吉田恵輔監督/『さんかく』
山田井ユウキ
恋人の妹で、15歳も年下の中学生に恋をしてしまった三十路のダメ男。そんな彼を中心とした三角関係を、ユーモアを交えつつも生々しく描いた『さんかく』。セリフやちょっとした仕草の端々からにじみ出るリアリティは、どのようにして生み出されたのか。吉田恵輔監督にお話を伺うことができた。
本作のアイデアはどのようにして生まれたのでしょうか。
「『机のなかみ』を撮ったときにやり残したことがあって、それを完結させようと思って書いたのが本作のきっかけだったんです。今まではわりと男目線の一方的な恋の勘違いを描いてたのですが、今度は女の子にも非があるものを作りたいなというのがベースにあって、そのときからこの3人の関係性というのは何となく思い浮かべていましたね」
3人のセリフや行動に、ものすごい生々しさを感じました。あのリアリティはどのようにして出されたのでしょう。
「僕の作るものって大概、自分に起きたこととか友だちに起きたことなんですよ。リアルに起きたことの総集編に近いですね。今回のキャラクターでいうなら、百瀬と佳代は僕自身なんです。だから“こういうときはこういう感情になるな”ってわかるんですけど、桃は違う。彼女に関しては、僕自身ではなくて、実際にどういう感情で動いているのかわからない女の子がいたんですよね。だから撮影中に小野(恵令奈)さんが“なんで(桃は)こういうことするんですか”って聞いてきたとしても、それはむしろ僕が聞きたいよって(笑)」
3人のメインキャストはいかがでしたか。
「まずこの映画の企画が、そもそも小野さんを見つけたことから始まっているんです。彼女の素の部分を生かしつつ、脚本はわりと当て書きだったので、桃というキャラクターを彼女に演じさせるという意識はあまりなかったですね。女優っぽく振る舞わずに、AKB48の楽屋の姿でずっといてもらうくらいのつもりで見ていました。田畑(智子)さんはお芝居が抜群に上手い方なので、彼女が来てくれればまず失敗はないし、安心して任せられるなと。高岡(蒼甫)くんが演じた百瀬は始め自分の中でつかみづらいキャラクターだったので、これは僕がどうこう言うよりも一度高岡くんに任せてみようと思ったんです。そうしたら、アドリブなんかもけっこう入れてくるんだけど、悪くない。高岡くんがイメージしてやったものが、僕が思ったところに絶妙にハマりましたね」
監督ならではのユーモアが今回も随所に見られましたが、そういった笑いはどこから生まれてくるのでしょう。
「本当は僕ってものすごく恥ずかしがり屋なんですよ。感情をストレートに表現できないんです。たとえば女の子に告白するのも、熱く『好きだ!』って言えないし、自分ができないことは脚本にも書けないから、じゃあどうするかっていうと、好きだって言い合ってるカップルの後ろに変な外国人たちを並べたりしたくなる(笑)。そういう“照れ隠しでふざける”というのが、僕のルーツになっていますね」
そうした“笑い”の面も含めて非常に現代的な雰囲気を感じましたが、そのあたりは意識して撮られたのでしょうか。
「意識してるわけではなく、単純に自分が作れるものを作っているだけですね。昔は暑苦しい作品、それこそトレンディドラマとかも好きだったんですけど、自分が作り手になるとそういうのは作れない。熱くてストレートな作品を撮るなら違う人の方がいいと思うし、それがうまい監督さんもたくさんおられますから。好き嫌いもありますが、僕が撮れるか撮れないかだと思いますね」

『さんかく』
ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋テアトルダイヤ他にて全国公開中
(C)2010「さんかく」製作委員会


![DVD「さんかく ~舞台裏日記~ [DVD]」](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51RFasdf4SL._SL75_.jpg)
![DVD「さんかく 特別版(2枚組) [DVD]」](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51bQrD4WkhL._SL75_.jpg)










