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見知らぬ乗客
2018/4/10 5:51
by
出木杉のびた
ヒッチコックの名作、『見知らぬ乗客』では、知らない人物から交換殺人を持ちかけられた。本作の見知らぬ乗客からは、100人の乗客からある人物を探し出してほしいという相談を持ちかけられる。主人公は毎日この列車を通勤に利用していて、その他の乗客も大体同じ時間に出社するので見知った顔が多い。元警察官という職業を活かしながら、ターゲットを絞り込んでいく面白さ。探し人は何者なのか。依頼主の目的は何か。列車内の遺体に、犯人と疑われる主人公。そして遺された乗客たちを襲うピンチ。謎が謎を呼び、息つく暇も与えぬ展開に、最後まで手に汗握る面白さを堪能させてもらった。
謎の女から依頼された人物探しを、何故承諾することになったのか。冒頭では毎朝の繰り返しのカットを何度も重ねていく。マイケル(リーアム・ニーソン)がある物を手にしてしまった途端に、契約成立と見なされてしまう。更に逃げられないように、周到に準備された罠。主人公がこの依頼を断れなくなっていく過程につい納得してしまうシナリオは、実に丁寧でお見事。親身になって力になってくれようとするある人物との会話、テレビのニュースなど、見逃したくない伏線だ。
ターゲット絞り込みに使う切符については、日本では馴染みのない方法なので興味深い。マイケルに話しかけられて、不審に思う相手とのやりとり、カバンの中身を見せたくない心理などから、みんなが怪しく感じられてなかなか正体が掴めない面白さ。それぞれの会話、カバンの中身から、その人物像があぶり出されるのも実に巧みな描き方だ。
マイケルが守ろうとするのは、家族だけではない。ターゲットと乗客までも最後まで守り抜こうと奮闘する姿に感服だ。終盤の乗客の団結は感涙もの。その中で、唯一自分の身の安全しか考えていない乗務員には笑った。テンポがよすぎて、じっくり考えているヒマを与えてくれないので、ちょっと分からづらかったり、疑問点もなきにしも非ずだが、充分楽しませてもらったので僕的には文句はない。
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