そんなこと言ったって

60点 2004/8/5 0:34 by タコ屋

実際問題として、アメリカは、銃を規制することが難しいのでしょうに。
メディアはわかりやすい恐怖を、報道し続けていくんでしょう。
その上で、それをどう解決するのか、という答えを示してほしかった。
ベタな理想論でも、ブラックジョークまがいの陳腐な論でも、なんでもよかったのですが。
結局は、わかりやすい悪を批判しているだけのように思えました。
着地点が無いのです。

ドキュメンタリーとはいえ、映画である以上は、多少のねじ曲げはあって当然だと思っていました。
ただし、それをやる以上は、はっきりとした「こうすべき」を、示して欲しかったと思います。
批判だけでは、それこそメディアのやっている事と同じでしょう。
メディアを利用して、メディアと同じことをやって、メディアと同じく結論が無い。

とても興味深い映画ではありました。
悪の象徴・マンソンの大人な意見に対して、ヘストンの子供っぽい答え。
この対比には笑ってしまいました。
たぶん、監督の編集センスのたまものでしょう。
そういう、意図した悪意をこめるのなら、自分なりの道も示してほしかった。
おのれをキャラ化して誤魔化すのではなく、おのれの素でもって、答えを出してほしかった。

いちばん肝心な度胸が無いと思い、大減点しました。
この映画を作ったこと自体は評価できるものの、映画としての質が高いかどうかは疑問です。
ただ、いろいろと勉強になる。それは間違いない。見て損は無いです。
こうして私という一人の鑑賞者が、文句を垂れていること自体も、監督の意図にハマっている可能性があるw

 

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  • Re: そんなこと言ったって

    2004/8/6 3:19 by 未登録ユーザ 素子様命

    アメリカ人的自己矛盾が如実に出ていて、興味深い映画だと思いましたね。
    日本人から見たら「銃がなければ撃ちようがないだろ!」な話なんですが、
    アメリカ人はどうしても話がそこにいかない。
    こんなに銃規制賛成な人でも、その深い泥沼からは抜け出せないんだなァと。
    別の映画の方でチラと書いたけど、ムーアは神父を目指した熱心なカトリックなのに、
    人殺しの道具である銃を完全に捨て去ることはできない。
    (↑仕事上必要な人にまで捨て去れと言うんじゃないですよ。
    ムーアの立場なら生活上無くても困らないはずなのに、
    おそらく彼は「個人持ちの銃」を否定しきることができない。)

    結構しっかり銃規制済み(猟銃は多いが規制は日本並。
    都市生活者はフツー「持ってない」もんである。)のカナダに行って、
    規制の実体を映画に映さずに、
    カナディアンが呑気だから、
    銃を持っていても人は撃たないという結論に行こうとしているのには、
    「アレレ」感漂いました。(イヤ、まぁ呑気なんですけどね。(^▽^笑)
    でも銃犯罪が少ないのは、呑気だからではなくて、
    フツーは持たないものという社会的意思形成と規制があり、手近に銃が無いから。)
    「あなたやっぱり銃に未練タラタラだから、
    見たいものしか目に映らないのね〜」って感じ。

    監督のそんな揺らぎ込みで、
    あの国の人々の銃に対する思想を変えるのは、
    「果たしてそんなことが可能なのか?」ってぐらい、
    大変なんだなァとつくづく考えさせられる作品。

    基本的にムーア作品には彼のかなり偏った見方・思想が反映されていると思っていて、
    とても全面賛成できるものではありませんが、
    偏りの方向性は今のところ好きな方向なので、
    華氏911も見に行こうかなと思っています。

    実を言うと巨大な「村社会」であるアメリカにおいて、
    たったあれだけのことを言うのも
    「手ひどい村八分覚悟(ヘタをすると命がけ)」なのは事実であり、
    彼が欧州などで高評価なのも、その点を考慮したものでしょう。

  • Re: そんなこと言ったって

    2004/8/6 14:37 by タコ屋

    実は最初、ずいぶん長いレスを書いてしまったのですw
    こりゃイカンと思い、一生懸命まとめました。
    (それでも長いですが、私の作文能力ではこれが限界のようです。ああ)
    なので、ざっとした文章になってしまったかもしれません。

    私の知人が、アメリカを評して、

    「アメリカは大陸というより、巨大な島国だと思う。
     日本は島国だけれど、どちらかといえば海洋国家なんだ」

    と言っていました。だから、

    >実を言うと巨大な「村社会」であるアメリカにおいて、
    >たったあれだけのことを言うのも
    >「手ひどい村八分覚悟(ヘタをすると命がけ)」なのは事実であり、
    >彼が欧州などで高評価なのも、その点を考慮したものでしょう。

    この御意見には、ふむふむと納得しました。

    映画を見ていて、日本と事情は似てるんだよな、と思ったのです。
    国民全体にかかるストレスなら、日本も負けてないと思うし。
    一般人の銃の保持数に対する、銃犯罪の割合は、けっこう酷いもんだと思いますし。
    少年少女の、異常な犯罪もあるし。

    以下は持論ですが。
    島国・村社会は、住民が緊張を強いられる。これは日米ともに同じ。
    しかし海洋国家は、比較的、その吐け口をみつけやすい。
    海洋国家の特徴は、人や思想が、出て行くのも、入ってくるのも、自由で容易だということ。
    大陸は他国に境界線を引くので、ストレスはますます高まる、ということかな、と。

    >ムーアは神父を目指した熱心なカトリックなのに、
    >人殺しの道具である銃を完全に捨て去ることはできない。

    鑑賞中、たくさんの違和感を感じたのです。
    コロンバイン事件の、犯人の父親の主張とか。
    カナダを変なかたちで賛美している事とか。(そのへんの歪曲は知っていました)
    被害者の少年ふたりに、ああいう行動を取らせることとか。
    なにか違うよなあ、と思いました。

    自分の悲惨な経験には、なにか意味があるなずだ、というのは、いかにもキリスト教的な発想だと思いました。
    それ自体は悪くないし、犯罪被害者・加害者側の救済としては、むしろ優れていると思います。
    しかし、事件の根本とは、ズレている気がしたのです。
    そういう違和感を、ムーア自身に対しても感じたのでした。
    カナダを理想化して示して、だからアメリカは駄目なんだと言い、だからこうしましょう、という結論が無い。
    アメリカをカナダにしろということか? とさえ思いました。

    私としては、マンソンは素敵だと思いました。
    ヘストンのようなガンコオヤジは、どこにでも居るものだし、むしろ単純で正直で、良い人じゃないか、と思いました。
    ムーアは……友達にはなりたくないタイプだなあ、と思いました。

  • 結論とよく言うが

    2004/10/9 1:28 by 未登録ユーザ しねま

    結論を示せとよく言うが、映画の全体としては結論を十分感じることのできる映画だ。むろんはっきりとこうだ!とムーアが言うのではなく自分の中に答えがあってそこから人は変わるしかないのでは?
    親に説教されるときだってこうだこうだ!とただ聞かされてロボットみたいに、はいはいと聞いて自分の倫理観を育てていくのかい?
    なら自分はどこにある?

    メディアや恐怖や犯罪や社会のたね明かしをしてくれ、しかも怒るのではなくユーモアで物事をむしろまじめに考えるという教訓もあるし、考え方を変えてくれる要素もあるのに・・・・その上でどう解決するのかの答えって、それはこの映画そのものでしょwこの映画を作るってこと自体も。一個人としては小さな一歩だが、映画にとって大きな一歩だよ。銃規制を訴えてる映画では決してないし、チャールトン・ヘストンを悪者にしたい映画でもない。
    ヘストン宅でのインタビューもムーア一個人の質問だし、それを見て あんたは どう思うの?って話なわけ。
    ヘストンが演説してる大会のビデオが映ってるのだって悪質に編集はされていない。どこか、悪者を象徴する音楽でも入っていたかい?そこで、いやヘストンは別に普通にこうやって大会をやってるだけジャン、悪くない。と思えば、それがあなたの答えだし。決して押し付けがましい映画ではない。
    つまり、おまえらどう思う?って聞いてくる作品だ。ドキュメンタリーのあるべきすがたは本来は
    結論の(つまり持論)おしつけすぎは禁物でしょ。ドキュメンタリーはたとえば普通に残されてる戦士が残した戦争の写真とかだ。
    それを見てどう思うか?っていうのがドキュメンタリーということだ。なんだこれはただの戦争っていう事実ジャンと思えばそれがひとつの答え。
    こんなことだめだ平和に、、、または、このカメラマンの兵士は人に平和を望んでほしくてシャッターをきったのかな〜っとおもうのも良し。
    ただ、その写真自体が物議をかもし出すものだったほど、名作ってことだ。

    だが、
    >こうして私という一人の鑑賞者が、文句を垂れ>ていること自体も、監督の意図にハマっている>可能性があるw

    には同意。

  • 読み違い

    2004/10/31 23:16 by タコ屋

    >しねまさん

    仰ることはなるほどと思うのですが、

    >親に説教されるときだってこうだこうだ!とただ聞かされて
    >ロボットみたいに、はいはいと聞いて自分の倫理観を
    >育てていくのかい? なら自分はどこにある?

    >チャールトン・ヘストンを悪者にしたい映画でもない。

    などと、人の論をマイナスに捻じ曲げるのはやめてくださいね。

    で、私は以下のように考えます。
    「創作物である以上は、創作者の意図が入らないことは有り得ない」
    私はこの映画が、あるがままを撮った映画だとは思っていません。
    すでに様々な疑問が出ていますね。カナダの扱い方だとか。
    監督の意図がかなり入った映画だと考えます。

    ですから、そういう映画を作る以上は、結論を示すべきだ、というのが投稿の趣旨です。
    この映画以外のドキュメンタリー作品については、また別の感想を持つと思います。
    結論を押し付けるタイプの、あまりに説教くさい作品は、私も嫌いです。

    そして最初の投稿に書いた結論というのは、思考や感慨など、鑑賞者の精神面のことではありません。
    私が映画に望んだのは、具体的な、法や、慣習づくりの事です。

    しねまさんは私の投稿から、まったく別の内容を読み取って、そこを反論されているように思います。

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