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“目に見えないもの”を描く。是枝裕和監督が語る『海街diary』

(2015/06/16更新)
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吉田秋生の人気コミックを綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずの共演で実写映画化する『海街diary』が公開されている。本作は、離れ離れに暮していた4人の姉妹が共に暮らし、“家族”になっていくまでを描いた作品だが、脚本と監督を務めた是枝裕和は、さらに原作を読み込み、より深いドラマを描き出している。監督に話を聞いた。


『海街diary』を手がけた是枝裕和監督

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映画は、2006年から月刊フラワーズで連載を開始した吉田秋生のコミックを原作に、鎌倉で暮す3姉妹と、彼女たちと一緒に暮すことになった“異母妹”の日常を描いた作品で、綾瀬はるかが長女の幸を、長澤まさみが次女の佳乃を、夏帆が三女・千佳を、広瀬すずが四女のすずを演じ、大竹しのぶ、堤真一、加瀬亮、風吹ジュン、リリー・フランキー、樹木希林らが出演している。

本作では、姉妹の何げない日常が鎌倉の美しい四季の風景を織り込みながら描かれるが、是枝監督はそれ以上に“日常的な動作や出来事の繰り返し”にこだわったという。「四季の移り変わりという円環する時間にどうしても目がいくんだけど、むしろ日常的な出来事が繰り返されることが大事で、それらを少しずつズラしながら配置していくことで、大きな円環(四季)と小さな円環(日常)を描くことを大事にしました」

一方で、離れ離れになっていた姉妹が同じ家で暮らしながら少しずつお互いのことを知っていくドラマは“二度と訪れない1度きりの時間”を感じさせる。人間は繰り返される季節の中で、二度と戻ってはこない時間を過ごしているからだ。「その両方が映画にとって大事なんですよね。後者を体現できたのは、たぶん役者のおかげだと思います。役者がその瞬間をどう生きるか、どうやってそこにいるのかがちゃんとできた。撮影現場で立ち会っていて『あ、これは1回限りだ』という感覚を何度も感じたので。監督の手が及ぶ場所なんか、たかが知れていて、そうじゃない場所に映画がいったときに、映画はすごく豊かなものになるというのを、この映画で実感しました。誰が監督しているとか関係なく『これはいいシーンだ』と思える瞬間が何回もありましたね」

本作は監督が語る通り、4人の姉妹を主人公に、ひとつの街で繰り返され、積み重なっていく“時間”を丁寧に描き出していく。「最初に脚本を書いている時は原作にあるシーンだけを並べ替えてたんだけど、それだと映画にならんと思って、映画にするべく、どうやって時間を並列ではなくて、少しずつズラしながら積み重ねていくかを考えながらシーンを追加していったんです。この映画は“鎌倉四姉妹物語”ではないから、姉妹の外には街があって、その街の10年前と10年後が描きこまれていないと“海街diary”にはらないから、その感じをどう出せるのか? 出したとしてバラけないで落とし込めるのかは、編集の最後まで試行錯誤を繰り返していましたね」。姉妹の変わらない暮らしと関係の変化、移りゆく四季、再び巡ってくる同じ季節。それらを映画という表現で描き出す試みは完成直前まで続いた。「例えば、冬のシーンを30秒入れ替えるだけで、春の見え方がまったく変わってしまうという嘘みたいなことが起きるわけです。それで冬のシーンを少し増やして、幸の視点を強くしてみたり、すずのシーンを削ってみたり……ただある瞬間に、明け方の4時ぐらいでしたけど『あ、できたかな』という瞬間があって、そこからはイジってないんですけど、どうしてこのバランスになったのかはわからないんです」。

過去に是枝監督は『誰も知らない』で1年間に渡って撮影を行い、四季の変化を織り込みながら子どもたちのドラマを描いたが、本作ではより多くの要素が作品に盛り込まれた。「『誰も知らない』の場合は基本的に4人の話なんだけど、この映画は姉妹の話と、家の話と、街の話が三層に分かれているから、その三層を1年という時間の中でどういうバランスで出し入れするかは、かなり難しいんですね。しかも、そこに過去と現在と未来が描かれているので、すべてのブロックを立体的にどう動かしていくのかが難しかったんです。“見えないもの”を動かしていくわけですから。見えているものを動かすのは簡単なんだけど、見えないものを動かすと、別の見えないものも動いてしまうわけですよ」

基本的に映画は映像を使って表現するメディアで、目に見えるものだけで構成されている。よく言われることだが、カメラで“心”は映らない。それでも是枝監督は“見えるもの”をつなぎあわせて“見えないもの”を描こうとする。それは劇中で家族になっていく姉妹のドラマも同様だ。多くの映画が共に暮らし、“絆”という言葉で表現される関係を築きあげることが家族だと表明しているが、是枝作品における家族は、それらの要素を含みながら、さらに長い射程で“目には見えない”家族の姿を描こうとしている。「欠損を埋めていくことによって家族は次の世代に渡っていくものだと思っているんですね。“みんなが揃うことが幸せ”だとは思っていなくて、個人的なことを言えば、僕は父親が死んで、母親が死んで、欠けたんだけど、自分に子どもができたことで僕が父になって、嫁さんが母になって、欠けたものが埋まったと思っていて、つまり何かが欠けないと埋まらないんですよね。欠けたものを埋めて次の世代に渡すことで、家族は閉じずに未完成なまま次へ渡っていくものなのかな、と自分が子どもをもったときに強く感じたんです。この映画も、姉妹それぞれが“いない人間”の影を背負いながら、欠けたものを埋めていく話だから。長女の幸は祖母の影を背負っていて、それは、四女のすずに受け継がれていく。次女の佳乃は母の影を背負っているから、祖母の影を背負っている幸と対立する。千佳はあまり記憶はないけれど父の影を背負っていて、幸はすずの中に自分の子ども時代を見る。そうやって欠けたものを埋めながら次の世代へと渡っていくんですね」。

だからこそ是枝監督は、4人の姉妹が共に暮らし、家族になっていく本作の中で、彼女たちがいずれ離れ離れになってしまう可能性を描きこむ。「いずれ誰かが家を出たり、結婚したりして、もしかすると4人ともがこの街からいなくなって世代が変わって、別の人がこの家に住むことになるとか……そういうことまで想像させる話だと思ったから、そういう終わり方になっているといいなと思いました。例えばあの家には梅の木があるんですけど、あの木には祖母の記憶があって、母はそのことをこころよく思ってなくてっていう、姉妹が生まれる前から、あの家には別の人の別の物語があったんだってことが想像できるんですよね。それは原作にもしっかりと描かれていることなんです」

是枝作品ではいつも大きな出来事は起こらない。多くの人が“日常”だと感じる出来事が繰り返される。しかし『海街diary』でも他の是枝作品と同じく、何げない日常の中に息づく“見えないもの”が丁寧に描かれ、その背後には壮大な世界が広がっている。日常を真摯に見つめ、自らの足元を深く深く掘り下げることで、豊かな表現を描き出してきた是枝作品の魅力を、本作でもしっかりと感じることができるのではないだろうか。

『海街diary』
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