場公開プロジェクト『岬の兄妹』緊急特集
又吉直樹原作、衝撃の舞台が映画化!『凜−りん−』特集
日本映画界屈指の俳優陣が集結! 『赤い雪 Red Snow』 永瀬正敏&菜葉菜インタビュー

クチコミ満足度ランキング

初日満足度 観客動員数 DVDレンタル

満足度 投稿数 観たい ファン

進化し続ける4DXの魅力をレポート!4DXニュースまとめ
新作続々、公開中!マーベル・コミック映画ニュースまとめ!
あの映画の“核心”に迫る!話題作のキャスト・スタッフに直撃!【インタビュー記事まとめ】