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PFFアワード2011 見どころ徹底解説!特集 (2)
(2011/09/14更新)
PFFアワード2011 見どころ徹底解説!特集
2011年9月20日(火)〜30日(金)【会場】東京国立近代美術館フィルムセンター
これまで、日本映画界に多数の映画監督を輩出・紹介してきた「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」のコンペティション部門「PFFアワード」。今年は、602本の応募作から厳選された入選17作品が期間中の上映と最終審査に挑む。ぴあ映画生活では、入選17作品を事前に観たプロから「賛美派=イチオシとして応援!」と「辛口派=ひと言(激励を含め)申したい!」それぞれのレビューを掲載します。ぜひ、気になった作品は会場で確かめてみてください!
PFFアワードとは?(PFF公式サイトへ)PFFアワード2011 ノミネート作品
「チョッキン堪忍袋」
【上映時間】 9月25日(日)11:00 / 9月29日(木)11:00
前売りチケットを購入する作品あらすじ
嫌な顔ひとつせず、引きこもりの兄の世話をする妹。しっかり者の彼女は、頼りない兄を大らかに見守りながら自立を促す。ところが兄が久方ぶりに外に出たかと思うと、時を置かずに意中の女性までできた模様。この瞬間、彼女の心に兄の裏切りに対する怒りと、交際相手に対する猛烈な嫉妬心が生まれる! 若き女性監督の異能がスパークする、異色の兄妹愛ドラマ。
PFF公式サイトの作品解説へ…賛美派レビュー
尾崎香仁/映画監督・脚本家
「堪忍袋の緒が切れる」という慣用句をもじってつけたであろうこのタイトルは、字面からして、野暮ったい印象を与えかねないが、その音の響きが功を奏してか、先日、映画と無関係の仕事をしているいわゆる一般の人物に、このタイトルを言っただけで笑いが起きた。
この作品は、妹から兄への恋心やそこに隠れた性欲を取り扱っていて、それだけ聞くと、一部の特異な人だけが喜ぶようなものを想像してしまうが、全くそうではない。タイトルで笑いを誘ったように、この映画は個人の闇を大衆化し公共に受け入れさせる強い力を持ち合わせている。タブー視され得る兄妹愛を女性監督が女性的視点で描いた作品で、このようにバランスよい大衆性を持った日本映画は珍しい。
妹がそっと手を伸ばし、寝ている兄の耳に触れる序盤のシーンなど、女性監督でなければ描けなかったであろう生々しい描写を多く含ませながらも、閉じた表現にせず、うまくデフォルメされたキャラクターと軽快なストーリーで、観客を物語に引きずり込む。
この映画の弱さを挙げるとすれば、堪忍袋の緒が切れた瞬間を描ききれていない点である。物語中にハサミや断髪シーンが繰返し登場するのだが、「チョッキン」という部分には掛かっていても「堪忍袋」の捌け口がうまく見えてこない。
しかしながら、その省略も、33分というこの話を語る上で小気味良い尺にまとめるのに一役買い、軽やかな楽しい作品に仕上がっている。
辛口派レビュー
皆川ちか/映画ライター
「兄ちゃんのせいで、私の人生が台無しだよ」
兄の散髪を終えた妹は後片付けをしながら言う。床屋の前で散髪代を手渡し、仕事に行くときは兄の食事を予め作り、兄が入浴中は着替えを用意しておく。ふてくされながらも兄の世話を焼く妹と、されるがままの兄。近親相姦ぎりぎりの兄妹関係。監督と同性である妹の視点を主にして映画は進んでいくが、この妹の搦め手が、実にいやらしい。
冒頭に記したように妹は経済面でも生活面でも髪型さえも兄を支配し、しかし自分はニートである兄の犠牲者だと被害者の位置をキープ。相手を責めることで自分から離れられないようにする手管、みごとです。しかし、女のいやらしさがよく出ている一方で、彼女は自分の兄への執着に関して、なんら疑いらしきものを抱いていない。葛藤、踏み越え、おぞましさ。近親相姦を描くうえで避けられない、かつ、もっともそそる部分が奇妙なほど抜け落ちている。それこそが妹が普通ではない証と受け止めることもできるが、彼女の対社会的な常識がどの程度なのかが説明されていないので、テーマのきわどさにかなりの部分を負わせているように思える。兄が妹の想いをうすうす察して自立を図ろうとするのに対し、妹はいっさい逡巡しない。兄の女に対しても、ライバル以上の感情を持ち得ない。本作に女のいやらしさはあっても男女のいやらしさが感じられない理由は、ひとえにここにあると思う。近親相姦とはそれ自体がアンモラルなのではなく、それを禁忌とする感情があって成り立つものだから。
過去作品&受賞歴
天野千尋(あまの・ちひろ)・29歳
【フィルモグラフィ&受賞/入選歴】 「さよならマフラー」(2009):第6回シネアスト・オーガニゼーション・大阪エキシビジョン NEXT COMER監督作品/「賽ヲナゲロ」(2009):PFFアワード2010入選/「チョッキン堪忍袋」:札幌国際短編映画祭ジャパンオフシアター部門入選
「チルドレン」映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)受賞作品
【上映時間】 9月24日(土)14:30 / 9月27日(火)14:30
前売りチケットを購入する作品あらすじ
高校に通う康介は、同級生の女子から執拗なイジメに遭う美香と出会い、どこか陰のある彼女が気になる。そんな折、児童擁護施設で育った彼は、アルコール依存症を克服した父親と再び暮らし始めることに。その父の更生に力を貸してくれたキリスト教牧師の娘が美香だった。やがて美香が援助交際を繰り返していることを知った康介は、それを止めようとするが……。大人になれない大人と、大人にならざるえない子供。親子の関係に新たなまなざしを注いだ秀作。
PFF公式サイトの作品解説へ…賛美派レビュー
片岡真由美/映画ライター
この作品を見て、監督の前作『恋愛革命』の意図が初めて明確に見えた気がした。恐怖のストーカー男と化した元恋人をラストで唐突に受け入れる女性の図に初見では愕然としたが、このラスト・シーンが現実であれファンタジーであれ、「他者を欠点も含めて受け入れること」にこの監督の主眼があるのだと合点したのだ。女性に丸ごと受け入れてもらいたい男の願望(たぶん)を形にした前作に対して、今回は、子供が、親を受け入れる。親のすべてを、と言うよりも、親のダメさを、仕方なく、だけど、きっぱり、受け入れる。康介が、美香が、それぞれギリギリのところで態度でそのことを示す場面は、鳥肌が立つほど感動的だ。
でもこの作品の一番の魅力は、康介と美香の、りりしさだ。特に康介のまっすぐさは、もしかしたら出来過ぎぐらいかもしれない。だが、台湾のジェイ・チョウに似たルックスの(すなわち一見すると地味な顔立ちの)役者自身が醸し出す雰囲気もあって、映画全体を引っ張るカリスマ性を帯びている。一方、4人の親たちの人物造形もまた類型的に陥らず、個性豊かで見応え十分。一口にダメ親と言っても多種多彩なものだと感心(?)する。すべて、監督の人間観察力のたまものだろう。
辛口派レビュー
尾崎香仁/映画監督・脚本家
「チルドレン」というストレートな題名のとおり、親子愛を真正面から描いた作品であり、定石通りの設定と展開で、特に真新しいものは感じられないが、構成面、技術面で丁寧に作られており、映画を観たという手ごたえを感じる作品である。
登場する大人たちは子供の愛し方を知らない欠陥人間として描かれ、それゆえに子供たちはしっかりしている。そこで子供の葛藤を描くために必要だと思われるものは、例えば愛が欲しいがために親の期待するようなことをついしてしまう悲しさだったりする。後半、親を殴りたいのに抱きしめてしまうシーンがあるが、この悲しさが描かれず突如として抱きしめてしまうので、見ている側は入り込めない。
反対に、自分の子供たちに愛してほしい大人たちの衝動はしっかりと描かれ、子供からのやさしい言葉に涙する父親の姿に心奪われる。その情動を、子供の方にこそ見たかった。
キリスト教、いじめ、援助交際、アルコール依存と現代日本の家族の闇を矢継ぎ早に取り上げるのだが、それらの要素はアイコンとして映画中にちりばめられるだけに留まっていて、そこからさらに掘り下げられないのもストーリーの強度を下げてしまっている。
しかしながら、生き方を語る神父、援助交際をしたお金で恋人と逃避行する女子高生など、メジャーでストレートな設定を、ジブやレールを用いた高い撮影技術と共に正攻法で描いていくので、見ごたえある作品に仕上がっている。
過去作品&受賞歴
武田真悟(たけだ・しんご)・25歳
【フィルモグラフィ&受賞/入選歴】「恋愛革命」(2008):ひろしま映像展2009入選、PFFアワード2009入選/「チルドレン」(2011):第14回うえだ城下町映画祭 審査員賞、福井映画祭2010 グランプリ
【注目のニュース】
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