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月の砂漠

60点 2014/1/30 5:22 by 出木杉のびた

ジャズ・ファンでもある和田誠監督が、これまでずっとコンビを組んできた真田広之をトランペッター役に迎えて描いた、巻き込まれ型サスペンス。偶然知り合った追われるリンダ(ミシェル・リー)を助ける為に、夜中の街を駆け回る。真田演じる守山が最初の演奏を終え、次のステージの真夜中12時までの2時間の休憩時間に起こった出来事を、物語内の時間と、実際の時間経過をシンクロさせて描かれている。

駐車場ビルで、ギャングっぽい二組が、何やら取引をしている。バックに流れるのは、大人のムード漂うジャズ、「ラウンド・ミッドナイト」。建物の外から映し出すカメラが、別のビルまで横移動してワンカットで見せる。扉が開き、ナイトクラブ内で演奏しているのが、守山率いるクインテットのメンバー。守山は演奏技術は凄いようだが、結構傲慢である。客の女性(大竹しのぶ)から、「月の砂漠」をリクエストされるが、童謡なんかと取り合わない。態度が冷たい上に、「それがどうした」という意味合いの「So what」の曲を演奏するのも、タイトルの言い方からして実に感じ悪い。

素人目にもそのテクニックは凄いと感じられる真田の演奏演技は大したものだ。実際の音はプロが出しているようだが、曲とピッタリとシンクロする真田の指や身体の動きが、本当に自分で演奏しているように感じられてお見事。次のステージが12時と、タイムリミットが宣言される。

追われるリンダの姿と、外の階段を降りる守山を同時に捉えるカメラと、偶然出会ってしまうタイミングが絶妙である。守山は訳も分からずリンダと逃げる羽目に陥るのだが、こういう巻き込まれ型の場合、どうして警察に連絡しないかが問題になる。その理由を早めに提示する和田誠のオリジナル脚本と演出は流石に巧みだと思った。しかし、物語が進むにつれて、やや強引さが目立ち始める。

必要なのは、どうして初対面のリンダに、大切な用事のある守山が付き合わねばならないかだが、その理由付けがどうにも弱い。もっと徹底的にコメディ色を強く出すか、ロマンス色を前面に打ち出さないと、この設定の説得力が欠けてしまう。

協力者となるトラックの運転手(六平直政)も、主人公たちに都合がよく動き過ぎるのも、ご都合主義に感じられて残念である。この時、リンダが好きな曲が「月の砂漠」という偶然と、この逃亡劇が、守山の気持ちに変化を生じさせることになり、ラストの演奏曲に繋がっていく展開はなかなか良い。そして、犬山商会で買わされた物が、後に活かされるのも小道具の使い方として効果的であった。

これまで真田広之を使いながら、かっこ良いアクションがなかったことが、和田監督の心残りだったようだ。本作ではチェイスとしてのアクションを真田に演じさせることができたが、残念ながら監督の方にその演出技術は足りなかったようだ。真田は常にトランペットを持っていながらの移動という設定。アクションするには、どうもこのトランペットが邪魔になって、動きが封じられてしまうのだ。見ていてどうにも気になって仕方なかった。

車での移動撮影では、スクリーンプロセスも使っているようだが、どうも背景の街の画と、撮影される車の高さが合わず気になる。何だかトラックの荷台に車を載せて撮影したような高さの落差が感じられてしまうのだ。技術的な面でも残念な仕上がりだった。

ちょい役で個性的なメンバーの登場は楽しい。故買屋の女・もたいまさこは、なかなか情報を教えてくれないしぶといおばさんを好演している。車を奪われるカップルに唐沢寿明と戸田菜穂。深夜映画を観ている男・三谷幸喜は、登場するだけでつい笑ってしまう。小松政夫のマジシャンは、ちょっと手元が覚束なかったのはご愛嬌。大竹しのぶの使い方も、贅沢である。

トランペットによる、「月の砂漠」の演奏が、心に沁みる夜であった。

 

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