ただいまの掲載件数は タイトル59713件 口コミ 1154965件 劇場 587件

映画情報のぴあ映画生活 > 作品 > 霧の旗〈1965年版〉 > 感想・評価 > 女の執念

女の執念

80点 2018/1/2 17:21 by 出木杉のびた

山田洋次監督唯一のサスペンス映画。原作は松本清張。山田監督はいつも必ず脚本に名を連ねるが、今作は橋本忍に任せている。そういった意味でも山田作品中での異色作である。主人公・桐子を演じた倍賞千恵子にしても、これまで僕が観た作品でのイメージを覆すような執念の女を演じ、新境地開拓の一本だ。

超一流弁護士である大塚(滝沢修)に、断られてもしつこく何度も電話する桐子は、この時点で一般人の常識を逸脱した人物であることが分かる。ここは彼女に同情させるというより、彼女が思いつめたら何をするのか分からない怖さが感じられればいいのだろう。同時に、貧乏人には全てに於いて不利な世の中の実情も訴えかけている。お金があれば、無罪を勝ち取れる確率が高まるという仕組み自体がおかしい。

絶望的な桐子の心理状態は、彼女の靴音だけで表現される。物音は一切耳に入らない孤立感が鮮明である。マスコミに訴えるというのもひとつの手だと思うが、彼女はそれをしない。折角そういうポジションの人間が登場するのだから利用するべきだと思ったが、それをしないのは、やはり冤罪を訴えるというより、女の執念の恐ろしさを描くのが目的なのだろう。興味を持った記者が、事件を調べてその内容を観客に伝える役回りとなっている。

そして、ひとつの事件がある人物との関係性を逆転させる。過去の何気ない決断が、今の自分の立場を危うくしようなどと、誰が考えられただろうか。「無実の人間に罪をきせることは出来ない」。それは本来桐子にこそ向けられてしかるべき言葉であった。桐子の二面性。復讐を誓った女性の恐ろしさが際立つ。まだあどけない表情の残る倍賞千恵子が演じているからこそ、尚更に底の見えない怖さがあった。

 

1人がこのレビューに共感したと評価しています。
ユーザー登録すると、レビューを評価できるようになります。

満足度データ

霧の旗〈1965年版〉
100点
0人(0%) 
90点
0人(0%) 
80点
3人(30%) 
70点
4人(40%) 
60点
2人(20%) 
50点
1人(10%) 
40点
0人(0%) 
30点
0人(0%) 
20点
0人(0%) 
10点
0人(0%) 
0点
0人(0%) 
採点者数
10人
レビュー者数
4
満足度平均
69
レビュー者満足度平均
73
ファン
0人
観たい人
6人

 

返信を投稿

名前 ※ニックネーム可
メール ※表示されません
見だし
内容
※ネタばれ、個人・作品に対する誹謗中傷はご遠慮下さい。
※ネタばれや質問などは掲示板
オプション この作品のお知らせメールを受け取る(返信をお届けします)
レビューを初心者モードで投稿する



掲載情報の著作権は提供元企業などに帰属します。
Copyright©2018 PIA Corporation. All rights reserved.

Myページ

ログイン

はじめての方はこちらから

新規ユーザー登録
ぴあ映画生活 facebook公式ページ
ニコニコ生放送 週刊ぴあ映画生活


この映画のファン

 

ユーザ登録をするとこの映画のファンに加わることができます

関連動画

関連動画がありません

関連DVD

霧の旗 [DVD]

  • 定価:2800円(税込)
  • 価格:2520円(税込)
  • OFF:280円(10%)

霧の旗 [DVD]

  • 定価:4104円(税込)
  • 価格:3591円(税込)
  • OFF:513円(12%)

霧の旗 [DVD]

  • 定価:2880円(税込)
  • 価格:2520円(税込)
  • OFF:360円(12%)

 

映画ファンが注目ポイントはどこ? 『プーと大人になった僕』特集
ぴあの映画特別号「ぴあ Movie Special」、最新号となる秋号が10/1発売!
新作続々、公開中!マーベル・コミック映画ニュースまとめ!
あの映画の“核心”に迫る!話題作のキャスト・スタッフに直撃!【インタビュー記事まとめ】
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』まとめ
『インクレディブル・ファミリー』特集
音を立てたら即死!? 全米大ヒットホラー『クワイエット・プレイス』をはじめ、あの“くまのプーさん”を実写化した『プーと大人になった僕』、豪華キャスト集結の『食べる女』など新作続々更新中! 映画論評・批評の新コーナー“critic”

クチコミ満足度ランキング

初日満足度 観客動員数 DVDレンタル

満足度 投稿数 観たい ファン

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』まとめ
未来の映画監督たちよ、ここに集え!