ただいまの掲載件数は タイトル64504件 口コミ 1173122件 劇場 590件

映画情報のぴあ映画生活 > 作品 > 七つの会議 > 感想・評価 > 「企業倫理」に鋭く切り込んだ上質のミステリ

「企業倫理」に鋭く切り込んだ上質のミステリ

90点 2019/2/14 11:42 by 悶mon

七つの会議

作者の池井戸潤は、デビュー作である江戸川乱歩賞受賞作品「果つる底なき」(1998年)が銀行を舞台としたミステリであったため、経済ミステリの旗手として、当初から期待されていたミステリ作家でした。
その後は、江戸川乱歩賞→吉川英治文学新人賞→直木賞、という、ミステリ作家の出世街道を順調にステップアップし(注)、いずれ人気作家になるだろう、と思っていたら、半沢直樹で、大ブレイク、ここまで行くとは思っていませんでしたが、いちファンとしては、嬉しかったです。
しかし、あまりに人気が出すぎてしまい、私のようなミステリ好きは、どこか捻くれているところがあって、池井戸潤作品を最近は読んでいませんでした。

そんな矢先、別の映画を観にいった時、この「七つの会議」が予告編でかかっていて、全くノーチェックの作品でしたので、ネットで調べてみると、かなり売り上げが好調な小説だと分かりました。
しかも、主演が、野村萬斎で、ちょっと奇異な感じも受けました。
果たして、企業を舞台とした作品に向いているのかな?と。

ところが、公開されてみると、かなり興業成績が上がっていて、多分、池井戸潤作品としてあるレベルには達しているであろうから、原作は読まずに、映画で鑑賞してみようと、思い立ちました。

作品の舞台は、中堅の電機メーカー・東京建電。
物語は、営業部会議のシーンから。
営業部に第1課と第2課があり、北川営業部長(香川照之)は、第2課長の原島(及川光博)を営業成績不振として、叱責、一方、第1課長の坂戸(片岡愛之助)は、営業実績アップを褒められる。
そんな会議中に、居眠りをしていたのが、第1課の万年係長、八角(野村萬斎)。
ぐうたら社員として、社内でも有名な彼は、会議終了後、坂戸課長から難癖をつけられ、「パワハラで訴えてやる」と言い放つ。
実際、告発は行われ、周囲の予想と裏腹に、坂戸が、人事部付きの閑職に追いやられる。
後釜として、原島第2課長が、第1課長となったが、八角という人物の謎は深まるばかり。
しかも、彼を敵視した人物は、次々と異動させられてしまう。
なぜ、こんなぐうたらな社員が、生き残っていけるのか。
八角の過去の人事評価を見た原島は、彼が、入社以来、トップランクの人事評価を得ていたにも関わらず、係長に昇格した途端、Eランク評価になっていることを知る。
原島は、退職間近の女子社員、浜本とともに、探りを入れていくが…。

このサイトでも、ジャンルとして、「サスペンス」となっていますが、これは、れっきとした経済ミステリだと思います。
八角という人物の謎めいた部分、これが、舞台となった東京建電という会社に隠されたある秘密と関わっているのですが、この真相解明に原島と浜本の2人が迫っていく展開はとてもスリリングで見応えがありました。
特に、物語前半のあるシーンが、重要な伏線となっている点は、まさにミステリならではのもので、感心しました。

さらに、野村萬斎演じる八角という人物の造詣。
この演技は、とても素晴らしかったと思います。ぐうたら社員に思われていたものが、じつは――という部分を、彼は見事に演じ切っていたと思います。

思えば、野村萬斎、香川照之、片岡愛之助、この3人は、もともと古典芸能の役者さんでもあるわけです。
偶然のキャスティングでしょうが、古典芸能独特の間合いのようなものが、この企業を舞台とした現代劇でも、活かされていたように思いました。

興業成績上々、というのも納得の佳作です。
本作品は、「企業倫理」という、誰も明確な答えを出せない切実な問題に鋭く切り込んだ作品として、是非とも、劇場での鑑賞をオススメします。

(注)蛇足ですが、あの東野圭吾は、江戸川乱歩賞→吉川英治文学新人賞(候補)→直木賞→吉川英治文学賞、というコースです。吉川英治文学「新人」賞は、候補だけでしたが、その後、吉川英治文学賞を受賞して雪辱を果たしています。

 

1人がこのレビューに共感したと評価しています。
ユーザー登録すると、レビューを評価できるようになります。

  • Re: 「企業倫理」に鋭く切り込んだ上質のミステリ

    2019/2/14 21:28 by みかずき

    こんばんは。悶monさん。
    みかずきです。

    お久し振りです。

    本作、私もとても面白い作品だと思いました。
    わたしは、モノづくり企業に勤めているので、
    ラストの八角の独白は、心に響きました。

    正統な社会派作品でありながら、コミカルな要素もあり、硬軟のバランスが絶妙な作品でした。

    八角を演じた野村萬斎、ピッタリの役どころでした。時代劇だけでなく現代劇でも、あの独特な雰囲気は生きていました。

    仰る様に、興行成績上々というのも納得の作品でした。こういう社会派、硬派作品が人気になるのは嬉しいです。

    では、今年も多くの作品で語り合いましょう。

    失礼しました。

満足度データ

七つの会議
100点
4人(5%) 
90点
15人(22%) 
80点
27人(39%) 
70点
19人(27%) 
60点
3人(4%) 
50点
0人(0%) 
40点
0人(0%) 
30点
0人(0%) 
20点
0人(0%) 
10点
0人(0%) 
0点
0人(0%) 
採点者数
68人
レビュー者数
32
満足度平均
80
レビュー者満足度平均
80
満足度ランキング
29位
ファン
4人
観たい人
41人

 

返信を投稿

名前 ※ニックネーム可
メール ※表示されません
見だし
内容
※ネタばれ、個人・作品に対する誹謗中傷はご遠慮下さい。
※ネタばれや質問などは掲示板
オプション この作品のお知らせメールを受け取る(返信をお届けします)
レビューを初心者モードで投稿する



掲載情報の著作権は提供元企業などに帰属します。
Copyright©2019 PIA Corporation. All rights reserved.

Myページ

ログイン

はじめての方はこちらから

新規ユーザー登録
ぴあ映画生活 facebook公式ページ
ニコニコ生放送 週刊ぴあ映画生活


上映情報

蒲田 

他の地域

 

この映画のファン

  • Stella
  • Mary222
  • shihoo
  • prabhas

 

ユーザ登録をするとこの映画のファンに加わることができます

関連動画

関連動画がありません

WOWOW『連続ドラマW 悪党 〜加害者追跡調査〜』特集
ぴあの映画特別号「ぴあ Movie Special」、最新号となる春号登場!
ディズニーの名作が新たな物語で実写化!『ダンボ』特集
ぴあフィルムフェスティバル×078film〜最新コンペティション受賞作品・招待作品上映&トーク〜
ひげガールのレコメンド対決に投票しよう!  MC-1(見逃したシネマ)グランプリ
“絶対に見逃せない”新ヒーローが登場『キャプテン・マーベル』特集
進化し続ける4DXの魅力をレポート!4DXニュースまとめ

クチコミ満足度ランキング

初日満足度 観客動員数 DVDレンタル

満足度 投稿数 観たい ファン

DCヒーローの動向をチェック!『DCコミック映画』まとめ
新作続々、公開中!マーベル・コミック映画ニュースまとめ!
あの映画の“核心”に迫る!話題作のキャスト・スタッフに直撃!【インタビュー記事まとめ】