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禁じられた遊び

60点 2008/7/24 22:07 by 出木杉のびた

火垂るの墓〈2008年〉

『禁じられた遊び』を観たことがある人は、その共通性にもすぐ気が付くところだろう。しかし、この場合、たくさんのホタルの墓を並べても、それはつまるところ自然の死であって、決して戦争で無理矢理その生涯を閉ざされた被害者の死とは、相容れないものがあると思う。たくさんの墓を並べる清太は、その行為によって何を観る者に伝えようとするのか、すんなりと理解は出来難かったので、少し考察してみたいと思う。

命という観点で解こうとするならば、重傷を負った母親の姿に堪らず、飛び出した清太が木の下で見たものは、蟻の群れ。清太はこの群れを踏みつぶすくらいの理不尽な怒りでも覚えているのではと思っていたが、彼はただ、その小さな生命の蠢きを、ぼんやり眺めるだけである。ついさっきまで元気でいた人たちが、一瞬にして命を失う。まるでこのちっぽけな蟻の命と、何ら変わりがないとでも清太は感じていたのだろうか。

そして人の遺体は、まるでゴミでも捨てるように、掘られた穴の中に無感情に投げ込まれる。せめて、二人で持って、そっと地面に下ろすことぐらいできないかと思う。戦争は人から尊厳を奪い、命の重さもゴミほどにしか感じさせないように、人間性を剥奪してしまうのだろう。

そんな時代だったからこそ、命を尊重した弔い方を清太たちがしたかったとしても、いまひとつ、その心の動きの関連性が、映画として伝わり難かったと思う。

蟻の命、蛍の命、人の命…。

さて、清太と節子を演じる二人の子供はとても良かった。愛くるしい節子が次第に衰えていく様は、観ていて、やはり苦しい。僕も娘を育ててきたが、あの時代の一番かわいい盛りの女の子が力なく横たわるのを見るのは、とても辛い。本来なら、親を一番幸せな気分にしてくれる時なのだ。

母親の松田聖子の演技は、うまいとは言えないが、病弱で優しい母親の雰囲気は出ていた。辛い物語だから、少しは華やかさが欲しかったのだろう。継母の松坂慶子は、以前太っていたイメージが強いので、この時代の母親には不向きに感じた。今でも充分ふくよかだ。ただ、意地の悪いおばさんではあるが、どこか憎めないところがある。

校長先生一家と、病気らしい若者の話は、原作にあっただろうか。何か全体と噛みあっていない気がした。

こうなると、もともと映画化する予定だった、黒木和雄の死が、ますます悔やまれる。この手の作品で晩年傑作を撮り続けた黒木演出だったら、この作品でも、僕は期待できたかもしれない。

 

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満足度データ

火垂るの墓〈2008年〉
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