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映画情報のぴあ映画生活 > 作品 > 鳥〈1963年〉 > 感想・評価 > 鳥を見た

鳥を見た

80点 2010/5/3 12:09 by うなぎいぬ

NHKハイビジョンで久しぶりに再見。あまりにも有名であちこちで紹介されてるから、何度も観た気になってるけど、実は最初から最後まできちんと観たのはヒッチコックが死んだときの追悼放映以来かも…

前半は、独身貴族ミッチ(ロッド・テイラー)に魅かれる金持ちわがまま娘メラニー(ティッピ・ヘドレン)、元カノのアーニー(スザンヌ・プレシェット)、そこに子離れできないミッチの母(ジェシカ・タンディ)を加えた四角関係がネットリと描かれる。
激しいやりとりは一つもなく、微妙な視線の交差や、出かかって止まる言葉がサスペンスを生むのは流石だが、ちと長い。
ティッピ・ヘドレンは顔立ちは整っているけど個性に乏しく、その後大成しなかったのがわかる気がする。もっとも、二コール・キッドマンにも最初は似たような印象を持ったから私の女を見る眼はあてにならないけど。
スザンヌ・プレシェットの方が魅力的、という夢寝由来さんの意見には大いに賛同。ゆえあって退屈な田舎町に住み続け、生活に飽きているインテリ女性の色気がいい。
こういう人が行きずりのヤクザなトラック運転手なんかと関係もったりすると、映画がもう一本できちゃうわけですね。
メラニーとミッチの母の顔の形や髪型が微妙に似ているのが意味深だ。

同じサンフランシスコが舞台の「めまい」が陽光と強烈な色彩に満ちていたのに比べ、こちらは終始鉛色の雲が垂れ込め、逃げ場のない閉塞感が漂う。イーディス・ヘッドによるヒロインの衣装も色味は渋く抑えられている。

後半は説明不要の名場面が目白押しだが、なんといっても「ジャングルジム」と「ガソリンスタンド」だ。

炎上するガソリンスタンドの鳥瞰映像にゴゥ…という風の唸りと鳴き声だけが響き、鳥たちが悠々とフレームインして画面を埋めていく。
ひとたび大自然が牙を剥いたらちっぽけな人間の営みなどひとたまりも無いことを、こんなにも見事に象徴するカットはない。

ヒッチコックはティッピ・ヘドレンに言い寄ってふられたためにヘドレンへの「個人攻撃」は激しさを増した、という逸話は面白いけど、面白すぎて眉唾だ。むしろ技術の進歩と表現の規制の緩和で、ヒッチの内側にもともと眠っていた暴力性が噴出したんじゃないだろうか。
この人は監督にならなかったら犯罪者になってたんじゃないかなあ、なんて思ってしまう。

ラスト、ミッチの母はメラニーを優しく抱きしめる。災害をともに乗り越えることで対立した2人が和解する、というのはその後のパニック映画でも繰り返されるパターンだが、ここではちょっと違う気がする。傷つき、精神に変調をきたした嫁に対して優位に立つことができた姑の満足感を感じるのは底意地が悪すぎるだろうか。

鳥の襲撃の理由を明かさないこと、そしてカタルシスの無い不思議なエンディングは当時としては(いや、今観ても)相当に斬新だったと思う。
ここのレビューでもエンディングは賛否両論で、私も初めて観た時は「えっ、これで終わり?」と思ったものだ。しかし、賛否いずれにせよ、あのラストカットは大半の観客の眼に焼きついているのは確かだろう。

 

8人がこのレビューに共感したと評価しています。
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  • Re: 鳥を見た

    2010/5/7 11:38 by S18

    > スザンヌ・プレシェットの方が魅力的、という夢寝由来さんの意見には大いに賛同。
    私も同感
    でもヒッチコックは魅力ある女性をあっさり殺してしまうんですよね。
    私もハイビジョンで見ました、おきずきになりましたかDVDでは合成の気になる所が結構あったのですが、今回の放送では合成はほとんど気にならなくなっていました、最初に映画館で見た時にもこの事はほとんど気にならなかったのですから、DVDで見ただけでは、その映画を本当に見たとは言えないのかも知れません。

  • @トリを見た? Aトリオ見た?

    2010/5/7 15:36 by 青島等

    英国紳士ヒッチ先生は“この先どうなろうと知った事ではない”をしばしば使います。
    合衆国海軍将校フォードは“私はハッピーエンドを軽蔑する”と発言しています。
    二人は犬猿の仲で得意ジャンルもタッチも全く事なりますが観客を突き放してニヤリしていたのは共通しています。

    @紅白歌合戦戦は見ますか?私は演歌を全部スルーします。
    A東映時代劇の斬られ役で組んだチャンバラトリオはどうですか?
    私は唯の一度も笑えた経験がありません。
    ではこれで

  • Re: 鳥を見た

    2010/5/9 22:49 by うなぎいぬ

    S18さん

    特撮、て本来は目的ではなく自分のイメージを実現するための手段なわけで、その意味でヒッチコックは完璧に特撮を使いこなしてますね。
    私が今回驚いたのは、港町の何気ない情景ショットにもけっこうマット(作画)合成が使われてたことです。しかも全く違和感が無い。
    天気待ちで何ヶ月も粘ったり、小道具にいちゃもんつけてスタッフを困らせる本物志向の巨匠と違って、ヒッチコックって欲しい画を手に入れるためにマット合成・ミニチュア・スクリーンプロセスなんかを平気で使っちゃうところが面白い。

    夢寝由来さん

    >観客を突き放してニヤリしていたのは共通しています。

    そうですね。(フォード作品はあまり観てないのでわかりませんが)でも、一方で観客は楽しむために映画館に足を運んでいるのだ、ということがよくわかっている職人でもある。
    だから絶対不快にはさせない。
    「セブン」や「ミスト」といったあざといまでに後味の悪い作品との違いはそこだと思います。

    @紅白はしばらく観てませんが、桑田圭祐の「ひとり紅白歌合戦」のDVDは傑作でしたよ。特にクレージーvs.ザ・ピーナッツの対決が。
    Aチャンバラトリオも笑えませんが、私が一番不思議だったのは、亡くなっちゃいましたが、レッドスネークカモンのおじさん。(東京コミックショーでしたっけ?)あれは何だったんでしょう?
    伝統芸能?

満足度データ

鳥〈1963年〉
100点
37人(18%) 
90点
31人(15%) 
80点
52人(25%) 
70点
36人(17%) 
60点
24人(11%) 
50点
8人(3%) 
40点
4人(1%) 
30点
2人(0%) 
20点
2人(0%) 
10点
6人(2%) 
0点
1人(0%) 
採点者数
203人
レビュー者数
47
満足度平均
76
レビュー者満足度平均
73
ファン
22人
観たい人
62人

 

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