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χ二乗分布(カイニジョウブンプ)
2019/8/29 21:24
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成層圏
プロローグの戦艦大和交戦シーン。被弾した一機の米軍機が墜落するも、パイロットは脱出。彼は落下傘降下し着水した。すかさず、米軍飛行艇が救助し、飛び去った。呆然と見守る日本兵。
米軍と我が軍のちがいを鮮明に映し出した。
映画を見た翌日の地元紙に、この場面そっくりの情景を宇和海に見た人の投稿が載った。当時、潜水艦の探知施設に勤めていて、偶然に見たという。
一回目の鑑賞から二週間余り経って二回目を見た。
一回目より感動が大きかった。
映画は戦争場面を描くのはプロローグだけだ。
本編は、大鑑巨砲主義の嘘をあばくことにある。
航空戦派が大鑑巨砲主義派の嘘を解明するために、天才数学者を雇う。
軍の掟や、相手の妨害を切り抜けて、見事にそれが達成されるストーリーは痛快だ。
けれど、歴史的事実は、大鑑巨砲主義者が勝利する。
何故なのか?
おまけに、天才数学者は、大鑑巨砲主義派に取り込まれてしまう。
史実に虚構をはめ込む役割を田中泯が演じる造船中将が担う。
圧倒的説得力。
まさに、陰の主役ではなかろうか。
彼は、日本人の拠り代として大和を造り、それを沈めて目を覚まさせようとした。
しかし、今の日本はどうだろうか?
バカは死んでも直らないのかもしれない。
◆◇◆◇
今年見た映画で、一番良かった。
100点でもいいが、山本五十六達が天才数学者・櫂直(カイタダシ)に料亭で初めて会った後、自分たちの部屋に戻った時に、料亭のさんざめき(三味線の音曲等)がさっぱり聞こえなくなったのが、残念。
もう一点は、数年前の戦艦大和を題材にした映画の観想でも書いたが、大和の洋上巡航中の美しい姿を描写して欲しかった。
それで、10点マイナス^^;)。
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