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肉食になりきれない草食女子の妄想多き恋愛模様

70点 2018/1/4 14:17 by tabula_rasa

勝手にふるえてろ

むかし田中芳樹と竹河聖、両ファンタジー作家の対談がありました。田中さんが竹河さんの『風の大陸』について、「〈風〉も〈大陸〉もごくありふれた一般名詞なのに、そのふたつを組み合わせることによって壮大な感じを生み出している」とほめていらっしゃいました。田中さんはタイトルを考えるのが苦手なことを公言されている方なので、より感心されたのでしょう。

かくいう私も(レベルはぜんぜん違うのでおこがましいですが)、この映画生活でのレビューを書くにあたってタイトルを考えるのにいつも悩んでいるので気持ちはわかります。だから綿矢りさのタイトル付けの上手さには、舌を巻いてしまう。芥川賞受賞作の『蹴りたい背中』とかそうですね。〈蹴る〉という動詞に〈……したい〉という助動詞、そして最後に〈背中〉という名詞。どれも日常的にありふれた語だけを用いて、独自のタイトルを生み出している。非常に文学的です。

そして、その上手さは本作の『勝手にふるえてろ』というタイトルにも当てはまります。(不勉強な人間なので、恥ずかしながら今回の映画化ではじめて知ったのですが)見た瞬間、たいへん強いインパクトを感じました。〈震える〉という動詞は日常的でも〈……してろ〉と言い捨てることなどまるでない。いったいどういうシチュエーションでだれがだれに向かって言うセリフなのか、関心を持たずにはいられません。タイトルだけに惹かれて見に行った『君の膵臓を食べたい』と同じ動機で劇場に足を運びました。

映画としては、主人公の気持ちに寄り添うのがむずかしい作品です。テンションの高いときと低いときの差がすごい上に、どうしてそんなことで落ち込んだり怒ったりするのかがわからない。だって、片思いの彼と趣味が一致した上に「君と話していると自分と話しているみたいだ」なんて言われたら、めちゃくちゃ脈アリで、◯◯を憶えていなかったことなんか吹き飛んでしまうくらいうれしいところだと思うんですが……。
しかし、これはもちろんねらってやっているのだとわかる。周囲のひとたちがヨシカの言動にとまどう様子が描かれているからです。

そうやって観ているうちに、なんとなくだけど彼女の心情が見えてくる。「ひょっとしたら、自分もこんな行動をとっているかも?」と。要するに、自分自身を客観的にながめる訓練をしているような気分になってくるのです。ヨシカはかなり奇妙な女子に思えて、じつは自分とそれほど変わらない。それが、わかってきます。

ラストは意外な展開でしたが、題名の意図はなんとなくではあるけど理解できたので、トータルではミニシアター系邦画としては満足度の高い鑑賞になりました。長く印象に残る作品になりそうな予感。時間があったら、原作を読んでみたいと思います。

2017/12/29 シネリーブル神戸(2)

 

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満足度データ

勝手にふるえてろ
100点
2人(5%) 
90点
7人(18%) 
80点
15人(40%) 
70点
9人(24%) 
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採点者数
37人
レビュー者数
17
満足度平均
76
レビュー者満足度平均
76
ファン
6人
観たい人
34人

 


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