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理性のリミッターを外した、刑事ドラマの最高峰

100点 2011/7/28 22:53 by アイヤーダイ

数年前の秋葉原殺傷事件の例を持ち出すまでもなく、最近の警察の弱体化が目に余る昨今。
そんな警察へのお手本ともなるべきバイブル的存在の映画がこれ。
監督、主演、武術指導、主題歌と、『プロジェクトA』以来のワンマン体制で作られた本作、『プロA』のように目の上のたんこぶのサモハンがいない分、そのエゴイストぶりにも拍車がかかる。

ご存じジャッキーチェンという役者は現代劇において刑事を演じることがほとんどであり、その対出演数の割合からいっても世界一、二を争うほどのハマリ役なのであるが、そんな数ある彼のポリス出演作の中でどれか一本選べと言われれば、迷わず本作を挙げる。
のみならず、純粋な“刑事物”としても世界最高の出来であり(その次は『ダイハード』)、ジャッキーがジャッキーを演じているように受け取られるその他の作品とは一味も二味も違い、“刑事”という職種に対してのただならぬ執着をみせる。刑事という姿を借りて、悪を徹底的に懲らしめるジャッキーの正義への執念がハンパではないのだ。

冒頭や終盤でよく指摘される“過激アクションテクニック”も、単なるスタントショーに終わらず、観る者に圧倒的なカタルシスをもたらすのは、そのジャッキーの鬼気迫る“取り憑かれよう”があったからこそ。
だからこそ、悪を追い詰めるためには自分の上司をも人質にして自ら悪に染まることさえ、平気でやってしまうのである。
この暴走から物語は俄然面白味を増す。
「こいつイイ者じゃなかったの?クレイジーじゃん・・・」とファンを引かすことも悠然とやりのけるジャッキーの暴走ぶりに、真のファンはとてつもなくシビれるのである。

そんな彼の「目には目を、悪には悪を」精神が爆発するのは、言わずと知れた、あのスタローンやイーストウッドをも驚嘆させた『ショッピングモールでの乱闘』である。
ボスの悪事の証拠品を奪うため、自分を陥れたやくざ達に復讐するため、公務も私怨もごちゃ混ぜになった手下達との戦い。
複数の乱闘シーンにおいて世界最高峰の本シークエンスは、まさに呼吸することさえ忘れさせるほど、観る者を飲み込んでいく。
もはやここでのチェン刑事は警察であって警察でなく、ただ悪を葬り去るための殺戮ターミネーターと化す。

飛び散る無数のガラス片、叫び、肉体がぶつかるクラッシュ音・・・その瞬間全てがまさしく狂気。
つまり、真の悪に本気で立ち向かうためには、自らをも悪に染まり、理性のリミッターを外さなければならないということを、この稀代の映画人は誰よりも深く知っていたのである。
こんなに“イッてる”目をしたジャッキーは、『酔拳2』のケネス・ロー戦を除けば、他にはない。
とにかく、その全てをまぶたに焼きつけてほしい。

乱闘の終盤、全身凶器のジャッキーに対抗する(?)ボスの右腕やくざ、フォン・ハックオンも実に素晴らしく、「逃げよう」と促す仲間の言葉も無視して弱っているジャッキーを踏み殺そうとする“犯罪者”の立場も忘れたかのような狂いっぷり・・・完全にジャッキーの狂気が乗り移った瞬間である。
過去幾多のゲスな名悪党を演じてきたハックオンが最後に放った、その名に相応しい最高の晴れ舞台。
これこそ香港版“仁義なき戦い”であり、私はこれほど凄い“刑事とやくざの戦い”を観たことがない。

画面全てが“凶器”“狂気”に包まれている本作、そのラストも一筋縄ではいかず、いびつに狂っている。
ボスが逮捕された後も職務など全く眼中に無い狂人ジャッキーは、そいつの土手っ腹に怒濤のパンチの連打をぶち込むのである。
周りの同僚が必死に止めなければ、彼は殺人犯になってたはずだ。
多くの代償を払い(俳優のイメージをもかなぐり捨て)悪を退治したチェン刑事に、もはや善悪の境界線は無意味なのかも知れない。
理屈屋の弁護士まで感情のまま叩きのめすシーンが、それを如実に物語っている。
そういった虚無感を醸し出すことに成功したジャッキーチェンは、まさに俳優の鏡だ。


自分のイメージには全くメスを入れず、ひたすら役柄の安全パイにしがみつき、ご都合だらけの勧善懲悪に終始するヒーロー物の何と多いことか・・・。
我々はこの“狂った”刑事ドラマを観て、芸術とは何たるかを再認識しなければならない。
と同時に、『太陽にほえろ』でも『西部警察』でも無く、この『ポリス・ストーリー』を観て刑事に憧れ、警察の門を叩いたというエネルギッシュな若人に、これからたくさん遭遇したいものである。


【警告】2004年の『香港国際警察/NEW POLICE STORY』とはくれぐれもお間違いの無いよう

 

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満足度データ

ポリス・ストーリー 香港国際警察
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採点者数
75人
レビュー者数
8
満足度平均
73
レビュー者満足度平均
81
ファン
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観たい人
31人

 

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